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そしてケモノは愛される
24.斎賀の愛<志狼>
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これが、男同士でも好きになるということか。
むしろ、斎賀のことを好きになるのに、性別という壁はないに等しいと思えた。男だということは些末な問題に過ぎないとさえ思う。
「お、俺……」
そっと手を伸ばし、斎賀の服を掴んだ。
「斎賀様になら、何されてもいい……」
素直な気持ちを口にしたが、何故か一瞬、斎賀の表情が寂しそうに見えた。
言葉を間違ってしまったのだろうか。
だがそれを確認する前に、もう一度唇を塞がれた。今度は、舌が入ってくる。
昔付き合っていた女の子としたのは、触れ合うだけのキスだけだ。舌を絡めるような濃厚なキスはしたことがなく、どうしていいか分からず志狼はされるがままに受け入れた。
「ん、ん……っ」
男にキスをされているのにまったく平気だ。
それどころか体は気持ち良くて、思考は蕩けそうで、そんな自分に驚く。
大好きな斎賀に触れられているというだけで、心も体も、全てが喜んでいる。
「さ、さいがさま……」
「志狼。……私の恋人になってくれるかい。私の愛しい子」
恋人―――。
なんという特別な響きなのか。
「お前を愛している」
「斎賀様……」
志狼はこくりと頷いた。
優しく微笑んだ斎賀に手を取られる。ぽわんとしたまま、隣の部屋に連れて行かれた。
仕事部屋には、斎賀の私室が隣接している。ふわふわした足取りで真っ白なシーツをまとったベッドに辿り着く。
淫靡なガスでも吸ったかのように触れ合うことしか考えられず、自然に体を重ねようとした。
ベッドに仰向けにされ、両手を上げて頭から服を抜き取られたところで我に返る。
思わず飛び起きると、反動で斎賀の方がベッドに倒れた。
「え!? 斎賀様が、す、するんですか!?」
真剣に訊いたのに、斎賀には珍しいぽかんとした顔を返された。
この場合、するというのはつまり、男役ということだ。一度穂積にされているせいで、鈍感な志狼にだって男役と女役があるということくらいは分かる。
男っぽい自分が抱かれるのは違う気がする。
キレイな斎賀が逆なら分かるけれど。
横たわったまま斎賀の手が伸ばされ、頭を引き寄せられる。
「……それとも、志狼が私を抱きたいのかい?」
斎賀にふわりと微笑まれる。
その壮絶な色香に絶句した。
このキレイな顔で艶っぽく迫られたら、堕ちない者はいない。
声もいつもと同じはずなのに、やたらと色めいている。すでに頭が爆発しそうだった。
「そ、そんな、め、めっそうもない」
志狼は慌てふためいた。
「そんな、斎賀様をどうにかするなんて……っ」
自分が斎賀を抱きたいと思ったわけではない。斎賀を抱くなんて、恐れ多すぎる。斎賀が望むのなら、志狼はどちらでもいい。
志狼の体は重力に負けてベッドに落ちた。斎賀の隣に並ぶと、優しく微笑まれる。
「私は何度も、想像で志狼を抱いているよ」
「……っ」
一気に顔に熱が集まる。
「お前は本当に、分かりやすい子だね」
ピンと立った志狼の尾を見て、斎賀がくすりと笑った。
「いいから、身を委ねていなさい」
隣に横たわったまま、斎賀は志狼の鎖骨に顔を埋め、指で脇腹を撫でる。
見えずとも、いつも見ている指の綺麗な形をリアルに想像してしまう。斎賀の長い指が、整った唇が、志狼の肌を這う。緊張で体が震えた。
ふいにズボンの腰紐が緩められた感覚に、ドキリとする。緩められたズボンの隙間から、するりと斎賀の指が侵入した。
途端に、愛を告げたばかりなのにいきなりこんなことをしているという現実に気付き慌てた。
夢うつつな状態だったとはいえ、急展開すぎるのではないか。
「ダ、ダメ……!」
咄嗟に斎賀の手首を掴んだ。
見ると、斎賀に悲しそうに見つめられた。
「やはり、嫌か?」
そんな顔で言われると、瞬時に首を横に振ってしまう。
咄嗟に言い訳を考えた。
「……だ、だって、体汚れたまんまだし」
志狼は少し目を伏せた。
穂積にされた時は、突然の強引な出来事にそんなことを気にしている間がなかったが、よく考えてみれば狩りに行っていたせいで汗や埃を身にまとっている。そんな汚れた体を、斎賀に差し出すわけにはいかない。
ベッドが揺れ、斎賀が身を起こした。
止めてくれたのだと思いきや、腕を引っ張られて志狼もベッドから立たされる。
「それでは、シャワーを浴びようか」
「ええっ?」
屋敷には、全員が使用する広めの浴場があるが、斎賀の部屋には専用の小さな浴室が備え付けられている。
何も身につけていない状態にされ浴室に連れて行かれると、シャワーの下に立たされた。
体を洗うようだ。
しかし、湯が降り注ぎ、服を着たままの斎賀までが、志狼と一緒に濡れてしまう。
