8 / 15
第八章 白の潮(しお)と無声の小歌
しおりを挟む
その夕方、霧は海から押し寄せる潮のように厚みを増した。
王都の屋根がひとつ、またひとつ輪郭を失い、星灯の苔は脈を乱す。見張り台の鐘が二度、三度——短く速い「濃霧潮(コーム・タイド)」の合図。
「列を三歩で揃えてください。“とん・とん・とん、ふわ”。窓は半分だけ。温かい湯を、苔の棚の近くに置いて——はい、“温・分・星”です」
ミレイユは門の外の広場で、暮らしの作法を配っていた。臨時許可は停止中。境界線は越えない。
けれど、門の外にも灯りはあり、人の呼吸がある。パン屋の老女、書記官の青年、子どもたち。皆の歩幅が揃うたび、棚の苔がかすかに灯る。
遠く、王宮の塔の上で灯りが一つ、激しく揺れた。
胸が、きゅ、と縮む。あそこに彼がいる。
「クローバー令嬢!」
門の内側から、侍従長アーノの声。蒼い外套が霧を割る。
「“星灯守”の臨時任命——市中統率に限り、歌唱禁止、巡視同伴つき。入門を許可します」
手渡された板札には、王太子の小さな朱印。端に細い書き足し。
——命令:生き延びろ。
ミレイユは短く息を吸い、うなずいた。
「従います。——歌は使いません。呼吸だけ」
ルクが彼女の足元へ飛び出す。鈴が、ちり。
近衛二人が左右につき、門が開く。霧の白がふわりと頬を撫でた。
⸻
王宮の回廊は静かな奔流だった。
星灯温室の前で、ミレイユは立ち止まり、近衛へ指示する。
「ここで“歩幅合わせ”を。三人と一匹で、“とん・とん・とん、ふわ”。……はい。苔の脈が戻りました」
温室の苔がふっと明るむ。ルクが満足げに喉を鳴らし、前へ導く。
塔へ続く螺旋の階段——一段ごとに微妙に湿度が違うのがわかる。ミレイユは足運びで調律しながら登った。
“とん・とん・とん、ふわ”。
呼吸だけで歌う、無声の小歌。衣装のない音楽。
踊り場。
近衛が指で上方を示す。塔の上、古い結び目と湿度計。そこに王太子がいる。
ミレイユは両手を胸もとで合わせ、小さく息を送った。
“ふわ”を探す呼吸。
霧が一瞬、薄くなる。
⸻
塔の上。
シリウスは結び目を締め直し、湿度計の目盛りを読み替えた。律の紋が手の甲で静かに光る。
階下から、無音の旋律。——呼吸の衣装。
彼は目を閉じ、短く笑う(自分でもわからないほどの、笑いに似た呼気だ)。
「……うるさい」
だが、続けろ。
彼は記憶の“あわせ”をなぞる。三拍と余白。線と曲線。
律は秩序。秩序は封ずるためでなく、運ぶためにある——そう決めて、指先で古い機構を動かす。錆びた歯車が噛み、薄い霧の水分が苔に行き渡る路を開く。
風が強くなる。塔がきしむ。
律紋が一瞬、鋭く疼いた。
彼は階下へ視線を落とす。霧の底で、蜂蜜色の髪がわずかに揺れた気がした。気のせいかもしれない。だが——
「ここにいろ。しばらく」
誰にも聞こえない声で、彼は言った。
⸻
踊り場。
ミレイユは手すりに片手を添え、目を閉じる。
上の風が強い。塔は呼吸する。
彼女は声を出さないまま、“あわせ”の型を呼吸だけで置いた。三拍と、余白。
そのとき、階段の下から慌てた靴音。従妹エリゼが裾を持ち上げて駆け上がってくる。
「ミレイユ! ここでしたのね。わたくし——“歌”の噂を消そうと、通達の写しを配っていたのだけど、反対派が“証拠に歌え”って」
「歌わないのが証拠です。……エリゼ、ここで一緒に“歩幅合わせ”を。喉ではなく、足で」
二人は並び、足で三拍を刻む。“とん・とん・とん、ふわ”。
近衛も加わり、踊り場に静かな四重奏。
塔の苔が、少しずつ落ち着く。
アーノが下から顔を上げ、短く頷いた。「上は殿下が持ちます。こちらは——頼みます」
「任されました」
ミレイユは胸の奥で“温・分・星”。
温める。分ける。余白を置く。
彼女が指先で空気に小さな星を描くと、霧が一瞬だけ、その形を覚えた。
⸻
その頃、宰相代理ヴァルンは回廊で立ち止まっていた。
濃霧潮の中、王宮の動脈は規則正しく動いている。だが——
踊り場の足音。三拍と余白。歌はない。
彼は舌打ちを呑み、アーノに問う。
