とある雑多な思考錯語

工事帽

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今までのあらすじ

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今までのあらすじ:異世界転生したと思ったら、なぜか前世の記憶があった。その上、チート能力もない。この世界ではごく普通の人間だったのだ。
彼は、冒険者になって成りあがろうと考えたが、どうにもうまくいかない。そんな時、出会った少女・スピアと共に、傭兵団に拾われてしまう。
そして今――。
傭兵団の野営地は、すっかり静まりかえっていた。
夜空には月と星々が輝いている。
だが、その明かりも届かない森の奥深くで、焚き火を囲んでいる者たちがいた。彼らは傭兵たちだ。
ただし、全員がそろっているわけではない。
まだ若い男が二人だけ、他の者たちから離れて座っていた。
一人は、先ほどまで一緒に酒を飲んでいた男である。
もう一人は、酒を飲み過ぎたのか、地面に横になっていた。
二人の若者は、ぼんやりとした表情を浮かべて、ゆらめく炎を見つめていた。
やがて、若い方が口を開いた。
それは、独り言のようなつぶやき声だったが、不思議と周囲の闇へと響いていく。
――オレたちは……。
――ああ……。
もう一人の青年も答える。
――オレたちは……間違ってるんだろうか?
――さぁな……ただ一つ言えることは、このままじゃダメだってことだ。
――そうか……そうだよな。
若い男はうなずいて、それからゆっくりと立ち上がった。
立ち上がると同時に、彼の身体に変化が生じた。
肌の色が変化していき、顔つきも変わっていく。耳が伸びて尖った形となり、鼻が高くなっていく。歯も鋭くなった。
まるで、獣人族のような姿となったのだ。
一方、地面の上に寝転んでいた方の男の姿もまた変化していた。
彼もまた立ち上がり、その姿を変化させていった。
こちらもまた、人間のものとは思えないような容姿へと変化した。
どちらも、元が人間であることは間違いない。
しかし、今はもう人間ではなかった。
人間ではなく――魔人だった。
――行こうぜ。
――おう。
二人の全身に力が漲る。
彼らは揃って雄たけびを上げた。
「パワー!!!」
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