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残業中に
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その翌日、俺は仕事を休んだ。
そして、その翌日も熱と吐き気が治らず、結局また休んだのだが、
いくら休んでも一向に良くはならなかった。
熱は高くも低くもならず、ただ身体の奥がずっと燃えているようだった。
仕方なく、その次の日には出社した。
俺が休んでいて、主任不在で、新人の面倒もあって――
仕事は山のように溜まっていた。
その夜は残業になり、俺は相変わらずひたすらに具合が悪かった。
残業相手が真人だったことすら、大したことに感じないほど。
ただ、喉が渇いて、吐き気が続いて、身体がずっと熱かった。
五時から残業を始め、夜の七時を過ぎたころ熱い緑茶でも淹れようと給湯室に向かった。
湯気の匂いを嗅いだ瞬間に吐き気が込み上げ、立ちくらみとともに壁にぶつかった。
ドンッと音を立てながら、男子トイレに駆け込む。
個室の扉を閉めるやいなや、胃の中のものを吐き出した。
何度も嗚咽を繰り返し、水だけを吐いて、ようやく少し呼吸が整った。
肩で息をしながら、手洗い場に立って顔を上げる。
鏡の中の自分は、思ったほど悲惨ではなかった。
むしろ頬は上気し、瞳は潤んで、――
血色が良すぎるほどだった。
病人というより、
どこか酔っているような、熱に浮かされた顔。
……なんだ、これ。
丁寧に手を洗い、深呼吸をしてから男子トイレの入り口を見やると、
そこに人影があった。
「野々宮さん、大丈夫ですか?」
真人だった。
驚いて目を見開く。
「……あ、ああ。」
そう答えて隣を通り過ぎようとした瞬間――
ふと、久しぶりに真人の匂いを感じた。
温かくて、落ち着く匂い。
けれど今日は違った。
胸の奥を直接くすぐるような、甘く濃い香りに、
思わず息を止めてしまう。
その刹那、真人の方が先に顔を上げた。
驚いたように目を見開き、
次の瞬間、俺の首筋に顔を寄せた。
「……っ……!」
低く掠れた声とともに、俺の手首が掴まれる。
気づけば隣の多目的トイレに押し込まれ、
背中が壁にぶつかった。
「ま、真人……?」
問いかける声は震えていた。
鍵がかかる音。
そして、首筋に唇が触れた。
「っ……あ」
電流のような熱が走った。
真人の息が耳元をかすめ、首筋を嗅ぎ、噛み、舐め――
全身の血流がめぐるような感覚と真人の甘い匂いにクラクラする。
そしてそれがただ気持ちよくなって、頭が真っ白になっていく。
「あ…んっ……まこ……と……」
声が漏れた。
真人が顔を上げ、目が合った。
その瞳は、いつもの穏やかさはなかった。
αの本能を隠しもせず、有無を言わせない。
「譲さん、いいですね?」
俺は頷いて、彼の後頭部に手を伸ばし、
唇を重ねた。
それが、答えだった。
そして、その翌日も熱と吐き気が治らず、結局また休んだのだが、
いくら休んでも一向に良くはならなかった。
熱は高くも低くもならず、ただ身体の奥がずっと燃えているようだった。
仕方なく、その次の日には出社した。
俺が休んでいて、主任不在で、新人の面倒もあって――
仕事は山のように溜まっていた。
その夜は残業になり、俺は相変わらずひたすらに具合が悪かった。
残業相手が真人だったことすら、大したことに感じないほど。
ただ、喉が渇いて、吐き気が続いて、身体がずっと熱かった。
五時から残業を始め、夜の七時を過ぎたころ熱い緑茶でも淹れようと給湯室に向かった。
湯気の匂いを嗅いだ瞬間に吐き気が込み上げ、立ちくらみとともに壁にぶつかった。
ドンッと音を立てながら、男子トイレに駆け込む。
個室の扉を閉めるやいなや、胃の中のものを吐き出した。
何度も嗚咽を繰り返し、水だけを吐いて、ようやく少し呼吸が整った。
肩で息をしながら、手洗い場に立って顔を上げる。
鏡の中の自分は、思ったほど悲惨ではなかった。
むしろ頬は上気し、瞳は潤んで、――
血色が良すぎるほどだった。
病人というより、
どこか酔っているような、熱に浮かされた顔。
……なんだ、これ。
丁寧に手を洗い、深呼吸をしてから男子トイレの入り口を見やると、
そこに人影があった。
「野々宮さん、大丈夫ですか?」
真人だった。
驚いて目を見開く。
「……あ、ああ。」
そう答えて隣を通り過ぎようとした瞬間――
ふと、久しぶりに真人の匂いを感じた。
温かくて、落ち着く匂い。
けれど今日は違った。
胸の奥を直接くすぐるような、甘く濃い香りに、
思わず息を止めてしまう。
その刹那、真人の方が先に顔を上げた。
驚いたように目を見開き、
次の瞬間、俺の首筋に顔を寄せた。
「……っ……!」
低く掠れた声とともに、俺の手首が掴まれる。
気づけば隣の多目的トイレに押し込まれ、
背中が壁にぶつかった。
「ま、真人……?」
問いかける声は震えていた。
鍵がかかる音。
そして、首筋に唇が触れた。
「っ……あ」
電流のような熱が走った。
真人の息が耳元をかすめ、首筋を嗅ぎ、噛み、舐め――
全身の血流がめぐるような感覚と真人の甘い匂いにクラクラする。
そしてそれがただ気持ちよくなって、頭が真っ白になっていく。
「あ…んっ……まこ……と……」
声が漏れた。
真人が顔を上げ、目が合った。
その瞳は、いつもの穏やかさはなかった。
αの本能を隠しもせず、有無を言わせない。
「譲さん、いいですね?」
俺は頷いて、彼の後頭部に手を伸ばし、
唇を重ねた。
それが、答えだった。
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