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第1話 帳簿は祈りより正直
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神殿の朝は、音が少ない。
石畳を撫でる箒の擦れる音。遠くの回廊で鳴る鈴。香の煙が、光の柱に溶けていく気配。祈りの言葉は、まだ誰の喉にも乗っていないのに、空気だけが「清らか」であることを知っている。
その清らかさの中で、彼女は帳簿を開いた。
厚い革表紙の台帳。指先に染みついた墨の匂いと、乾いた紙の匂い。神殿の実務を預かる者にとって、これは祈りよりも裏切らないものだ。——裏切るのは人で、数字は、嘘をつくときほど正直に歪む。
彼女は静かに息を吐き、ページをめくった。
灯明油。布。薬草。小麦粉。聖水用の瓶。巡礼者へ配るパン。……そして、祭礼に使う香木。
いつも通りの項目。いつも通りの筆跡。いつも通りの算。なのに。
——合わない。
最後の合計に、ほんのわずか、だが確実な欠けがある。小さな誤差ではない。計算のミスにしては綺麗すぎる。帳簿のどこかに、意図的に置かれた「隙」がある。
彼女は眉ひとつ動かさず、もう一度最初から確認した。二度、三度。指先が自然に速くなる。心は落ち着いている。こういう時こそ冷静でいなければ、神殿の実務は崩れる。
けれど、胸の奥にだけ、じわりと熱が湧く。
それは不正への怒りではない。焦りでもない。
——会いに行ける。
その事実が、いちばん最初に浮かんでしまったことが、彼女の恋の厄介さだった。
行き先は決まっている。報告先は本来、会計監督官だ。次に神殿長。順序はある。だが監督官は寄進貴族と近い。神殿長は儀式の準備で忙殺され、些細な齟齬は「後で」で終わる可能性が高い。
そして何より——この手の「綺麗な歪み」を、見落とさない人がいる。
清廉で名高い若き神官。
人々が「お手本」と呼び、子どもがその背中を真似し、巡礼者が祈りを捧げたくなるほど整った人。言葉を選び、身振りを選び、誰かを傷つけないための沈黙を選べる人。
彼の前に立つ理由が、今、彼女の手の中にある。
彼女は帳簿を閉じた。革表紙が小さく鳴る。胸の熱が、それだけで広がりそうになり、彼女は自分の心を軽く叱った。
——落ち着いて。これは仕事。
控えめに。礼儀正しく。正しい距離で。
けれど、積極的に。
彼女は立ち上がり、帳簿と照合用の伝票束を抱えた。歩く足取りは乱れない。裾を引きずらない。祈りの場にふさわしい静けさを守りながら、回廊を進む。
神殿の奥へ向かうほど、光は細くなり、香の匂いは濃くなる。壁の彫刻が増える。祭壇の気配が近づく。ここでは、誰もが声を落とす。
そして、ひとつの扉の前で、彼女は立ち止まった。
執務室。
扉の前に並ぶのは、いつもなら「相談」「祈祷の依頼」「祝福の願い」。列の中にいるとき、彼女は人々の言葉を記録し、必要な手続きを整える役だ。彼に会うのは、いつも“仕事の一部”として。
今日もそうであるはずなのに、扉がやけに重い。
彼女は深呼吸ひとつ。ノックを二回。間を置いて、もう一回。
「……どうぞ」
中から返ってきた声は、澄んだ水のように穏やかだった。
扉を開けると、細長い窓から朝の光が差し込み、書類の山に淡い線を描いていた。机の上には封蝋の押された手紙がいくつも。壁際には祈祷用の器具が整然と並び、埃ひとつない。ここだけ時間の流れが少し遅いように見えるのは、きっと彼がそういう空気を作っているからだ。
そして、机の向こうにいる人が顔を上げた。
彼は神官の衣を纏い、背筋を正して座っていた。髪は整い、目は静かで、表情は柔らかい。誰もが安心する顔。誰もが「清い」と思う顔。
——だから、ずるい。
その目がこちらを正確に見ているだけで、心の奥の不純な部分まで見透かされる気がする。
「お時間、よろしいでしょうか」
彼女は一礼してから、帳簿を胸に抱え直した。声は平常。微笑も、ほんの少し。
「はい。どうぞ。……何かありましたか」
問いかけは、ただの確認のはずだった。けれど彼の目に、ほんのわずか、色が増したように見えた。気のせいかもしれない。彼女がそう見たいだけかもしれない。
彼女は机の前まで進み、書類を差し出した。
「今朝の照合作業で、備蓄帳簿と伝票が一致しない箇所がありました。こちらです」