「小娘を塔に近づけるとは」
「“星灯守”の臨時です。公示の通り、“作法”として」
「情は——」
言い切らず、ヴァルンは喉を揉んだ。
皿の端に寄せた蜂蜜菓子の甘い匂いが、不意に記憶を撫でたのだ。
彼は結果だけを見ろと自分に命じ、黙って塔の灯りを見上げた。
⸻
塔の上。
風が最後の突起を叩き、機構の針が所定の位置へ入った。
緊張の糸が、ひとつほどける。
シリウスは深く息を吐いた。胸の内側で“ふわ”が見つかる。探さずとも、そこにある。
——呼吸は衣装。
階下の無声の小歌が、まだ続いている。
彼は手すりに片手を置き、視線を落とし、霧の底に向かって短く呟いた。
「……よくやった」
風が答える。
苔が、安定する。
⸻
濃霧潮は、潮が引くように弱まりはじめた。
回廊で、灯りが次々と落ち着く。
ミレイユは最後の“ふわ”を置き、目を開ける。胸の奥の雨雲は、今夜も仕事を休んだらしい。
アーノが階上から降りてきて、彼女に板札を返した。
「任務完了。“星灯守(臨時)”、よくやりました」
「ありがとうございます。——殿下は?」
「塔で、結び目を締め直しておられます。……降りてこられるまで、ここでお待ちを」
ミレイユは踊り場の石に腰かけ、膝の上で手を組む。
ルクが隣で丸くなり、尾を“成功”の形で一度だけ揺らした。
やがて、足音。
藍のマントが霧を分け、シリウスが降りてきた。額に薄い汗、肩に風の匂い。
「殿下」
「クローバー令嬢」
二人は礼法の距離で立ち、同じ高さで息をした。
彼は懐から何かを取り出す。小さな、薄い金の栞——星型。そこに細い文字が刻まれている。
——星灯守・臨時札/返却期限:またやろう
「……冗談が上手になりましたね、殿下」
「努力した」
ミレイユは笑い、栞を両手で受け取って、手帳の“今日”に挟む。
彼は一歩だけ近づき——しかし抱きしめない。礼法を守る距離で、短く言う。
「泣くな。命令だ」
「泣いていません。……でも、雨雲が“ありがとう”と言っています」
「翻訳が必要だ」
「“またやろう”の意味です」
彼の口の端が、わずかにゆるむ。
アーノは視線を逸らし、階段の影で砂時計をひっくり返した(気づかれないように)。
ヴァルンは遠目から見て、何も言わなかった。彼の中で、砂糖菓子の理屈がほんの少しだけ溶けたのかもしれない。
「殿下」ミレイユが言う。「塔の上は、怖くなかったですか」
「怖いのは、落ちることではない。——余白を失うことだ」
答えは、彼らしか知らない言語で、正確でやさしかった。
ミレイユは胸の前で手を重ね、小さくうなずく。
「余白は、あります」
「ああ。——君が置いた」
沈黙が一つ、星印になって踊り場に灯る。
彼は回れ右しかけて、ふと立ち止まる。
「クローバー令嬢」
「はい」
「今夜は寄り道を——」
言いかけて、彼は自ら首を振った。
「許さない。……形を守る」
「わかっています。形は、いつでも金継ぎできます」
互いに礼。
彼は上へ戻り、彼女は下へ降りる。別の方向へ、同じ歩幅で。
“とん・とん・とん、ふわ”。
⸻
夜更け。
王都の屋根は輪郭を取り戻し、星灯はゆっくり呼吸している。
門の外では、パン屋の老女が片付けをしながら、誰にともなく言った。
「作法ってのは、歌わなくても伝わるもんだねえ」
書記官の青年が笑う。「通達、増刷します」
ルクが広場を横切り、どこかへ走る。鈴が、ちり。
⸻
ミレイユの部屋。
彼女は手帳を開き、今日の頁に鉛筆で小さな星を描く。
その隣に、薄い金の栞——“返却期限:またやろう”。
〈今日の星印:白の潮/無声の小歌/任務完了〉
彼女は手帳を閉じ、胸に当てる。
窓の外で、星のない空に、見えない星がひとつ灯った気がした。
「殿下——またやろう」
囁きは霧に溶け、塔の上で磨かれた朱印が、静かに光を返した。
王都の屋根がひとつ、またひとつ輪郭を失い、星灯の苔は脈を乱す。見張り台の鐘が二度、三度——短く速い「濃霧潮(コーム・タイド)」の合図。
「列を三歩で揃えてください。“とん・とん・とん、ふわ”。窓は半分だけ。温かい湯を、苔の棚の近くに置いて——はい、“温・分・星”です」
