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第4話 満天の星と、連れ去りの誘い②
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翌日。
ミラは早めの時間に店の前に立っていた。
もう従業員ではない。
でも、昨日はあまりに突然なことで、きちんと挨拶もできなかった。
返しそびれた名札と、ロッカーの中に置きっぱなしにしてしまった小さな私物。
それらを整理するために、もう一度だけ足を運ぶことにしたのだ。
(それに……)
昨日のリオンの申し出を、きちんと断らなければならない。
彼の言葉は、嬉しかった。
でも、自分の気持ちが追いついていないまま飛び込むのは、やっぱり違う気がした。
店の自動扉が開き、ミラは中に入る。
受付カウンターには、事務員の女性が座っていた。
「すみません。昨日、退職の手続きで伺ったミラです。ロッカーの中に残っているものを――」
「ああ、ミラさんね」
女性の表情が、ほんの一瞬だけ固くなった。
「店長から聞いてますよ。……こちら、“解雇通知書”です」
差し出された封筒に、「解雇」の文字が明記されている。
昨日、“本日付けで終了”と言われたことが、正式な形になったのだ。
「ロッカーの中のものは、こちらでまとめておきました」
小さな箱が渡される。
中には、予備のメモ帳、ハンカチ、使いかけのペン、そして、こっそり書いていたPOPの下書きが何枚か。
「……ありがとうございます」
ミラは、封筒と箱を抱えた。
受付の女性は、それ以上何も言わない。
周りを行き交うスタッフも、ちらりと視線を向けるだけで、すぐに目を逸らす。
その様子に、ミラは「ああ、本当に終わったんだ」と理解した。
(ここでは、もう、何もできない)
言葉にならない寂しさが、喉元までせり上がってくる。
それでも、礼儀正しく頭を下げて、ミラは店を出た。
◇
外の空気は、思ったより冷たかった。
太陽は高く昇っているのに、風だけが妙に心細い温度をしている。
封筒と箱を抱えながら、ミラは一歩、二歩と歩き出した。
そのとき。
「やあ」
すぐ目の前で、穏やかな声がした。
顔を上げると、街路樹の陰に、見慣れた姿がもたれている。
「……リオンさん?」
「断りに来た顔だな」
リオンは、そう言って口の端を上げた。
「来る時間を当てるのは難しかった。……こういうのは慣れてないが、まあ、勘は悪くないらしい」
軽い調子なのに、その目は真剣だった。
ミラは、抱えていた箱を抱き直す。
「き、昨日のお返事をしようと思って……」
「聞こう」
リオンは、真っ直ぐに見る。
「昨日の話は、とても嬉しかったです。でも――」
喉の奥が詰まりそうになるのを、なんとか飲み込む。
「今のまま、すぐに新しい場所へ行くのが、怖くて。
自分が、ただ逃げているだけなんじゃないかって……」
言葉にすると、情けなく響いてしまう。
それでも、誤魔化したくはなかった。
「だから、一度は、お断りしようと思って……」
「一度は、か」
リオンは少しだけ笑った。
「じゃあ、二度目の話をしよう」
「え?」
「昨日は、“必要ないと言われたら、その足で来い”と言ったな」
リオンの視線が、ミラの抱える封筒に落ちる。
「……もう、言われただろう?」
封筒の表に書かれた、「解雇通知書」の文字。
それは、改めて目にすると、やはり胸に痛い。
「昨日は口頭。今日は正式な紙。……二回もだ」
リオンは、淡々と言葉を重ねる。
「もう十分だろう。ここが君を必要としていないことは」
ミラの胸の奥で、何かがふっと力を失った。
「君は、“逃げる”って言ったが」
リオンは首を横に振る。
「毒のある土から、自分で根を抜いて別の場所に移ることを、“逃げる”とは言わない。……それを、“選ぶ”って言うんだ」