彼は受け取り、手元の資料へ視線を落とす。指先の動きが丁寧だ。紙を扱う音さえ静かで、乱暴なところがひとつもない。彼女は、その指が祈りの所作だけでなく、誰かの心にも触れてきた指であることを思い、勝手に熱くなりそうになるのを抑えた。
彼は黙って目を走らせた。
沈黙が長いほど、彼女の心臓は余計なことを言い出しそうになる。——会いに来れて嬉しい、など。今、そんな言葉はこの部屋に不要だ。彼女は「仕事」の形を守るためにここへ来た。
やがて彼が、静かに息を吐いた。
「……確かに。これは計算の誤りではないですね」
その一言で、彼女の胸の奥の熱は、別の熱に変わった。恋の熱が引っ込み、不正への警戒が前に出る。彼女はそれに少し安堵する。恋に浮かれる自分が嫌いなのではない。——ただ、彼の清さを壊したくない。
「私も、そう判断しました。香木の出納が、特に綺麗にずれています。巡礼用に回した分として記載されていますが、伝票の署名が……」
指差しをしながら説明すると、彼は首をわずかに傾け、署名欄を見た。そこにある名前は、神殿内で影響力のある者の部下のものだった。
彼の眉が、ごく僅かに動く。ほんの一瞬。けれど、それを見逃すほど彼女は鈍くない。
「……あなたが気づいてくれて良かった」
彼は目を上げ、彼女を見た。
その視線は責めない。疑わない。恐れない。何かを決める前の、まっすぐな目だ。
——この人は、こういう時に逃げない。
それが彼女の恋の始まりだった。
「監督官へも報告すべきですが……先に、あなたに共有した方が安全だと判断しました。順序違反でしたら、申し訳ありません」
言い方は控えめに。謝罪の形を入れて、角を取る。だが、選択は譲らない。
彼は首を横に振った。
「いいえ。正しい判断です。順序は、正しさのためにある。正しさが損なわれるなら、順序は意味を失います」
きれいな言葉。誰でも言えそうで、誰も本当には言えない言葉。
彼女は喉の奥が少し痛くなるのを感じた。——彼が聖人であることが、眩しすぎるときに起こる痛みだ。
「ありがとうございます」
彼は書類を揃え、机の端に置いた。それから、少しだけ躊躇うように、視線を落とし、再び上げた。
その動きが、ほんの少しだけ「人」だった。
「……あなたに、お願いがあります」
彼女は背筋を伸ばした。心臓が一段階、速くなる。
「はい」
「この件を、正式に調べます。ですが、神殿内の動きは複雑です。情報が漏れれば、帳簿はすぐに“整えられる”。——あなたのように、数字の歪みを読む人が必要です」
彼は言葉を選ぶ。その選び方が、いつもより慎重だった。まるで、彼女を引き留めたい理由が“仕事以外”にあることを、自分で恐れているような。
「私の執務の一部として、しばらく、照合と記録の補佐をお願いできますか」
それは神殿内で、彼女が彼のそばにいるための、これ以上ない「正しい理由」だった。
彼女は、すぐに頷かなかった。すぐに頷けば、積極性が露骨になる。慎むべきは、心ではなく態度だ。彼女は少し間を置き、職務としての答えを形にした。
「承知しました。必要な範囲で、協力いたします」
言いながら、彼女は小さく笑った。自分の胸の奥の熱が、祈りよりも確かに生きているのがわかる。
彼はほっとしたように息を吐き、しかし、すぐにいつもの清廉な表情に戻った。
「助かります。……あなたの手が入れば、神殿は壊れない」
その言葉が、何より怖かった。
神殿が壊れないために、彼の心が壊れてしまうのではないかと、ほんの一瞬思ってしまったからだ。
彼女は帳簿を抱え直し、深く一礼した。
「では、必要な資料をまとめて参ります。今日中に、香木の出納を過去三月分、洗い直します」
「無理はしないでください」
「無理は、しません。……現実的に、進めます」
そう言って扉へ向かいかけたとき、背中に静かな声が追いかけてくる。
「……ありがとう」
それは祈りの言葉よりも、ずっと素直で。
彼女は振り返らずに、ただ、頷いた。
扉を閉めると、回廊の空気が戻ってくる。香の匂い。石の冷たさ。神殿の沈黙。
けれど彼女の胸の中だけは、さっきからずっと、灯明が点いたままだった。
——理由ができた。
仕事という名の、正しい隣席。
