15 / 30
本戦開始
しおりを挟む
カチ、カチ、カチ。
一つ一つ装備を確認する。事前準備などとうに終わっている。それでも直前の確認は必要だ。主に気持ちの問題とは言っても。
「時間だ」
時計が開始を告げ、本戦が始まる。
◆
『さあ始まりました! 第一回公式イベント予選トーナメントマッチ!! 実況はこの私、アイリスがお送りします!』
『解説は私、アジュ・サカガミでお送りします』
『この二人は初めてですねー』
『はい。よろしくお願いします』
『こちらこそよろしくねー』
なんか俺とリリアの声が聞こえるな。マイクっぽいやつから出ているのだろうか。
『ではルール説明です! まず参加者には全員初期エリアが与えられます! そして三十分以内にそのエリア内にいるプレイヤーを倒してください! 倒されたプレイヤーは失格となります!』
『はい、わかりやすかったです。ありがとうございます』
『いえいえ、どういたしまして』
『ちなみに倒した人数が一定以上になると上位四名が選ばれて決勝トーナメントに進むことになります。またバトルロイヤル形式なので、他のプレイヤーを倒したりすることでポイントが入ります。ただしキルされればマイナスになりますよ』
『なるほどー。つまり倒せば倒すほど有利になるけど、負ければ減点なんだね?』
『そうですね。キルされると減点です。倒した分のポイントが台無しになりますからご注意くださいね』
『あとは……まあいいか。それじゃあ早速始めようか!』
『えぇ……』
相変わらず自由人だな。実況なのに説明すっ飛ばしちゃったよこの子。
『予選ブロックA~Dの計四ブロックで行い、各ブロックごとに一位から三位までを決めてもらいます。そこから更に絞って決勝トーナメント進出者を決めるのです』
これだけでも決勝トーナメントに出れるのは少数だと分かるが、今日までに予備選と言われる足切りで十分の一以下になっている。そして今日からが本戦。ここからは公式放送に乗る本番の戦いだ。
『はい、了解しました。ではこれよりスタートです!!』
そんなこんなで始まった公式イベント予選トーナメントマッチ。
俺はどこにいるかというと……。
「ここどこだよ」
完全に迷子になっていた。
『はい、それでは第四ブロックのバトルを始めましょう! 参加人数は三十名! 多いなあ!』
『こっちにもカメラあるんですね……』
『そりゃあるよー。だって公式だし。視聴者もいるし』
『そっか。そうだよね。そりゃありますよね』
『あれ? あんまり乗り気じゃない感じかな?』
『そういうわけではありませんが、少し不安と言いますか』
『大丈夫大丈夫。なんとかなるって』
『……そうですね。頑張ります』
実況が不安がってどうする。不安なのは絶賛迷子中の俺のほうだよ。
一つ一つ装備を確認する。事前準備などとうに終わっている。それでも直前の確認は必要だ。主に気持ちの問題とは言っても。
「時間だ」
時計が開始を告げ、本戦が始まる。
◆
『さあ始まりました! 第一回公式イベント予選トーナメントマッチ!! 実況はこの私、アイリスがお送りします!』
『解説は私、アジュ・サカガミでお送りします』
『この二人は初めてですねー』
『はい。よろしくお願いします』
『こちらこそよろしくねー』
なんか俺とリリアの声が聞こえるな。マイクっぽいやつから出ているのだろうか。
『ではルール説明です! まず参加者には全員初期エリアが与えられます! そして三十分以内にそのエリア内にいるプレイヤーを倒してください! 倒されたプレイヤーは失格となります!』
『はい、わかりやすかったです。ありがとうございます』
『いえいえ、どういたしまして』
『ちなみに倒した人数が一定以上になると上位四名が選ばれて決勝トーナメントに進むことになります。またバトルロイヤル形式なので、他のプレイヤーを倒したりすることでポイントが入ります。ただしキルされればマイナスになりますよ』
『なるほどー。つまり倒せば倒すほど有利になるけど、負ければ減点なんだね?』
『そうですね。キルされると減点です。倒した分のポイントが台無しになりますからご注意くださいね』
『あとは……まあいいか。それじゃあ早速始めようか!』
『えぇ……』
相変わらず自由人だな。実況なのに説明すっ飛ばしちゃったよこの子。
『予選ブロックA~Dの計四ブロックで行い、各ブロックごとに一位から三位までを決めてもらいます。そこから更に絞って決勝トーナメント進出者を決めるのです』
これだけでも決勝トーナメントに出れるのは少数だと分かるが、今日までに予備選と言われる足切りで十分の一以下になっている。そして今日からが本戦。ここからは公式放送に乗る本番の戦いだ。
『はい、了解しました。ではこれよりスタートです!!』
そんなこんなで始まった公式イベント予選トーナメントマッチ。
俺はどこにいるかというと……。
「ここどこだよ」
完全に迷子になっていた。
『はい、それでは第四ブロックのバトルを始めましょう! 参加人数は三十名! 多いなあ!』
『こっちにもカメラあるんですね……』
『そりゃあるよー。だって公式だし。視聴者もいるし』
『そっか。そうだよね。そりゃありますよね』
『あれ? あんまり乗り気じゃない感じかな?』
『そういうわけではありませんが、少し不安と言いますか』
『大丈夫大丈夫。なんとかなるって』
『……そうですね。頑張ります』
実況が不安がってどうする。不安なのは絶賛迷子中の俺のほうだよ。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる