『星飴測候庁 — ときめき渋滞、ただいま観測中。—』

星乃和花

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第7話 星飴おしゃべり席、はじまりの一日

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 翌朝。

 星飴測候庁の一階ロビーに、小さなざわめきが生まれていた。
 いつもなら、きちんとした案内板と受付カウンターしかない場所の、
 ちょっと奥まった一角――。

「……できましたぁ」

 庁長が、両手を腰に当てて一歩下がった。
 その先には、昨日まではただの空きスペースだった場所に、
 丸い卓子とやわらかそうな椅子が三脚。
 卓子の上には、星模様のクロスと、
 小さなポットとカップが並んでいる。

 そして、なにより目を引くのは――
 庁長お手製の木製プレートだった。

『星飴おしゃべり席
 ——恋と本音、少しだけ話していきませんか?——』

「……庁長。仮の名前を検討、とおっしゃっていたはずですが」

 ユリウスが、微妙な表情でプレートを見つめる。

「検討した結果よ?」

 庁長は、けろりとした顔で胸を張った。

「“相談窓口”って書くと、かしこまりすぎて足がすくむ人もいるでしょう?
 “おしゃべり席”ぐらいがちょうどいいのよ。
 ついでに、“ティーサロン”って入れようかと思ったけど、
 広報官さんに渋い顔されそうだから、ひとまず我慢したの」

「……十分、ギリギリを攻めていると思います」

 ユリウスは、こめかみを一度押さえ、すぐに諦めたように息を吐いた。

「ですが、目的にはかなっていますね。
 入りやすく、柔らかく、そして、真面目すぎない」

「そうでしょう? ね、シュガールさん」

「す、素敵だと思います……!」

 ミレイユは、少し目をきらきらさせながら答えた。
 星模様のクロスも、丸い椅子も、
 なんだか“星飴版・秘密基地”のように見えて、胸がくすぐったい。

「ここで、わたしたちが、お話を聞くんですよね」

「そうです」

 ユリウスが、軽くうなずく。

「“星飴相談窓口・恋と本音の席(試験運用)”。
 庁内申請上の名称は少々長いですが――
 看板上は“星飴おしゃべり席”で」

「わぁ」

 声に出してみると、
 その響きが、なんだか自分の胸にもやさしく響いた。

(“相談”じゃなくて、“おしゃべり”。
 たしかに、こっちの方が、ちょっとだけ気楽に座れそう)

「では、今日の担当は?」

「午前中は私が第一担当、シュガールさんが第二。
 午後はその逆でいきましょう。
 受付には、“星飴のことを誰かと話したくなったら、ここへどうぞ”と案内しておきます」