そして、その隣で、彼の清さを壊さないまま、彼の熱を見つけてしまいたいという、少しだけ不純で、だからこそ正直な祈りが、彼女の中で静かに育ちはじめていた。
石畳を撫でる箒の擦れる音。遠くの回廊で鳴る鈴。香の煙が、光の柱に溶けていく気配。祈りの言葉は、まだ誰の喉にも乗っていないのに、空気だけが「清らか」であることを知っている。
その清らかさの中で、彼女は帳簿を開いた。
厚い革表紙の台帳。指先に染みついた墨の匂いと、乾いた紙の匂い。神殿の実務を預かる者にとって、これは祈りよりも裏切らないものだ。——裏切るのは人で、数字は、嘘をつくときほど正直に歪む。
彼女は静かに息を吐き、ページをめくった。
灯明油。布。薬草。小麦粉。聖水用の瓶。巡礼者へ配るパン。……そして、祭礼に使う香木。
いつも通りの項目。いつも通りの筆跡。いつも通りの算。なのに。
——合わない。
最後の合計に、ほんのわずか、だが確実な欠けがある。小さな誤差ではない。計算のミスにしては綺麗すぎる。帳簿のどこかに、意図的に置かれた「隙」がある。
彼女は眉ひとつ動かさず、もう一度最初から確認した。二度、三度。指先が自然に速くなる。心は落ち着いている。こういう時こそ冷静でいなければ、神殿の実務は崩れる。
けれど、胸の奥にだけ、じわりと熱が湧く。
それは不正への怒りではない。焦りでもない。
——会いに行ける。
その事実が、いちばん最初に浮かんでしまったことが、彼女の恋の厄介さだった。
行き先は決まっている。報告先は本来、会計監督官だ。次に神殿長。順序はある。だが監督官は寄進貴族と近い。神殿長は儀式の準備で忙殺され、些細な齟齬は「後で」で終わる可能性が高い。
そして何より——この手の「綺麗な歪み」を、見落とさない人がいる。
清廉で名高い若き神官。
人々が「お手本」と呼び、子どもがその背中を真似し、巡礼者が祈りを捧げたくなるほど整った人。言葉を選び、身振りを選び、誰かを傷つけないための沈黙を選べる人。
彼の前に立つ理由が、今、彼女の手の中にある。
彼女は帳簿を閉じた。革表紙が小さく鳴る。胸の熱が、それだけで広がりそうになり、彼女は自分の心を軽く叱った。
——落ち着いて。これは仕事。
控えめに。礼儀正しく。正しい距離で。
けれど、積極的に。
彼女は立ち上がり、帳簿と照合用の伝票束を抱えた。歩く足取りは乱れない。裾を引きずらない。祈りの場にふさわしい静けさを守りながら、回廊を進む。
神殿の奥へ向かうほど、光は細くなり、香の匂いは濃くなる。壁の彫刻が増える。祭壇の気配が近づく。ここでは、誰もが声を落とす。
そして、ひとつの扉の前で、彼女は立ち止まった。
執務室。
扉の前に並ぶのは、いつもなら「相談」「祈祷の依頼」「祝福の願い」。列の中にいるとき、彼女は人々の言葉を記録し、必要な手続きを整える役だ。彼に会うのは、いつも“仕事の一部”として。
今日もそうであるはずなのに、扉がやけに重い。
彼女は深呼吸ひとつ。ノックを二回。間を置いて、もう一回。
「……どうぞ」
中から返ってきた声は、澄んだ水のように穏やかだった。
扉を開けると、細長い窓から朝の光が差し込み、書類の山に淡い線を描いていた。机の上には封蝋の押された手紙がいくつも。壁際には祈祷用の器具が整然と並び、埃ひとつない。ここだけ時間の流れが少し遅いように見えるのは、きっと彼がそういう空気を作っているからだ。
そして、机の向こうにいる人が顔を上げた。
彼は神官の衣を纏い、背筋を正して座っていた。髪は整い、目は静かで、表情は柔らかい。誰もが安心する顔。誰もが「清い」と思う顔。
——だから、ずるい。
その目がこちらを正確に見ているだけで、心の奥の不純な部分まで見透かされる気がする。
「お時間、よろしいでしょうか」
彼女は一礼してから、帳簿を胸に抱え直した。声は平常。微笑も、ほんの少し。
「はい。どうぞ。……何かありましたか」
問いかけは、ただの確認のはずだった。けれど彼の目に、ほんのわずか、色が増したように見えた。気のせいかもしれない。彼女がそう見たいだけかもしれない。
彼女は机の前まで進み、書類を差し出した。
「今朝の照合作業で、備蓄帳簿と伝票が一致しない箇所がありました。こちらです」
彼は受け取り、手元の資料へ視線を落とす。指先の動きが丁寧だ。紙を扱う音さえ静かで、乱暴なところがひとつもない。彼女は、その指が祈りの所作だけでなく、誰かの心にも触れてきた指であることを思い、勝手に熱くなりそうになるのを抑えた。