ミレイユは門の外の広場で、暮らしの作法を配っていた。臨時許可は停止中。境界線は越えない。
けれど、門の外にも灯りはあり、人の呼吸がある。パン屋の老女、書記官の青年、子どもたち。皆の歩幅が揃うたび、棚の苔がかすかに灯る。
遠く、王宮の塔の上で灯りが一つ、激しく揺れた。
胸が、きゅ、と縮む。あそこに彼がいる。
「クローバー令嬢!」
門の内側から、侍従長アーノの声。蒼い外套が霧を割る。
「“星灯守”の臨時任命——市中統率に限り、歌唱禁止、巡視同伴つき。入門を許可します」
手渡された板札には、王太子の小さな朱印。端に細い書き足し。
——命令:生き延びろ。
ミレイユは短く息を吸い、うなずいた。
「従います。——歌は使いません。呼吸だけ」
ルクが彼女の足元へ飛び出す。鈴が、ちり。
近衛二人が左右につき、門が開く。霧の白がふわりと頬を撫でた。
⸻
王宮の回廊は静かな奔流だった。
星灯温室の前で、ミレイユは立ち止まり、近衛へ指示する。
「ここで“歩幅合わせ”を。三人と一匹で、“とん・とん・とん、ふわ”。……はい。苔の脈が戻りました」
温室の苔がふっと明るむ。ルクが満足げに喉を鳴らし、前へ導く。
塔へ続く螺旋の階段——一段ごとに微妙に湿度が違うのがわかる。ミレイユは足運びで調律しながら登った。
“とん・とん・とん、ふわ”。
呼吸だけで歌う、無声の小歌。衣装のない音楽。
踊り場。
近衛が指で上方を示す。塔の上、古い結び目と湿度計。そこに王太子がいる。
ミレイユは両手を胸もとで合わせ、小さく息を送った。
“ふわ”を探す呼吸。
霧が一瞬、薄くなる。
⸻
塔の上。
シリウスは結び目を締め直し、湿度計の目盛りを読み替えた。律の紋が手の甲で静かに光る。
階下から、無音の旋律。——呼吸の衣装。
彼は目を閉じ、短く笑う(自分でもわからないほどの、笑いに似た呼気だ)。
「……うるさい」
だが、続けろ。
彼は記憶の“あわせ”をなぞる。三拍と余白。線と曲線。
律は秩序。秩序は封ずるためでなく、運ぶためにある——そう決めて、指先で古い機構を動かす。錆びた歯車が噛み、薄い霧の水分が苔に行き渡る路を開く。
風が強くなる。塔がきしむ。
律紋が一瞬、鋭く疼いた。
彼は階下へ視線を落とす。霧の底で、蜂蜜色の髪がわずかに揺れた気がした。気のせいかもしれない。だが——
「ここにいろ。しばらく」
誰にも聞こえない声で、彼は言った。
⸻
踊り場。
ミレイユは手すりに片手を添え、目を閉じる。
上の風が強い。塔は呼吸する。
彼女は声を出さないまま、“あわせ”の型を呼吸だけで置いた。三拍と、余白。
そのとき、階段の下から慌てた靴音。従妹エリゼが裾を持ち上げて駆け上がってくる。
「ミレイユ! ここでしたのね。わたくし——“歌”の噂を消そうと、通達の写しを配っていたのだけど、反対派が“証拠に歌え”って」
「歌わないのが証拠です。……エリゼ、ここで一緒に“歩幅合わせ”を。喉ではなく、足で」
二人は並び、足で三拍を刻む。“とん・とん・とん、ふわ”。
近衛も加わり、踊り場に静かな四重奏。
塔の苔が、少しずつ落ち着く。
アーノが下から顔を上げ、短く頷いた。「上は殿下が持ちます。こちらは——頼みます」
「任されました」
ミレイユは胸の奥で“温・分・星”。
温める。分ける。余白を置く。
彼女が指先で空気に小さな星を描くと、霧が一瞬だけ、その形を覚えた。
⸻
その頃、宰相代理ヴァルンは回廊で立ち止まっていた。
濃霧潮の中、王宮の動脈は規則正しく動いている。だが——
踊り場の足音。三拍と余白。歌はない。
彼は舌打ちを呑み、アーノに問う。
「小娘を塔に近づけるとは」
「“星灯守”の臨時です。公示の通り、“作法”として」
「情は——」
言い切らず、ヴァルンは喉を揉んだ。
皿の端に寄せた蜂蜜菓子の甘い匂いが、不意に記憶を撫でたのだ。
彼は結果だけを見ろと自分に命じ、黙って塔の灯りを見上げた。
⸻
塔の上。
風が最後の突起を叩き、機構の針が所定の位置へ入った。
緊張の糸が、ひとつほどける。
