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  リリアン視点

 結局、生徒会役員はやるはめになった。
 でもクラウディア様も一緒だから安心だ。
 それはいいとして他にも困った事が起こってしまった。
 首都に住んでいると聞いていたおばあ様の娘、私の義理の叔母達だ。
 叔母は子爵家に嫁いだが息子が三人いる。
 一人は子爵家を継ぐが後の二人は養子になるか婿入りしなければ貴族籍から抜かれる。
 大きな戦争も無い平和な時代の為騎士爵位を貰うのも難しい世の中だ。
 そこで目を付けられたのがおばあ様の男爵家と、私だ。
 今は女性でも爵位を継げるのでおばあ様が女男爵となっているが、おばあ様は私に爵位を渡そうとしていた。
 クランセン伯爵の養女になってはいるが、平民の血筋では貴族に嫁ぐのは難しいかもしれない。
 伯爵も結婚し、後継ぎが出来れば私の行く末は安心できないからというおばあ様の心遣いだった。
 叔母は自分の息子と私を結婚させ男爵にしたいのだ。
 本当は私を追い出したいところだか、それを言えばおばあ様が激怒するのは目に見えているから。
 クラウディア様に会ってその事を話した。
 貴族社会では自分の意思で結婚は難しい。だいたいは親が決めるものだ。
「色々よけいな心配してたけど、ただ普通に転生しただけみたい。このまま叔母の言うとおり結婚するかも。」
「リリアンはそれでいいの?」
「うん、おばあ様もなんだかんだ言ったって血の繋がった孫が後を継いでくれたほうがうれしいだろうし。」
 こんな事で恩返しが出来るならそれでいいのかも。
「相手はどんな人?」
 噂をすれば向こうから近づく人影が。叔母の次男、ジルベルト・ハウゼン子爵令息だ。
 同じ学園に通う2年生でクラスはC。あまり優秀とは言えない。男爵となって働くにしてもあまら良い働き口はないだろう。
 赤茶色の髪の目立った所の無い普通の男だ。
 不細工じゃ無いだけ良しとしなきゃ。
「やあ、リリアン、探していたんだ。
 今日の帰りは一緒に帰らないか?ちょっとカフェにでもよってさ?」
 クラウディア様を無視して話しかける。
「リリアンはわたくしと話していたのですよ。
 いきなり割って入るとは失礼じゃございませんこと?」
「これは…失礼いたしました。ごあいさ…。」
「挨拶は結構よ。リリアンは今日はわたくしの家に寄る事になってますの。あなたはまた今度になさって。」
 すごすごと去っていった。
「今日、約束してたっけ?」
「してないわ。あなた、あんなのでいいの?」
 あんなのとは失礼だが、普段からカイル皇太子やフェリクス様みたいのばっかり見てるから目が肥えているのね。
「…うん。」
 しょうがないよ。
 孤児だった私が貴族の末席に居られるだけでも幸せな事なんだから。
「おばあ様は本当にそんな事望んでいる?」
「今はほら、皇太子殿下から花束やお手紙が届くからちょっと舞い上がっちゃってるけど、時間が経てば現実が見えてくると思うの。
 おばあ様も私も後になればステキな思い出になるわ。」
 
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