彼は黙って目を走らせた。
沈黙が長いほど、彼女の心臓は余計なことを言い出しそうになる。——会いに来れて嬉しい、など。今、そんな言葉はこの部屋に不要だ。彼女は「仕事」の形を守るためにここへ来た。
やがて彼が、静かに息を吐いた。
「……確かに。これは計算の誤りではないですね」
その一言で、彼女の胸の奥の熱は、別の熱に変わった。恋の熱が引っ込み、不正への警戒が前に出る。彼女はそれに少し安堵する。恋に浮かれる自分が嫌いなのではない。——ただ、彼の清さを壊したくない。
「私も、そう判断しました。香木の出納が、特に綺麗にずれています。巡礼用に回した分として記載されていますが、伝票の署名が……」
指差しをしながら説明すると、彼は首をわずかに傾け、署名欄を見た。そこにある名前は、神殿内で影響力のある者の部下のものだった。
彼の眉が、ごく僅かに動く。ほんの一瞬。けれど、それを見逃すほど彼女は鈍くない。
「……あなたが気づいてくれて良かった」
彼は目を上げ、彼女を見た。
その視線は責めない。疑わない。恐れない。何かを決める前の、まっすぐな目だ。
——この人は、こういう時に逃げない。
それが彼女の恋の始まりだった。
「監督官へも報告すべきですが……先に、あなたに共有した方が安全だと判断しました。順序違反でしたら、申し訳ありません」
言い方は控えめに。謝罪の形を入れて、角を取る。だが、選択は譲らない。
彼は首を横に振った。
「いいえ。正しい判断です。順序は、正しさのためにある。正しさが損なわれるなら、順序は意味を失います」
きれいな言葉。誰でも言えそうで、誰も本当には言えない言葉。
彼女は喉の奥が少し痛くなるのを感じた。——彼が聖人であることが、眩しすぎるときに起こる痛みだ。
「ありがとうございます」
彼は書類を揃え、机の端に置いた。それから、少しだけ躊躇うように、視線を落とし、再び上げた。
その動きが、ほんの少しだけ「人」だった。
「……あなたに、お願いがあります」
彼女は背筋を伸ばした。心臓が一段階、速くなる。
「はい」
「この件を、正式に調べます。ですが、神殿内の動きは複雑です。情報が漏れれば、帳簿はすぐに“整えられる”。——あなたのように、数字の歪みを読む人が必要です」
彼は言葉を選ぶ。その選び方が、いつもより慎重だった。まるで、彼女を引き留めたい理由が“仕事以外”にあることを、自分で恐れているような。
「私の執務の一部として、しばらく、照合と記録の補佐をお願いできますか」
それは神殿内で、彼女が彼のそばにいるための、これ以上ない「正しい理由」だった。
彼女は、すぐに頷かなかった。すぐに頷けば、積極性が露骨になる。慎むべきは、心ではなく態度だ。彼女は少し間を置き、職務としての答えを形にした。
「承知しました。必要な範囲で、協力いたします」
言いながら、彼女は小さく笑った。自分の胸の奥の熱が、祈りよりも確かに生きているのがわかる。
彼はほっとしたように息を吐き、しかし、すぐにいつもの清廉な表情に戻った。
「助かります。……あなたの手が入れば、神殿は壊れない」
その言葉が、何より怖かった。
神殿が壊れないために、彼の心が壊れてしまうのではないかと、ほんの一瞬思ってしまったからだ。
彼女は帳簿を抱え直し、深く一礼した。
「では、必要な資料をまとめて参ります。今日中に、香木の出納を過去三月分、洗い直します」
「無理はしないでください」
「無理は、しません。……現実的に、進めます」
そう言って扉へ向かいかけたとき、背中に静かな声が追いかけてくる。
「……ありがとう」
それは祈りの言葉よりも、ずっと素直で。
彼女は振り返らずに、ただ、頷いた。
扉を閉めると、回廊の空気が戻ってくる。香の匂い。石の冷たさ。神殿の沈黙。
けれど彼女の胸の中だけは、さっきからずっと、灯明が点いたままだった。
——理由ができた。
仕事という名の、正しい隣席。
そして、その隣で、彼の清さを壊さないまま、彼の熱を見つけてしまいたいという、少しだけ不純で、だからこそ正直な祈りが、彼女の中で静かに育ちはじめていた。
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