3 / 30
ねこせん
しおりを挟む
吾輩は猫ではない。名前は忘れた。
そんな吾輩は今、飼い主のベッドの上にいる。なぜかというと、昨日、この部屋に来たときからずっと寝ているからだ。
部屋の主人は仕事に行くらしく、玄関で靴を履いている。そろそろ出かけるらしい。
「行ってくるよ」
そう言って飼い主が立ち上がった時、その足に尻尾を巻きつけた。
すると、飼い主は優しく微笑みながらしゃがみ込み、吾輩を抱きしめた。
「寂しいのか? よしよし、今日も早く帰ってくるからな」
そして、頭を撫でられる。うむ、なかなか気持ちいいではないか。
満足した吾輩は再びベッドの上で丸くなった。
さて、ではもう一度眠ることにしようか。おやすみなさい。
吾輩の名は『□□□』である。
これは本名ではない。飼い主が勝手につけてくれた名前だ。
名前の由来は知らないが、まあ、どうせ大したことはあるまい。しかし、その名を呼ぶたびに飼い主の顔が緩んでいくのを見ると、まんざら悪い気もしなくなるのだ。
吾輩はこの名が嫌いではない。
さて、そんな吾輩だが、最近少しだけ困ったことがある。
それは何かと言うと……。
――ガチャッ! 突然、扉が開かれた。
見ると、そこには見慣れない少女の姿があった。
「こっ……こんにちは!」
緊張しているのか、やや上ずった声で挨拶をする少女。年齢は十代前半くらいだろうか。栗色の髪がよく似合う可愛らしい子だった。
「ああ、また来たのか」
ゆっくりと身を起こす。
来る日も来る日も面倒なことだ。
ゆらりと少女の背後に揺れる尻尾。その数は二本。
対抗するように、吾輩も尻尾を揺らす。その数は四本。
尻尾を賭けた戦いが始まる。
そんな吾輩は今、飼い主のベッドの上にいる。なぜかというと、昨日、この部屋に来たときからずっと寝ているからだ。
部屋の主人は仕事に行くらしく、玄関で靴を履いている。そろそろ出かけるらしい。
「行ってくるよ」
そう言って飼い主が立ち上がった時、その足に尻尾を巻きつけた。
すると、飼い主は優しく微笑みながらしゃがみ込み、吾輩を抱きしめた。
「寂しいのか? よしよし、今日も早く帰ってくるからな」
そして、頭を撫でられる。うむ、なかなか気持ちいいではないか。
満足した吾輩は再びベッドの上で丸くなった。
さて、ではもう一度眠ることにしようか。おやすみなさい。
吾輩の名は『□□□』である。
これは本名ではない。飼い主が勝手につけてくれた名前だ。
名前の由来は知らないが、まあ、どうせ大したことはあるまい。しかし、その名を呼ぶたびに飼い主の顔が緩んでいくのを見ると、まんざら悪い気もしなくなるのだ。
吾輩はこの名が嫌いではない。
さて、そんな吾輩だが、最近少しだけ困ったことがある。
それは何かと言うと……。
――ガチャッ! 突然、扉が開かれた。
見ると、そこには見慣れない少女の姿があった。
「こっ……こんにちは!」
緊張しているのか、やや上ずった声で挨拶をする少女。年齢は十代前半くらいだろうか。栗色の髪がよく似合う可愛らしい子だった。
「ああ、また来たのか」
ゆっくりと身を起こす。
来る日も来る日も面倒なことだ。
ゆらりと少女の背後に揺れる尻尾。その数は二本。
対抗するように、吾輩も尻尾を揺らす。その数は四本。
尻尾を賭けた戦いが始まる。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる