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  リリアン視点

 後期の授業ももうすぐ終わる。
 社交シーズンに差し掛かるとちょくちょく男性から声がかかる。
 一応レイモンド様と付き合ってる風に匂わせはしているけど、婚約しているわけじゃないから特定のパートナーや婚約者のいない男性からはもてている。
 だけどいい感じのもてかたじゃない。
 あわよくば遊べないかと思われている節がある。
 エッチな事は好きだけど、誰でもいいわけじゃないし、そんなに尻軽でもない。
 だけど私の見た目がそうなのかな?
 レイモンド様にもそう見えたから遊ばれたのかな…へこむ。
 あの夏の日からお誘いは無くなった。
「学期末のパーティーはどうするの?またお兄様にたのもうか?」
 と、クラウディア様が聞いたけど、
「不参加にしようと思う。…だってレイモンド様にだってそろそろご婚約の話もあるだろうし。ご迷惑になるわ。」
 好かれてなくても厚かましいと思われてたくない。
「そう…ね。婚約するみたいよ。詳しくは知らないけど。」
 やっぱりか。そりゃお誘いも無くなるわな。
「クラウディア様はどうなの?カイル殿下はロザリン嬢とは終わったみたいだけど、卒業パーティーは何事もなさそう?」
「うーん…今のところはね。
 だけどリリアンがそんな風にさみしそうにしてると一緒にいたくなるかもね。
 学期末パーティーにも不参加だとパートナーがいないってわかっちゃうし。」
「え?私、さみしくないよ?クラウディア様もいるし。」
 貴族令嬢の半数は学生時代にはもう婚約者がいる。
 私の所にもお見合い相手を紹介してくれる人はいるけどみんなイマイチ。年寄りの後妻や地位の低い人ばかり。カイル殿下やレイモンド様、上位貴族の多いAクラスにいると目が肥えてしまったかまったく魅力を感じない。
 愛人にならないか?という紹介もあるけれどおばあ様が破り捨てていた。
「私もそろそろね、婚約者みつけないとね。」
 愛人ならレイモンド様がいいな…。無理な話だ。クラウディア様の友達だからちょっと親切にしてくれただけだ。本来なら私は口もきけないような方だもの。
「カイル殿下の側妃にならないか?俺、結構本気なんだけど。
 リリアンが男達からどんな目で見られているかわかるんだ。俺だって元男だから。
 不快な事言ってごめんな。
 リリアンは可愛くて、すごくいじめたくなる。抱きしめて自分のモノにしたくなる。小さくて弱々しくて言いなりに出来る気がするんだ。
 だから放っておけないんだ。
 誰かに酷い目にあわされる前に守りたいんだ。
 だけど、俺も今は女で皇太子妃になる身だ。俺が守ることは出来ない。だけどカイルなら守れる。カイルはまだリリアンの事が好きだし。」
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