その言い方は、静かで、けれど強かった。
「昨日までの君の頑張りが、消えるわけじゃない。
棚に残った笑顔も、君の書いた言葉も、全部ちゃんと、この店に残ってる」
「……でも」
「でも、君はもう、ここではこれ以上、咲けない」
きっぱりと言い切る。
「それなら、別の場所を選ぶ権利がある」
リオンは少しだけ前に出て、ミラの箱をそっと受け取った。
「俺の願いは、変わらない。
――うちに来てくれ」
箱を片手で軽々と持ち上げ、馬車の荷台に乗せながら言う。
「これは、俺の都合でもある。
君の技術が、欲しい。
君の“こだわり”が、うちの店に必要だ」
まっすぐな視線が、逃げ場を与えない。
けれど、それは追い詰めるためではなく、
「ここに出口がある」と示すための強さに思えた。
「……本当に、わたしでいいんですか」
ミラの声は、かすかに震えていた。
「誰か他の、もっと上手な人が――」
「もっと上手い人間がいるなら、そいつはそいつの場所で光るだろう」
リオンは微かに笑う。
「俺は、昨日からずっとここにいる。
“ミラがいい”と決めたから、こうして待っていたんだ」
その一言が、胸の奥の何かを決定的に揺らした。
「必要ない」と言われた。
「ミラがいい」と言われた。
どちらを、信じたいか。
「…………」
風が吹く。
街路樹の葉がざわめき、遠くで鐘の音が鳴った。
ミラは、ポケットに入れていたカードを握りしめる。
昨日、屋上で受け取った、小さな約束。
まだ折り目もついていないその紙は、妙に重く感じられた。
(逃げるんじゃない)
自分に言い聞かせる。
(ちゃんと選ぶんだ)
ここで、もう二度と「必要ない」と言われない場所を。
自分の“こだわり”ごと求められる場所を。
ゆっくりと顔を上げると、リオンの瞳がまっすぐにそこにあった。
「……お願いします」
ミラは、深く頭を下げる。
「連れて行ってください。
あなたの店で、もう一度、棚を並べさせてください」
言いながら、胸の奥が熱くなった。
悔しさも、寂しさも、ぜんぶ抱えたまま。
それでも、前に進みたい――そんな、図々しい願い。
リオンは、満足げに息を吐いた。
「いい返事だ」
そう言って、そっとミラの荷物を受け取る。
「連れ去る、ってほど格好いいものじゃないが」
馬車の扉を開けながら、少し照れたように続けた。
「俺としては、“ようやく迎えに来られた”って感じだ」
ミラは、少しだけ笑ってしまう。
「……なんだか、誘拐されるみたいですね」
「なら、誘拐犯らしく言っておこう」
リオンは、いたずらっぽく目を細めた。
「君を、俺の店に連れ去る。
――もちろん、“来い”と言うだけで、いつでも降りることはできる」
その条件が、ミラの不安を少しだけ軽くする。
「途中で嫌になったら、別の道を選べばいい。
それでも、今は――」
リオンは、手を差し出した。
「一緒に来てくれるか」
差し出された手のひらは、大きくて、温かそうで。
そして、不器用なほど真剣だった。
ミラは、そっとその手に自分の手を重ねる。
「……はい」
その瞬間、胸の奥に絡まっていた何かが、ほどけていく気がした。
馬車が動き出す。
店の看板が、少しずつ遠ざかっていく。
ミラは、一度だけ振り返った。
この場所で笑ってくれた人たち。
小さなPOPを読んで、そっとビスケットを選んでくれた少年。
「お疲れさま」と書かれた札に、微笑んでくれた人。
「……ありがとう」
心の中で、もう一度お礼を言う。
そして、前を向いた。
馬車の窓の向こうには、まだ見ぬ街並みと、遠くにきらめく別の看板の光。
その上には、変わらない空と、星がある。
――お星様みたいにきらきらした店。
昨日、屋上で想像した言葉が、ふと頭をよぎる。
(本当に、そんな場所だったらいいな)
ミラは、小さくそう願った。
その願いに答えるように、昼間の空にもかすかな星の粉が舞い、