「りょ、了解です!」

 ミレイユは、胸の前でこっそり握りこぶしを作った。

 自分が、“誰かの話を聞く場所”の一部になる。
 そのことが、少しこそばゆくて、でも嬉しい。

 *

 開庁からしばらくは、
 おしゃべり席の前を通っていく人たちが、
 ちらちらと看板を見ては、首をかしげるだけだった。

「なに? これ」
「新しい窓口らしいよ。“恋と本音”だって」
「お役所なのかカフェなのかわかんないわね……」

 星飴測候庁らしい、と言えばらしい反応だ。

「最初は、こんなものですよ」

 ユリウスが、落ち着いた声で言う。

「“誰も来ない時間”ごと観測に含めておくのが、広報の仕事です」

「観測に……」

 ミレイユも、卓子の上のカップを整えながら頷いた。

 と、そのとき。

「あの……ここ、座ってもいいですか?」

 控えめな声がして、ふたりは同時に顔を上げた。

 受付で整理券を受け取ったらしい若い女性が、
 手に小さな包み紙を握りしめて立っていた。
 どこか落ち着かない様子で、視線をちらちらと周囲に走らせている。

「もちろんです。どうぞ、おかけください」

 ユリウスがやわらかく促すと、
 女性は、恐る恐る椅子に腰を下ろした。

「本日は、“星飴おしゃべり席”にようこそ。
 私は広報官のユリウス・アストレイ、こちらは星飴調整課のシュガール・ミレイユです」

「しゅ、シュガールです。はじめまして」

 ミレイユも、ぎこちなく会釈した。
 女性は、しばし迷ったように指先をいじり、やがて包み紙を卓子の上にそっと置いた。

「暴風の日の星飴なんですけど……」

 包み紙には、もう文字は残っていない。
 けれど、一行を読み終えたあとの“折れ目”が、そのまま残っていた。

「“本当は、あの人を忘れたくない”って、出て」

 女性は、自分の言葉に小さく肩をすくめた。

「忘れた方が楽なんじゃないかってずっと思ってたのに、
 星飴に、そんなふうに書かれちゃって。
 それが……悔しいような、でも、ホッとしたような、変な気分で」

「悔しいような、ホッとしたような」

 ユリウスが、その言葉をそのまま繰り返す。

「……今は、どちらの方が強いですか?」

「……ホッとした、かなぁ。
 “忘れなきゃいけない”って、自分で自分を追い詰めてたのかもしれません」

 女性は、少し目尻をぬぐった。

「ただ、周りからは“次にいきなよ”って言われてて。
 星飴のせいで、また戻ってるみたいで、悪いことしてる気がして」

「星飴は、“戻しなさい”とは言いませんよ」

 ミレイユが、思わず口を開いていた。

「ただ、“今の本音はこっちですよ”って、
 そっと教えてくれるだけで……」

 女性がミレイユを見る。
 じっと見つめられて、胸がどきんと鳴った。

(わたし、ちゃんと言えてるかな)

「もし、“忘れた方がいい”って思っていたのが、
 誰かの言葉や、こうあるべきっていう考えのせいだったなら、
 星飴は、“あなた自身の声”を優先してくれたのかもしれません」

「わたし自身の、声……」

「“まだ忘れたくない”っていうのも、
 ちゃんと、大事な気持ちだと思うんです」

 言いながら、自分自身の胸にも言葉が落ちてくる。

(わたしだって。
 ひとりで頑張るのがこわいって気持ち、
 星飴に出してもらってやっと認められたんだ)

 ユリウスが、ゆっくりとうなずいた。

「星飴は、天気予報に少し似ています。
 “明日は雨かもしれない”と知ることで、
 傘を持っていくかどうか、自分で決められるようになる。

 “本当は忘れたくない”と知ったなら、
 そのうえでどうしたいか、
 ゆっくり考える時間を持てばいいのです。
 誰かに急かされる必要は、ありません」

 女性は、しばらく黙って、そしてふっと笑った。

「……ここ、“相談窓口”っていうより、
 “言い訳させてくれる席”みたいですね」

「言い訳、大歓迎です」

 ユリウスが、軽く肩をすくめる。

「“言い訳”って、たいてい、“本当はどうしたいか”の手前にあるので」

「なるほど……」

 女性の頬に、さっきより柔らかな紅が差していた。

「なんだか、ちょっと楽になりました。
 星飴にも、暴風証明書にも、感謝を言わなきゃですね」

「星飴には、また今度、晴れの日に“ごほうび飴”として舐めてあげてください」

 ユリウスの冗談めいた一言に、
 女性はくすりと笑って席を立った。

「ありがとうございました、“おしゃべり席”さん」

 そう言って去っていく背中を、
 ミレイユは、胸の奥がじんわり温かくなりながら見送った。

 *

「……緊張しました」

 最初のお客様が去ったあと、
 ミレイユは、卓子の上でそっと手を握りしめた。

「でも、ちゃんと届いていましたよ」

 ユリウスが、穏やかに告げる。

「“忘れた方がいい”と“忘れたくない”の、
 どちらも否定しなかったのが良かったと思います」

「……ありがとうございます」

 胸の奥がぽっと熱くなる。

「ユリウスさんは、どうしてそんなふうに、
 いつも“ちょうどいい言葉”が出てくるんですか?」

「ちょうどよかったかどうかは、いつも後からしかわかりませんよ」

 彼は、少し肩をすくめた。

「私だって、昔は“前に出しすぎた言葉”や、“弱すぎて届かなかった言葉”を、
 何度も何度もやらかしてきましたから」

「……そうなんですか」

「ええ。そのたびに、庁長に“反省会”を開かれ、
 ポルカ課長に“甘いものでも食べなさい”とクッキーを渡され」

「優しい反省会……」

「そういう蓄積の結果が、今の“ちょうどいいらしい言葉”です」

 それを聞いて、ミレイユは、少しだけほっとした。

(ユリウスさんでも、最初から上手だったわけじゃないんだ)