降り注ぐ湯に、斎賀の銀の髪がしっとりと濡れていく。
濡れた耳と髪が色っぽく見えて、志狼はうっとりした目で斎賀を見た。
むしろ、斎賀のことを好きになるのに、性別という壁はないに等しいと思えた。男だということは些末な問題に過ぎないとさえ思う。
「お、俺……」
そっと手を伸ばし、斎賀の服を掴んだ。
「斎賀様になら、何されてもいい……」
素直な気持ちを口にしたが、何故か一瞬、斎賀の表情が寂しそうに見えた。
言葉を間違ってしまったのだろうか。
だがそれを確認する前に、もう一度唇を塞がれた。今度は、舌が入ってくる。
昔付き合っていた女の子としたのは、触れ合うだけのキスだけだ。舌を絡めるような濃厚なキスはしたことがなく、どうしていいか分からず志狼はされるがままに受け入れた。
「ん、ん……っ」
男にキスをされているのにまったく平気だ。
それどころか体は気持ち良くて、思考は蕩けそうで、そんな自分に驚く。
大好きな斎賀に触れられているというだけで、心も体も、全てが喜んでいる。
「さ、さいがさま……」
「志狼。……私の恋人になってくれるかい。私の愛しい子」
恋人―――。
なんという特別な響きなのか。
「お前を愛している」
「斎賀様……」
志狼はこくりと頷いた。
優しく微笑んだ斎賀に手を取られる。ぽわんとしたまま、隣の部屋に連れて行かれた。
仕事部屋には、斎賀の私室が隣接している。ふわふわした足取りで真っ白なシーツをまとったベッドに辿り着く。
淫靡なガスでも吸ったかのように触れ合うことしか考えられず、自然に体を重ねようとした。
ベッドに仰向けにされ、両手を上げて頭から服を抜き取られたところで我に返る。
思わず飛び起きると、反動で斎賀の方がベッドに倒れた。
「え!? 斎賀様が、す、するんですか!?」
真剣に訊いたのに、斎賀には珍しいぽかんとした顔を返された。
この場合、するというのはつまり、男役ということだ。一度穂積にされているせいで、鈍感な志狼にだって男役と女役があるということくらいは分かる。
男っぽい自分が抱かれるのは違う気がする。
キレイな斎賀が逆なら分かるけれど。
横たわったまま斎賀の手が伸ばされ、頭を引き寄せられる。
「……それとも、志狼が私を抱きたいのかい?」
斎賀にふわりと微笑まれる。
その壮絶な色香に絶句した。
このキレイな顔で艶っぽく迫られたら、堕ちない者はいない。
声もいつもと同じはずなのに、やたらと色めいている。すでに頭が爆発しそうだった。
「そ、そんな、め、めっそうもない」
志狼は慌てふためいた。
「そんな、斎賀様をどうにかするなんて……っ」
自分が斎賀を抱きたいと思ったわけではない。斎賀を抱くなんて、恐れ多すぎる。斎賀が望むのなら、志狼はどちらでもいい。
志狼の体は重力に負けてベッドに落ちた。斎賀の隣に並ぶと、優しく微笑まれる。
「私は何度も、想像で志狼を抱いているよ」
「……っ」
一気に顔に熱が集まる。
「お前は本当に、分かりやすい子だね」
ピンと立った志狼の尾を見て、斎賀がくすりと笑った。
「いいから、身を委ねていなさい」
隣に横たわったまま、斎賀は志狼の鎖骨に顔を埋め、指で脇腹を撫でる。
見えずとも、いつも見ている指の綺麗な形をリアルに想像してしまう。斎賀の長い指が、整った唇が、志狼の肌を這う。緊張で体が震えた。
ふいにズボンの腰紐が緩められた感覚に、ドキリとする。緩められたズボンの隙間から、するりと斎賀の指が侵入した。
途端に、愛を告げたばかりなのにいきなりこんなことをしているという現実に気付き慌てた。
夢うつつな状態だったとはいえ、急展開すぎるのではないか。
「ダ、ダメ……!」
咄嗟に斎賀の手首を掴んだ。
見ると、斎賀に悲しそうに見つめられた。
「やはり、嫌か?」
そんな顔で言われると、瞬時に首を横に振ってしまう。
咄嗟に言い訳を考えた。
「……だ、だって、体汚れたまんまだし」
志狼は少し目を伏せた。
穂積にされた時は、突然の強引な出来事にそんなことを気にしている間がなかったが、よく考えてみれば狩りに行っていたせいで汗や埃を身にまとっている。そんな汚れた体を、斎賀に差し出すわけにはいかない。
ベッドが揺れ、斎賀が身を起こした。
止めてくれたのだと思いきや、腕を引っ張られて志狼もベッドから立たされる。
「それでは、シャワーを浴びようか」
「ええっ?」
屋敷には、全員が使用する広めの浴場があるが、斎賀の部屋には専用の小さな浴室が備え付けられている。
何も身につけていない状態にされ浴室に連れて行かれると、シャワーの下に立たされた。
体を洗うようだ。
しかし、湯が降り注ぎ、服を着たままの斎賀までが、志狼と一緒に濡れてしまう。
降り注ぐ湯に、斎賀の銀の髪がしっとりと濡れていく。
濡れた耳と髪が色っぽく見えて、志狼はうっとりした目で斎賀を見た。
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