馬車の進む先を、そっと照らしていた。
ミラは早めの時間に店の前に立っていた。
もう従業員ではない。
でも、昨日はあまりに突然なことで、きちんと挨拶もできなかった。
返しそびれた名札と、ロッカーの中に置きっぱなしにしてしまった小さな私物。
それらを整理するために、もう一度だけ足を運ぶことにしたのだ。
(それに……)
昨日のリオンの申し出を、きちんと断らなければならない。
彼の言葉は、嬉しかった。
でも、自分の気持ちが追いついていないまま飛び込むのは、やっぱり違う気がした。
店の自動扉が開き、ミラは中に入る。
受付カウンターには、事務員の女性が座っていた。
「すみません。昨日、退職の手続きで伺ったミラです。ロッカーの中に残っているものを――」
「ああ、ミラさんね」
女性の表情が、ほんの一瞬だけ固くなった。
「店長から聞いてますよ。……こちら、“解雇通知書”です」
差し出された封筒に、「解雇」の文字が明記されている。
昨日、“本日付けで終了”と言われたことが、正式な形になったのだ。
「ロッカーの中のものは、こちらでまとめておきました」
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中には、予備のメモ帳、ハンカチ、使いかけのペン、そして、こっそり書いていたPOPの下書きが何枚か。
「……ありがとうございます」
ミラは、封筒と箱を抱えた。
受付の女性は、それ以上何も言わない。
周りを行き交うスタッフも、ちらりと視線を向けるだけで、すぐに目を逸らす。
その様子に、ミラは「ああ、本当に終わったんだ」と理解した。
(ここでは、もう、何もできない)
言葉にならない寂しさが、喉元までせり上がってくる。
それでも、礼儀正しく頭を下げて、ミラは店を出た。
◇
外の空気は、思ったより冷たかった。
太陽は高く昇っているのに、風だけが妙に心細い温度をしている。
封筒と箱を抱えながら、ミラは一歩、二歩と歩き出した。
そのとき。
「やあ」
すぐ目の前で、穏やかな声がした。
顔を上げると、街路樹の陰に、見慣れた姿がもたれている。
「……リオンさん?」
「断りに来た顔だな」
リオンは、そう言って口の端を上げた。
「来る時間を当てるのは難しかった。……こういうのは慣れてないが、まあ、勘は悪くないらしい」
軽い調子なのに、その目は真剣だった。
ミラは、抱えていた箱を抱き直す。
「き、昨日のお返事をしようと思って……」
「聞こう」
リオンは、真っ直ぐに見る。
「昨日の話は、とても嬉しかったです。でも――」
喉の奥が詰まりそうになるのを、なんとか飲み込む。
「今のまま、すぐに新しい場所へ行くのが、怖くて。
自分が、ただ逃げているだけなんじゃないかって……」
言葉にすると、情けなく響いてしまう。
それでも、誤魔化したくはなかった。
「だから、一度は、お断りしようと思って……」
「一度は、か」
リオンは少しだけ笑った。
「じゃあ、二度目の話をしよう」
「え?」
「昨日は、“必要ないと言われたら、その足で来い”と言ったな」
リオンの視線が、ミラの抱える封筒に落ちる。
「……もう、言われただろう?」
封筒の表に書かれた、「解雇通知書」の文字。
それは、改めて目にすると、やはり胸に痛い。
「昨日は口頭。今日は正式な紙。……二回もだ」
リオンは、淡々と言葉を重ねる。
「もう十分だろう。ここが君を必要としていないことは」
ミラの胸の奥で、何かがふっと力を失った。
「君は、“逃げる”って言ったが」
リオンは首を横に振る。
「毒のある土から、自分で根を抜いて別の場所に移ることを、“逃げる”とは言わない。……それを、“選ぶ”って言うんだ」
その言い方は、静かで、けれど強かった。
「昨日までの君の頑張りが、消えるわけじゃない。