シリウスは深く息を吐いた。胸の内側で“ふわ”が見つかる。探さずとも、そこにある。
——呼吸は衣装。
階下の無声の小歌が、まだ続いている。
彼は手すりに片手を置き、視線を落とし、霧の底に向かって短く呟いた。
「……よくやった」
風が答える。
苔が、安定する。
⸻
濃霧潮は、潮が引くように弱まりはじめた。
回廊で、灯りが次々と落ち着く。
ミレイユは最後の“ふわ”を置き、目を開ける。胸の奥の雨雲は、今夜も仕事を休んだらしい。
アーノが階上から降りてきて、彼女に板札を返した。
「任務完了。“星灯守(臨時)”、よくやりました」
「ありがとうございます。——殿下は?」
「塔で、結び目を締め直しておられます。……降りてこられるまで、ここでお待ちを」
ミレイユは踊り場の石に腰かけ、膝の上で手を組む。
ルクが隣で丸くなり、尾を“成功”の形で一度だけ揺らした。
やがて、足音。
藍のマントが霧を分け、シリウスが降りてきた。額に薄い汗、肩に風の匂い。
「殿下」
「クローバー令嬢」
二人は礼法の距離で立ち、同じ高さで息をした。
彼は懐から何かを取り出す。小さな、薄い金の栞——星型。そこに細い文字が刻まれている。
——星灯守・臨時札/返却期限:またやろう
「……冗談が上手になりましたね、殿下」
「努力した」
ミレイユは笑い、栞を両手で受け取って、手帳の“今日”に挟む。
彼は一歩だけ近づき——しかし抱きしめない。礼法を守る距離で、短く言う。
「泣くな。命令だ」
「泣いていません。……でも、雨雲が“ありがとう”と言っています」
「翻訳が必要だ」
「“またやろう”の意味です」
彼の口の端が、わずかにゆるむ。
アーノは視線を逸らし、階段の影で砂時計をひっくり返した(気づかれないように)。
ヴァルンは遠目から見て、何も言わなかった。彼の中で、砂糖菓子の理屈がほんの少しだけ溶けたのかもしれない。
「殿下」ミレイユが言う。「塔の上は、怖くなかったですか」
「怖いのは、落ちることではない。——余白を失うことだ」
答えは、彼らしか知らない言語で、正確でやさしかった。
ミレイユは胸の前で手を重ね、小さくうなずく。
「余白は、あります」
「ああ。——君が置いた」
沈黙が一つ、星印になって踊り場に灯る。
彼は回れ右しかけて、ふと立ち止まる。
「クローバー令嬢」
「はい」
「今夜は寄り道を——」
言いかけて、彼は自ら首を振った。
「許さない。……形を守る」
「わかっています。形は、いつでも金継ぎできます」
互いに礼。
彼は上へ戻り、彼女は下へ降りる。別の方向へ、同じ歩幅で。
“とん・とん・とん、ふわ”。
⸻
夜更け。
王都の屋根は輪郭を取り戻し、星灯はゆっくり呼吸している。
門の外では、パン屋の老女が片付けをしながら、誰にともなく言った。
「作法ってのは、歌わなくても伝わるもんだねえ」
書記官の青年が笑う。「通達、増刷します」
ルクが広場を横切り、どこかへ走る。鈴が、ちり。
⸻
ミレイユの部屋。
彼女は手帳を開き、今日の頁に鉛筆で小さな星を描く。
その隣に、薄い金の栞——“返却期限:またやろう”。
〈今日の星印:白の潮/無声の小歌/任務完了〉
彼女は手帳を閉じ、胸に当てる。
窓の外で、星のない空に、見えない星がひとつ灯った気がした。
「殿下——またやろう」
囁きは霧に溶け、塔の上で磨かれた朱印が、静かに光を返した。
0
あなたにおすすめの小説
拾った年上侯爵が甘え上手すぎて、よしよししてたら婚約することになりました
星乃和花
恋愛
⭐︎火木土21:00更新ー本編8話・後日談8話⭐︎
王都の市場で花屋をしているリナは、ある朝――
路地裏で倒れている“美形の年上男性”を拾ってしまう。
熱で弱っているだけ……のはずが、彼はなぜか距離が近い。
「行かないで」「撫でて」「君がいると回復する」
甘えが上手すぎるうえに、褒め方までずるい。
よしよし看病してあげていたら、いつの間にか毎日市場に現れるようになり、
気づけば花屋は貴族の面会所(?)になっていて――
しかも彼の正体は、王都を支える侯爵家の当主だった!?
