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   クラウディア視点

「やだっ!もうっ、このガウンなんか重なり部分が少なくない?」
 それはリリアンの胸が規格外だから。
 メイドが染み抜きの終わったドレスを持ってきた。
「良かったぁーちゃんと落ちてる。これね、レイモンド様からいただいたの。」
「そのドレス気にいったの?」
「うん…初めて男の人から貰ったドレスだもん。」
 頬を染めて嬉しそうに抱きしめる。
 昨晩の事でも思い出しているのか?
 俺だってドレスをプレゼントしたのに。
 兄といい関係になる事を望んでいたのになぜか無性に憎らしくなった。
 ドレスをそっと取り上げベッド脇に立つリリアンをトンと押した。
「きゃっ、何?」
 ポスンっとベッドに倒れたリリアンに覆い被さり、
「俺、男だったって言ったよね?警戒心なさすぎじゃない?」
 リリアンの表情が強ばる。
「冗談…だよね?」
「いや、マジで犯す!」
「ちょっと無理じゃない?だってアレ無いじゃない!」
「今日は無いけど、そのうちなんとかする。」
「なんとかって生えてくるわけじゃなし。」
「あるだろっ?ほら、なんかこうっ…そういう感じのが!」
 こっちの世界でもきっと好き者はいるはずだ。
「無いよっ!通販も無いのにどうやって手に入れるのよっ?」
「なっ!おまっ!通販で何買ってんだよっ?」
「買って無いっ!買ってないからっ!」
 ポカポカと叩く拳もかわいい。
「えっろ!リリアン、えっろっ!」
 良かった。やばかったけど冗談ですませそうだ。
 正直エッチな事はしたい。でも今の関係も壊したくはない。
「そう言えばさあ、この世界の人って体臭ってしなくない?」
「そうかな?意識したことないけど。」
 クンクンと臭いを嗅がれる。ちょっと恥ずかしい。
「クラウディア様はラベンダーみたいな匂いがする。」
「リリアンは花?甘い果実のような香りがするな。」
「さっきバラのお風呂に入れてもらったからかな?
 レイモンド様も臭く無かった。」
「香水?」
「違うと思う。前世では男の人ってなんか臭かったのよね。」
「…お前ろくな男と付き合ってないな?」
「付き合ってなくても、側にいるだけでもなんか臭かったもん。だからセックスなんか苦痛でしかなかった。臭いし、痛いし、汚ないし。」
 やっぱりろくな男と付き合ってないんじゃないか?嫌な思いさせられて男を汚ないと感じるのじゃないだろうか?
「こっちの人は違うの。現実味が無いというか、まるでマンガの性描写を見ているみたいに綺麗なのよね。気持ちいいし。」
 だからそういう事を俺の前で言うなよ、まったく男として見られてないな。まあ、女だしな!
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