棚に残った笑顔も、君の書いた言葉も、全部ちゃんと、この店に残ってる」
「……でも」
「でも、君はもう、ここではこれ以上、咲けない」
きっぱりと言い切る。
「それなら、別の場所を選ぶ権利がある」
リオンは少しだけ前に出て、ミラの箱をそっと受け取った。
「俺の願いは、変わらない。
――うちに来てくれ」
箱を片手で軽々と持ち上げ、馬車の荷台に乗せながら言う。
「これは、俺の都合でもある。
君の技術が、欲しい。
君の“こだわり”が、うちの店に必要だ」
まっすぐな視線が、逃げ場を与えない。
けれど、それは追い詰めるためではなく、
「ここに出口がある」と示すための強さに思えた。
「……本当に、わたしでいいんですか」
ミラの声は、かすかに震えていた。
「誰か他の、もっと上手な人が――」
「もっと上手い人間がいるなら、そいつはそいつの場所で光るだろう」
リオンは微かに笑う。
「俺は、昨日からずっとここにいる。
“ミラがいい”と決めたから、こうして待っていたんだ」
その一言が、胸の奥の何かを決定的に揺らした。
「必要ない」と言われた。
「ミラがいい」と言われた。
どちらを、信じたいか。
「…………」
風が吹く。
街路樹の葉がざわめき、遠くで鐘の音が鳴った。
ミラは、ポケットに入れていたカードを握りしめる。
昨日、屋上で受け取った、小さな約束。
まだ折り目もついていないその紙は、妙に重く感じられた。
(逃げるんじゃない)
自分に言い聞かせる。
(ちゃんと選ぶんだ)
ここで、もう二度と「必要ない」と言われない場所を。
自分の“こだわり”ごと求められる場所を。
ゆっくりと顔を上げると、リオンの瞳がまっすぐにそこにあった。
「……お願いします」
ミラは、深く頭を下げる。
「連れて行ってください。
あなたの店で、もう一度、棚を並べさせてください」
言いながら、胸の奥が熱くなった。
悔しさも、寂しさも、ぜんぶ抱えたまま。
それでも、前に進みたい――そんな、図々しい願い。
リオンは、満足げに息を吐いた。
「いい返事だ」
そう言って、そっとミラの荷物を受け取る。
「連れ去る、ってほど格好いいものじゃないが」
馬車の扉を開けながら、少し照れたように続けた。
「俺としては、“ようやく迎えに来られた”って感じだ」
ミラは、少しだけ笑ってしまう。
「……なんだか、誘拐されるみたいですね」
「なら、誘拐犯らしく言っておこう」
リオンは、いたずらっぽく目を細めた。
「君を、俺の店に連れ去る。
――もちろん、“来い”と言うだけで、いつでも降りることはできる」
その条件が、ミラの不安を少しだけ軽くする。
「途中で嫌になったら、別の道を選べばいい。
それでも、今は――」
リオンは、手を差し出した。
「一緒に来てくれるか」
差し出された手のひらは、大きくて、温かそうで。
そして、不器用なほど真剣だった。
ミラは、そっとその手に自分の手を重ねる。
「……はい」
その瞬間、胸の奥に絡まっていた何かが、ほどけていく気がした。
馬車が動き出す。
店の看板が、少しずつ遠ざかっていく。
ミラは、一度だけ振り返った。
この場所で笑ってくれた人たち。
小さなPOPを読んで、そっとビスケットを選んでくれた少年。
「お疲れさま」と書かれた札に、微笑んでくれた人。
「……ありがとう」
心の中で、もう一度お礼を言う。
そして、前を向いた。
馬車の窓の向こうには、まだ見ぬ街並みと、遠くにきらめく別の看板の光。
その上には、変わらない空と、星がある。
――お星様みたいにきらきらした店。
昨日、屋上で想像した言葉が、ふと頭をよぎる。
(本当に、そんな場所だったらいいな)
ミラは、小さくそう願った。
その願いに答えるように、昼間の空にもかすかな星の粉が舞い、
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