 “失敗を分ける相手”がいることが、
 どれだけ救いになってきたのか。
 それは、きっと彼にも覚えがあるのだろう。

 そのあと、午前中だけで、
 星飴おしゃべり席には何人かの訪問者があった。

 ・昨日の「出張を断りたい」役人さんが、
  「上司に正直に話したら、“じゃあ日程をずらそう”って言われた」と報告に来たり。

 ・庁内の若い予報士が、
  「本当は、自分の予報に自信を持ちたい」と包み紙に出て恥ずかしくなり、
  “自信なんて持ってもいいんでしょうか”と聞きに来たり。

 ・近所のおばあさんが、
  「本当は、孫と星飴フェスに行きたい」と出て、
  「誘って断られたらどうしよう」と不安を持ち込んだり。

 そのたびに、
 ミレイユと言葉を交わした人々の顔は、
 少しだけ軽くなって席を立っていった。

(……星飴って、やっぱりすごい)

 包み紙の一行をきっかけに、
 こんなにも「話してみたいこと」が溢れてくるなんて。

 *

 お昼休み。

 星飴おしゃべり席の卓子に、ポルカ課長がどさっと紙袋を置いた。

「はい、飴職人チームの差し入れ。
 “糖分補給クッキー・星飴相談窓口仕様”」

「し、仕様……?」

「甘さ控えめ、不安溶けやすめ。
 あと、おしゃべりしやすいように、口の中でほろっと崩れるようにしてある」

「そんなところまで調整が……」

 紙袋の中には、小さな星型と雲型のクッキーが詰まっていた。
 庁長のクッキーより、少しだけラフな形だけど、
 それがまた“工房からのお裾分け”らしくて嬉しい。

「おしゃべり席、好評みたいだねぇ」

 ポルカ課長は、ちょっと誇らしげに周囲を見回した。

「何より、“怒鳴り声がほとんど聞こえない”ってのがいい。
 ここ、庁舎の中でいちばん“機嫌のいい空気”になってるよ」

「き、機嫌のいい空気……」

「不安そうな顔して入ってきた人が、
 ちょっと照れた顔で帰っていくの、さっき見たよ。
 星飴も嬉しがってるだろうね」

 そう言って、ポルカ課長は、
 ミレイユの頭をぽん、と優しくつついた。

「よくやってるよ、ミレイユちゃん」

「……っ」

 あの庁長クッキーの甘さが、
 まだ胸の奥に残っていたせいか、
 その一言で、目の奥がまた一気に熱くなってしまった。

「ありがとう、ございます……!」

「感謝の言葉は、広報官さんにもちゃんと言っときなよ。
 ああ見えて、あの人、たぶん“ありがとう不足”だからね」

「えっ」

 図星すぎて、ミレイユは固まった。
 ポルカ課長は、にやりと笑って、工房へ戻っていく。

 残されたクッキーと、
 隣の広報官さんと、
 テーブルににじむ“あたたかい空気”。

(……言えるかな、“ありがとう”)

 さっきまで人々の本音を受け止めていた席で、
 今度は自分の小さな本音が、
 胸の中でむくむくと顔を出していた。

 *

 午後の部が始まる前。

 星飴おしゃべり席に、
 ちょっと珍しい訪問者が現れた。

「やぁやぁ、おふたりとも」

 星柄のストールをひるがえしながら近づいてきたのは、庁長だった。

「庁長が、こちらへ? 何かご用でしょうか」

「ええ。
 “窓口がきちんと機能しているかどうか”を、
 身をもって確認しに来たのよ」

 と言いつつ、庁長はさっさと椅子に座った。

「暴風の日ね、私も星飴を舐めたの。
 包み紙には、“本当は、まだまだ遊び心を失いたくない”って出たわ」

「……庁長らしいですね」

 ユリウスが即答して、庁長はくすっと笑う。

「でしょ? でもね、“年甲斐もなく”って、
 時々自分にブレーキをかけちゃうのよ。
 庁舎のトップなんだから、しっかりしなさいって」

「……」

「でも、星飴にそんなふうに言われちゃったから。
 “まだ遊んでていいのかなぁ”って、
誰かに背中を押してもらいたくなって」

 庁長が、意味ありげにミレイユを見た。

「ねぇ、飴職人さん」

「は、はいっ」

「“星飴おしゃべり席”の看板、やりすぎかしら?」

 その問いに、
 ミレイユは、少しだけ考えてから、首を横に振った。

「わたし、この看板、すごく好きです」

 言葉にしてみると、
 胸の奥にあったもやもやが、すっと形になる。

「“相談窓口”って書いてあったら、
 わたし、きっと、最初の一歩が怖かったと思います。

 でも、“おしゃべり席”って書いてあると、
 “ちゃんと話さなきゃ”じゃなくて、
 “ちょっとだけ話してみようかな”って、思える気がして」

「……“ちょっとだけ話してみようかな”。」

 庁長が、その言葉を反芻するように呟く。

「“遊び心”って、“ちょっとだけやってみようかな”の延長線上にあると思うんです。
 庁長さんの遊び心のおかげで、
 今日、ここに来てくれた人たちが、笑って帰れました。
 だから――」

