待ち合わせなんかしない

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あれから津島と体育準備室出会うことはない。
おそらくだが、俺が部屋の中にいるときには入らないようにしているんだと思う。

一人になりたい時用の部屋なのでそれは願ったりかなったりだったがどうにも落ち着かない。

カギ穴に変な跡がついているのでこれ以上泥棒まがいの開け方をしてほしくない。
どうせ入られるのなら鍵のコピーを一つ渡してしまおうと思っていた。

俺は津島ともう少し話がしてみたいなどと思っている。
強さの秘密とやらを少しでも解き明かしてやりたいという気持ちだ。

部屋の中には少しものが増えている。

だっさいマグカップには船の絵と「対馬丸」という文字が書かれていて対馬違いかよ、と思う。家で使わないから持ってきたんだろうというのが垣間見える。

焼き菓子をしつこくリクエストしておいたからか、菓子が補充されていた。
しかも、ドーナツとクッキーとフィナンシェという豪華なラインナップ。
包装されたものを見ているだけで美味しいと言うのがわかるような洗練された焼き菓子だ。
甘いものには疎いため、どこのメーカーかわからなかった。

津島はああ見えて甘いものが好きなのかもしれない。

俺はいつか使うかもしれない情報として、頭の中のメモに書き込んでおいた。