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そしてケモノは愛される

28.朝まで斎賀と<志狼>

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 カーテン越しに朝の清々しい光が差し込むのを、ベッドに横になったまま志狼は見ていた。
 ドアの開く音に振り返ると、食事の乗ったトレイを持った斎賀が戻ってきた。

「まさか柴尾と出掛ける約束をしていたなんて知らず、すまなかったね。柴尾には、体調を崩して寝ていると言ってきた」
 ベッドの傍のサイドテーブルにトレイを置くと、斎賀はベッドに腰を下ろした。

 斎賀に伝言役を頼んでしまい、申し訳なさしかない。

 今日は休みだった。そして、柴尾と町へ遊びに出掛ける約束をしていた。
 しかし、朝起きてみるとベッドから起き上がれなかった。

 腰が立てなくなる原因を作ったのは自分だからと、朝食で食堂にいる柴尾に斎賀自らが話をしに行ってくれたのだ。
「ごめんなさい。斎賀様……」
 ベッドに横たわりながら、斎賀を見上げる。

 朝までしようかと言われたが、実際には志狼の体がもたなかった。
 ハンターをしていて体力には自信があったが、快楽とはこんなに体力を消耗するものだと初めて知った。

「俺、カッコ悪い……」

 気持ちよさのせいで、途中からもう自分が何を口走ったのか、何度イってしまったのか分からない。声が掠れていることからも、相当喘いでいたことだけは分かる。
 斎賀と向かい合わせで座らされた時、子供のようにしがみついてしまったような気もする。断片的に記憶が甦り、自分の行動に恥ずかしさで叫びたくなった。

 斎賀の手が優しく頭に乗せられる。
「そういう時は、素直に恥ずかしいと言って欲しいものだぞ」
「………」
 頭を撫でられ、照れてしまう。

「声、外に聞こえてたらどうしよう……」
 今更ながらに気付いた。ただただ快楽に溺れるばかりで、屋敷中の皆に恥ずかしい声を聞かれていたのではないか。顔を合わせた時に、どんな顔をすればいいのだ。

 心配そうに斎賀を見ると、大丈夫と返ってきた。
「志狼の可愛い声を聞かせたくなかったから、空間魔法をかけてある」

 思わず驚く。そんなことまで考える余裕があったなんて、さすが斎賀だ。志狼はあたふたしていただけだったのに。

 そういえば、浴室で口淫したものの、後はされるばかりで志狼は斎賀に何もできていない。斎賀は満足できたのだろうか。
 自分は幾度となく達したが、斎賀が何度達したのかも分からない。

 気にはなるものの、そんなことを訊ねられるはずもない。
 もじもじと斎賀に視線を送る。

 斎賀がベッドから腰を上げた。
「すまない。おなかが空いているのだね」

 食事の載ったトレイを手にしてベッドに腰掛け直した斎賀に、心の中で違うと叫んだ。
 確かに、昨夜は夕食も食べていなくておなかは空いているけれど。色気より食い気な方だけど。
 でもこれは違う。

 しかし、スプーンで器の中のミルク粥をすくい斎賀に差し出された。
 途端に、食べさせてもらえるのだと嬉しくなり、志狼は雛鳥のように口を開けた。
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