「君は国のために必要だ(※僕が倒れるから)」
年上当主の“甘え策略”に、花屋の心臓は今日ももたない。
ほのぼの王都日常コメディ×甘やかし捕獲ラブ、開幕です。
『階段対策会議(※恋愛)――年上騎士団長の健康管理が過剰です』
星乃和花
恋愛
【完結済:全9話】
経理兼給仕のクラリスは、騎士団で働くただの事務員――のはずだった。
なのに、年上で情緒に欠ける騎士団長グラントにある日突然こう言われる。
「君は転倒する可能性がある。――健康管理対象にする」
階段対策会議、動線の変更、手をつなぐのは転倒防止、ストール支給は防寒対策。
全部合理的、全部正しい。……正しいはずなのに!
「頬が赤い。必要だ」
「君を、大事にしたい」
真顔で“強い言葉”を投下してくる団長に、乙女心を隠すクラリスの心拍数は業務超過。
さらに副団長ローレンは胃薬片手に「恋は会議にするな!!」と絶叫中!?
これは健康管理?それとも恋愛?
――答え合わせの前に、まず“階段(概念)“をご確認ください。
冷酷騎士様の「愛さない」は一分も持たなかった件
水月
恋愛
「君を愛するつもりはない」
結婚初夜、帝国最強の冷酷騎士ヴォルフラム・ツヴァルト公爵はそう言い放った。
出来損ないと蔑まれ、姉の代わりの生贄として政略結婚に差し出されたリーリア・ミラベルにとって、それはむしろ救いだった。
愛を期待されないのなら、失望させることもない。
契約妻として静かに役目を果たそうとしたリーリアは、緩んだ軍服のボタンを自らの銀髪と微弱な強化魔法で直す。
ただ「役に立ちたい」という一心だった。
――その瞬間。
冷酷騎士の情緒が崩壊した。
「君は、自分の価値を分かっていない」
開始一分で愛さない宣言は撤回。
無自覚に自己評価が低い妻に、激重独占欲を発症した最強騎士が爆誕する。
以後、
寝室は強制統合
常時抱っこ移動
一秒ごとに更新される溺愛
妻を傷つける者には容赦なし宣言
甘さ過多、独占欲過剰、愛情暴走中。
さらにはリーリアを取り戻そうとする実家の横槍まで入り――?
自己評価ゼロの健気令嬢と愛が一分も我慢できなかった最強騎士。
溺愛が止まらない、契約結婚から始まる甘すぎる逆転ラブコメ
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
好きすぎます!※殿下ではなく、殿下の騎獣が
和島逆
恋愛
「ずっと……お慕い申し上げておりました」
エヴェリーナは伯爵令嬢でありながら、飛空騎士団の騎獣世話係を目指す。たとえ思いが叶わずとも、大好きな相手の側にいるために。
けれど騎士団長であり王弟でもあるジェラルドは、自他ともに認める女嫌い。エヴェリーナの告白を冷たく切り捨てる。
「エヴェリーナ嬢。あいにくだが」
「心よりお慕いしております。大好きなのです。殿下の騎獣──……ライオネル様のことが!」
──エヴェリーナのお目当ては、ジェラルドではなく獅子の騎獣ライオネルだったのだ。
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
義姉の身代わりで変態侯爵に嫁ぐはずが囚われました〜助けた人は騎士団長で溺愛してきます〜
涙乃(るの)
恋愛
「お姉さまが死んだ……?」
「なくなったというのがきこえなかったのか!お前は耳までグズだな!」
母が亡くなり、後妻としてやってきたメアリー夫人と連れ子のステラによって、執拗に嫌がらせをされて育ったルーナ。
ある日ハワード伯爵は、もうすぐ50になる嗜虐趣味のあるイエール侯爵にステラの身代わりにルーナを嫁がせようとしていた。
結婚が嫌で逃亡したステラのことを誤魔化すように、なくなったと伝えるようにと強要して。
足枷をされていて逃げることのできないルーナは、嫁ぐことを決意する。
最後の日に行き倒れている老人を助けたのだが、その人物はじつは……。
不遇なルーナが溺愛さるまで
ゆるっとサクッとショートストーリー
ムーンライトノベルズ様にも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる