とある雑多な思考錯語

工事帽

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本日未明

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本日未明、またもや不審な人物が目撃されました。この人物は、昨日と同じく人通りの少ない路地を徘徊していたとのことです』
テレビの画面には、昨日の不審人物の写真が映し出されていた。
昨日は暗くてよく分からなかったが、今見ると中々にヤバそうな顔をしている。
髪はボサボサで、顔色は青白く不健康そのものといった感じだ。目の下には大きな隈があり、目は虚ろで焦点があっていないように見える。
服装もボロボロのTシャツとジャージというお世辞にも清潔感があるとは言えない格好だった。
写真を見る限り、年齢は三十代後半くらいだろうか? どう見ても堅気には見えないし、関わり合いになりたくないタイプの人間であることは明らかだ。
しかし、こんな男が本当に連続殺人犯なのか? とてもそうとは思えないが……
そんなことを考えているうちに、いつの間にかテレビ画面は次のニュースへと切り替わったようだ。
僕は慌てて意識を目の前の朝食に戻すことにした。
今日の朝食は白米に焼肉を豪快に乗せた焼肉丼。朝から食べるにはかなり重めの食事だった。僕としてはもう少し軽めのものが良かったのだが、母さんからのリクエストなので仕方がない。
それにしても、この量を食べ切れる気がしない……まぁ食べ切れなくても残すわけにはいかないんだけどね。
うちでは食事を残したら、問答無用でその日の晩御飯のおかずが減るルールになっているのだ。だから、どんなに腹が一杯でも完食しなければならない。
これが結構辛いんだよな。
ちなみに僕の席の前には、既に空になった食器が置かれている。
その横にある自分の皿を見ると、まだ半分以上残っている。このままだと時間内に食べ終わるのは難しいかもしれない。
重くなってきたお腹から気をそらすように何の肉なのか尋ねる。牛とも豚とも言い切れないこれはなんの焼肉丼なのかと。
だが、母さんから帰ってきた答えは「知らない」というものだった。冷蔵庫にあった肉が邪魔だったから使っただけで、何の肉なのかは知らないと。なにを適当だなあと思いながら聞いていると母は続けた、いい加減そのくたびれたTシャツとジャージを捨てて新しいのを買いなさいと。「あんた服装が適当すぎるわよ」という言葉に、遺伝なんじゃないかという言葉を飲み込んだ。
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