 ミレイユは、ほんの少し勇気を込めて言った。

「“まだまだ遊んでてください”って、わたしは思います」

 庁長の目が、まるくなる。
 そして、ゆっくりと細められた。

「……いいわねぇ、このおしゃべり席」

 ぽつりと、満足そうに言う。

「ちゃんと、“庁長の遊び心”まで受け止めてくれるなんて」

「窓口の“検証結果”としては、上々ですね」

 ユリウスが、静かに頷いた。

「今後も庁長の遊び心には、ほどほどにお付き合いさせていただきます」

「ほどほどでいいの? たっぷりじゃなくて?」

「庁舎の構造上の安全性を考えると、ほどほどが最適です」

「まったく、相変わらずねぇ、広報官さんは」

 言いながらも、庁長はご機嫌そうだった。

 “遊び心を失いたくない”という包み紙の一行は、
 今日の星飴おしゃべり席の看板によって、
 ちゃんと後押しされている――。

 そんな確信が、そこにはあった。

 *

 庁長が去ったあとも、
 星飴おしゃべり席には、
 ぽつぽつと訪問者が続いた。

 そして、夕方。
 「本日終了」の札をひっくり返したところで、
 ようやく一日が終わった。

「……ふぅ。今日も、よくしゃべりました」

「お疲れさまです。
 “おしゃべり席・試験運用初日”としては、十分な観測量でしたね」

 ユリウスが、メモの束を軽く叩いた。

「“怒り”より、“恥ずかしさと安堵”の方が多かった。
 “言い訳したくなる気持ち”も、よく出ていました」

「言い訳って、そんなに悪いものじゃないんだなって、今日、思いました」

「ええ。“うまく言い訳できる人”は、たいてい、
 自分の本音もどこかでちゃんと知っていますから」

 そこで、ふと、会話が止まった。

 ミレイユは、卓子の上に残ったクッキーの欠片を見つめ、
 そっと深呼吸をした。

「あ、あの……ユリウスさん」

「はい?」

「きょ、今日の“ありがとう”、
 ちゃんと言っておきたくて」

 言いながら、心臓がどくどく鳴る。

「星飴おしゃべり席、一緒にやってくれて、
 わたしの言葉を、ちゃんと“ちょうどよかった”って言ってくれて。

 それから――」

 星飴の包み紙に、
 “本当は、ひとりで頑張るのがこわい”って出てからの自分を、
 ずっと見守ってくれていることも。

「いつも、隣で、“一緒に責任を分けてくれて”ありがとうございます」

 最後のところだけ、
 少し声が震えてしまった。

 ユリウスは、一瞬だけ驚いたように目を瞬き、
 それから、ふっとやわらかく笑った。

「……そういえば」

 彼は、ポケットから折りたたまれた包み紙を取り出した。

 昨日、“やわらか勇気星飴”から浮かび上がった一行。
 『本当は、“ありがとう”をもっと言いたい』。

「この一行は、今日まで有効だったようですね」

 包み紙をひらりと卓子の上に置きながら言う。

「こちらこそ、ありがとうございます、シュガールさん。
 ――“一緒にいてくれて”。」

 その言葉は、星飴の代わりに、
 胸の奥にすとんと落ちてきた。

 黄昏交差点で見た街の顔よりも、
 もっと近くで、
 自分だけに向けられた“観測結果”のようで。

 ミレイユの頬が、夕焼けよりも赤くなる。

「……こちらこそ、です」

 こうして、
 星飴おしゃべり席のはじまりの一日は、
 たくさんの本音と、
 少しの“ありがとう”に包まれながら、静かに幕を閉じた。

 まだ、小瓶の中のピンクの星は、
 じっとその時を待っている。

 けれど――
 ふたりの距離と、
 言葉のあいだに流れる空気だけは、
 昨日より確かに、少しだけ甘くなっていた。
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