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リリアン視点
レイモンド様に異常な性癖があるかもしれない事は知っていた。
事実上追放となったアレン殿下が書いた原作では私を地下牢に監禁し凌辱の限りをつくした相手だ。
でも今はまだ性犯罪をおかすような人じゃない。
冷静に自分の社会的立場を考えればそんな事できるわけない。
きっとレイモンド様は真面目すぎるから、自分は異常だと悩んで抑圧して余計に拗らせちゃうんじゃないかな?
うつ病になる人も真面目な人が多いって聞いたし。
クールでなんでも簡単にできちゃいそうだけど、幼い頃から名門であるザカリー侯爵家の嫡男として重責を背負ってきたレイモンド様の努力は並大抵のものじゃなかったはず。
でも家族になるんだったら私の前だけでは肩の力を抜いてちょっとだらしないくらいの姿も見せてほしい。
それからほどなくして、私達は結婚式を挙げる事になった。
レイモンド様がなるべく早くと急かした。
クラウディア様が挙式した中央の大神殿は皇族とわずかな上位貴族しか式は挙げれない。そんな所で私も式を挙げる。
真っ白なAラインのドレスに長いベール、特別にクラウディア様から贈られたティアラを頂いた。ティアラは皇族しか着けることが許されないのだけれど、皇太子妃から特別に兄の嫁に贈るという事で特例だった。
控え室でクラウディア様から直接頭に乗せていただいた。
「綺麗だよ。」
「ありがとうございます。」
「このまま連れて逃げたいくらいに。」
「本気っぽい冗談やめて下さい。」
特別に皇太子ご夫妻で参列してくださる。
「皇太子夫妻の俺たちの式より豪華じゃね?」
「レイモンド様がまたカイル殿下に張り合ったみたい。
式場だけじゃないのよ。広場では平民達にも無料でワインを振る舞って貧民街では食事も無料よ。」
「参列者全員にサファイアとトパーズの宝石飾り付き万年筆2本セットのお土産付きだしな。」
「小ぢんまりとした式は最初から無理だとは思っていたけどやりすぎよね?」
「いいんじゃね?あいつ金使う事以外特技は無いから。」
「クラウディア様ひどい。
私の旦那様よ。」
「俺のお兄様だ。」
「うふふっ。」
「あははっ。」
クランセン侯爵が控え室に訪れる。
「リリアン…綺麗だ。本当に…おめでとう。」
言葉につまり涙する。
神殿での挙式は新婦は父親にエスコートされ民衆が見守る中、長い階段をこれまた長いベールを引きずりながら登る。
神殿に入り参列者の間を抜け新郎の待つ祭壇の前に進む。
そこで父親から新郎へとエスコートが変わる。
二人で神官の前に立ち新郎が神に誓いの言葉を述べる。
神?あの神様に誓うのもなんだかな~…。
まあしょうがない。
一般的には新郎がこの者を妻にするっていう誓いというより報告みたいな事を宣言するだけなのだが。
「私、レイモンド・ヴァンヴェルート・ザカリーは、リリアン・シュガーを生涯唯一の妻とし愛し慈しむ事を誓う。君も誓ってはくれないか?もう二度と私の側を離れる事は無いと。」
通常妻が誓う事は無い。
なぜなら妻は従うのが当たり前だから。
だけど、
「嫌です。」
ざわめきがおこる。
「神様には誓いません。私はあなたに、レイモンド様に誓います。あなたが私を愛し大切にしてくださる限り、私があなたの側を離れる事はありません。」
「わかった、私も君に誓おう。生涯君だけを愛し慈しむ事を。」
ベールをめくり、口付けをする。
会場が拍手に包まれた。
神官だけは複雑な表情で、
「とりあえず神様にも誓って下さいませんかね?結婚が成立しませんので。」
レイモンド様に異常な性癖があるかもしれない事は知っていた。
事実上追放となったアレン殿下が書いた原作では私を地下牢に監禁し凌辱の限りをつくした相手だ。
でも今はまだ性犯罪をおかすような人じゃない。
冷静に自分の社会的立場を考えればそんな事できるわけない。
きっとレイモンド様は真面目すぎるから、自分は異常だと悩んで抑圧して余計に拗らせちゃうんじゃないかな?
うつ病になる人も真面目な人が多いって聞いたし。
クールでなんでも簡単にできちゃいそうだけど、幼い頃から名門であるザカリー侯爵家の嫡男として重責を背負ってきたレイモンド様の努力は並大抵のものじゃなかったはず。
でも家族になるんだったら私の前だけでは肩の力を抜いてちょっとだらしないくらいの姿も見せてほしい。
それからほどなくして、私達は結婚式を挙げる事になった。
レイモンド様がなるべく早くと急かした。
クラウディア様が挙式した中央の大神殿は皇族とわずかな上位貴族しか式は挙げれない。そんな所で私も式を挙げる。
真っ白なAラインのドレスに長いベール、特別にクラウディア様から贈られたティアラを頂いた。ティアラは皇族しか着けることが許されないのだけれど、皇太子妃から特別に兄の嫁に贈るという事で特例だった。
控え室でクラウディア様から直接頭に乗せていただいた。
「綺麗だよ。」
「ありがとうございます。」
「このまま連れて逃げたいくらいに。」
「本気っぽい冗談やめて下さい。」
特別に皇太子ご夫妻で参列してくださる。
「皇太子夫妻の俺たちの式より豪華じゃね?」
「レイモンド様がまたカイル殿下に張り合ったみたい。
式場だけじゃないのよ。広場では平民達にも無料でワインを振る舞って貧民街では食事も無料よ。」
「参列者全員にサファイアとトパーズの宝石飾り付き万年筆2本セットのお土産付きだしな。」
「小ぢんまりとした式は最初から無理だとは思っていたけどやりすぎよね?」
「いいんじゃね?あいつ金使う事以外特技は無いから。」
「クラウディア様ひどい。
私の旦那様よ。」
「俺のお兄様だ。」
「うふふっ。」
「あははっ。」
クランセン侯爵が控え室に訪れる。
「リリアン…綺麗だ。本当に…おめでとう。」
言葉につまり涙する。
神殿での挙式は新婦は父親にエスコートされ民衆が見守る中、長い階段をこれまた長いベールを引きずりながら登る。
神殿に入り参列者の間を抜け新郎の待つ祭壇の前に進む。
そこで父親から新郎へとエスコートが変わる。
二人で神官の前に立ち新郎が神に誓いの言葉を述べる。
神?あの神様に誓うのもなんだかな~…。
まあしょうがない。
一般的には新郎がこの者を妻にするっていう誓いというより報告みたいな事を宣言するだけなのだが。
「私、レイモンド・ヴァンヴェルート・ザカリーは、リリアン・シュガーを生涯唯一の妻とし愛し慈しむ事を誓う。君も誓ってはくれないか?もう二度と私の側を離れる事は無いと。」
通常妻が誓う事は無い。
なぜなら妻は従うのが当たり前だから。
だけど、
「嫌です。」
ざわめきがおこる。
「神様には誓いません。私はあなたに、レイモンド様に誓います。あなたが私を愛し大切にしてくださる限り、私があなたの側を離れる事はありません。」
「わかった、私も君に誓おう。生涯君だけを愛し慈しむ事を。」
ベールをめくり、口付けをする。
会場が拍手に包まれた。
神官だけは複雑な表情で、
「とりあえず神様にも誓って下さいませんかね?結婚が成立しませんので。」
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