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レイモンド視点
リリアンが首都に帰ってくるようだ。
トゥーイが父である我が家の侍従長に挨拶にきたらしい。新しい邸宅も探していると。
私はこの三年近くリリアンには一切干渉しなかった。出来なかった。
これ以上すがりつくなどしても無駄で見苦しいだけだ。
そのうちに彼女を忘れて他に気に入った令嬢が現れる可能性もあるだろう。
だが月日が過ぎるにつれ彼女の事ばかり思い出す。出会った頃は笑顔ばかり見せていたはずなのに、思い出すのは泣き顔ばかりだ。私はそれだけひどい人間だったのだろう。
地方から届く報告書の中に北部からリリアンの名前の入ったものを見るようになった。
早ければ一週間、何も進展がなければ1ヶ月も届かない事もあったが、届けばそれを食い入るように読んだ。
私宛に届いたものでもないし、彼女の日常が書かれている訳でもないのに。それだけが彼女の存在を記している物だから。
相変わらずきれいで読みやすい報告書だ。
私は速やかに処理し、少しでも彼女が働きやすい条件を満たした。もちろん名前の記入はしない。
二年が過ぎた頃、リリアンは所長を退任してしまった。後は他の者に任せても大丈夫だからと。
それでも彼女は首都には帰って来なかった。
彼女との接点は無くなった。
向こうにはクランセン伯爵がいるし、今はリリアンのクラスメイトだったアレックスも行っている。他にも北部には美形が多いと聞く。
私はなんと愚かなのだろう。
どうしようもなく未だにリリアンを愛して嫉妬している。
いっそのこと会いに行ってみるか?
だがまた拒絶されたら?
北部からの帰り道にある湖に入って二度と出て来れないだろう。
そんな事を半年ほど考えていたらクランセン伯爵の侯爵への昇格の話が出た。
もしかしたらと思えば、やはり帰ってくるらしい。
だが会えるか?
どんな顔をして?何の用で?
そして私は会ってどうしたいのだ?
もう恋人にはなれない。
私は彼女に必要無い人間だ。
苦しい。
やはり会うのはやめよう。
気持ちを贈ってもよいだろうか?
捨てられてもいいではないか。
箱を開けて未練がましいとメイド達と笑ってもいいではないか。
その時だけは私を思い出してくれる。
リリアンが首都に帰ってくるようだ。
トゥーイが父である我が家の侍従長に挨拶にきたらしい。新しい邸宅も探していると。
私はこの三年近くリリアンには一切干渉しなかった。出来なかった。
これ以上すがりつくなどしても無駄で見苦しいだけだ。
そのうちに彼女を忘れて他に気に入った令嬢が現れる可能性もあるだろう。
だが月日が過ぎるにつれ彼女の事ばかり思い出す。出会った頃は笑顔ばかり見せていたはずなのに、思い出すのは泣き顔ばかりだ。私はそれだけひどい人間だったのだろう。
地方から届く報告書の中に北部からリリアンの名前の入ったものを見るようになった。
早ければ一週間、何も進展がなければ1ヶ月も届かない事もあったが、届けばそれを食い入るように読んだ。
私宛に届いたものでもないし、彼女の日常が書かれている訳でもないのに。それだけが彼女の存在を記している物だから。
相変わらずきれいで読みやすい報告書だ。
私は速やかに処理し、少しでも彼女が働きやすい条件を満たした。もちろん名前の記入はしない。
二年が過ぎた頃、リリアンは所長を退任してしまった。後は他の者に任せても大丈夫だからと。
それでも彼女は首都には帰って来なかった。
彼女との接点は無くなった。
向こうにはクランセン伯爵がいるし、今はリリアンのクラスメイトだったアレックスも行っている。他にも北部には美形が多いと聞く。
私はなんと愚かなのだろう。
どうしようもなく未だにリリアンを愛して嫉妬している。
いっそのこと会いに行ってみるか?
だがまた拒絶されたら?
北部からの帰り道にある湖に入って二度と出て来れないだろう。
そんな事を半年ほど考えていたらクランセン伯爵の侯爵への昇格の話が出た。
もしかしたらと思えば、やはり帰ってくるらしい。
だが会えるか?
どんな顔をして?何の用で?
そして私は会ってどうしたいのだ?
もう恋人にはなれない。
私は彼女に必要無い人間だ。
苦しい。
やはり会うのはやめよう。
気持ちを贈ってもよいだろうか?
捨てられてもいいではないか。
箱を開けて未練がましいとメイド達と笑ってもいいではないか。
その時だけは私を思い出してくれる。
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