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クラウディア視点
その日は帰りにリリアンを侯爵邸に招いた。
ちょうど兄であるレイモンド・ヴァンヴェルート・ザカリーの帰宅と重なった。
うってつけの奴とはまさにこの男。
俺と同じ漆黒の髪はお堅い職業なので普段はオールバック。目は深いブルーで顔立ちも良い。
性格は…根はいい人なんだよ、うん、たぶん。
帝国屈指の名門で富豪のザカリー家に生まれたため幼少期よりいいよる女が多すぎてちょっとひねくれてしまったけど。
女はすべて金と名誉の為に男を値踏みしてると思っている。
城で政務官として働いているが将来は父の後がまである宰相を狙っている。
兄とリリアンが一緒になれば俺とは義理の姉妹。城にもちょくちょく呼べる。お泊まりだってOKだ。
「お兄様、お帰りなさいませ。これは学友のシュガー男爵令嬢ですわ。リリアン、ご挨拶を。」
リリアンに対して上からな態度だが貴族社会のルールではしかたがない。
「お初にお目にかかります。ザカリーの小侯爵、レイモンド・ヴァンヴェルート・ザカリー様にご挨拶申し上げいたします。クラウディア様には常々大変お世話になっております、リリアン・シュガーでございます。」
完璧な挨拶だ。
「ああ、レイモンドと呼んでくれて構わない。ゆっくりしていきなさい、シュガー男爵令嬢。」
「ありがとうございます。わたくしの事もリリアンとお呼び下さい。」
にこりともせずに立ち去ったがあれはリリアンを気にいったな。いつもなら俺の友達がいても「ああ。」としか言わないのに名前を呼ぶ事を許すとはな。さすがリリアンだ。男性キャラに愛されるように出来ているようだ。
庭の東屋にお茶の用意を頼んだ。
季節は初夏で日が落ちるのも遅い。
「お兄様とは、歳が離れているのね。」
離れているといってもたったの5歳だけど。
「そんなでもないわ。兄は今年で21よ?」
「えっ?」
「え?」
「あ…っと、そうなんだ。落ち着いていらっしゃるから。」
つまり老けて見えるって事か。
ドンマイお兄様!
「優秀なのよ。政務官をしているの。」
「へぇ~。」
興味無しかよ。
そこへメイドがお茶とお菓子を持って来た。
「こちらはレイモンド様からお出しするよう申し付けられた物です。」
と、シャーベットを差し出した。
この世界では冷蔵庫はごく一部の金持ちしか持っていない。電気は無いが魔法石で動く魔道具という物がある。その中でも冷蔵庫は特に高価だから、冷たいお菓子はとても貴重なのだ。
「すごいっ!これっ!シャーベット?食べていいの?嬉しいっ!」
すごい食い付きだ。
兄は、と見れば二階の窓からこっそり様子を伺っていた。
俺は見た、無表情で小さくガッツポーズしている。
目が会うとカーテンの陰に隠れた。
良かったな兄。
その日は帰りにリリアンを侯爵邸に招いた。
ちょうど兄であるレイモンド・ヴァンヴェルート・ザカリーの帰宅と重なった。
うってつけの奴とはまさにこの男。
俺と同じ漆黒の髪はお堅い職業なので普段はオールバック。目は深いブルーで顔立ちも良い。
性格は…根はいい人なんだよ、うん、たぶん。
帝国屈指の名門で富豪のザカリー家に生まれたため幼少期よりいいよる女が多すぎてちょっとひねくれてしまったけど。
女はすべて金と名誉の為に男を値踏みしてると思っている。
城で政務官として働いているが将来は父の後がまである宰相を狙っている。
兄とリリアンが一緒になれば俺とは義理の姉妹。城にもちょくちょく呼べる。お泊まりだってOKだ。
「お兄様、お帰りなさいませ。これは学友のシュガー男爵令嬢ですわ。リリアン、ご挨拶を。」
リリアンに対して上からな態度だが貴族社会のルールではしかたがない。
「お初にお目にかかります。ザカリーの小侯爵、レイモンド・ヴァンヴェルート・ザカリー様にご挨拶申し上げいたします。クラウディア様には常々大変お世話になっております、リリアン・シュガーでございます。」
完璧な挨拶だ。
「ああ、レイモンドと呼んでくれて構わない。ゆっくりしていきなさい、シュガー男爵令嬢。」
「ありがとうございます。わたくしの事もリリアンとお呼び下さい。」
にこりともせずに立ち去ったがあれはリリアンを気にいったな。いつもなら俺の友達がいても「ああ。」としか言わないのに名前を呼ぶ事を許すとはな。さすがリリアンだ。男性キャラに愛されるように出来ているようだ。
庭の東屋にお茶の用意を頼んだ。
季節は初夏で日が落ちるのも遅い。
「お兄様とは、歳が離れているのね。」
離れているといってもたったの5歳だけど。
「そんなでもないわ。兄は今年で21よ?」
「えっ?」
「え?」
「あ…っと、そうなんだ。落ち着いていらっしゃるから。」
つまり老けて見えるって事か。
ドンマイお兄様!
「優秀なのよ。政務官をしているの。」
「へぇ~。」
興味無しかよ。
そこへメイドがお茶とお菓子を持って来た。
「こちらはレイモンド様からお出しするよう申し付けられた物です。」
と、シャーベットを差し出した。
この世界では冷蔵庫はごく一部の金持ちしか持っていない。電気は無いが魔法石で動く魔道具という物がある。その中でも冷蔵庫は特に高価だから、冷たいお菓子はとても貴重なのだ。
「すごいっ!これっ!シャーベット?食べていいの?嬉しいっ!」
すごい食い付きだ。
兄は、と見れば二階の窓からこっそり様子を伺っていた。
俺は見た、無表情で小さくガッツポーズしている。
目が会うとカーテンの陰に隠れた。
良かったな兄。
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