落ち人を拾いまして

★エリィ★

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同僚と飲みに行った日から数日経ったある日、珍しく残業で少し遅い帰宅になってしまった。アパートの最寄駅について、ホッと一息ついた。
近くのコンビニに行こうと足を抜けた先、アレクの姿を見つけた。人混みで、頭しか見えなかったけれど、あの煌びやかな雰囲気はアレクしかいないと。
そっちの方に人混みを避けながら歩いていると、人混みで見えなかったアレクの全身が見えた。
「アレ…ク?」声をかけようとして、アレクの腕の中に細身な女性が抱きつくような格好でいたので、ビックリした。絵の中から飛び出したように似合っていたので俺はその場で固まってしまった。

俺の呟いたような呼び声が聞こえたのだろう。
女性は、ビクリと肩を震わせて、恥ずかしそうにアレクから離れた。女性が恥ずかしそうに小さな声で「アレク、ごめん、ありがとう」とはにかんでいた。アレクも「いや、怪我しなくて良かったよ。また色々と話そうな」と親しそうな雰囲気で、女性と話していた。
俺は、2人が仲良く話しているのを見たくなくて、顔を下に向けてしまった。グルグルと2人の関係について、悩んでいると、話が終わったのだろうアレクが笑顔で「伊織、今、帰り?俺も帰るところだから、一緒に帰ろうか」と俺の方に向かって歩いてきた。

俺は、やっと自覚した。アレクが好きだ。だから、2人でいるところを見たくないんだと。自覚してしまったからには、ダメだった。アレクに精一杯の笑顔で、
「俺は、ちょっと用事があるから、ごめん。それだけ言いたかったんだ。だから、先に帰っていて」と2人に背を向けてその場から逃げた。

家から遠い公園のベンチに座って、夜空を見上げた。今日は、雲一つないから星も見えるはず、なのに、どうしてボヤけて見えないのだろう。目を閉じると先程の2人が抱き合っている光景がでてくる。女性をチラッと見たけど、細身の美人だったなぁ、アレクの容姿とお似合いだった。あの2人、付き合っているんだろうか?考えれば考えるほど、涙が溢れてきた。
「ヴッ…グスッ、な…ヒック…んで、きづい…ヒック…ちゃったかな」
俺、望み薄じゃん。このままじゃ帰れないので、どうにか涙を堪えてみた。でも、気持ちは沈んだままだ。

あの時、俺はきちんと笑えていただろうか?アレクに今の気持ちを気づかれていないだろうか?
これから自宅に帰るのが憂鬱だ。泣いてしまったせいで、目も赤いだろうし。

このままの気持ちじゃ、アレクと一緒にいることは出来ない。アレクとの同居を解消しなくては。
笑って同居の解消を話すことができるだろうか?不安しかないけれど、アレクにいい人ができたんなら、アレクからだと言いづらいだろうから、俺から言わなくては。

心は、いやだ、離れていかないで、あの人じゃなくて俺だけを見てと震えているけれど。

両頬をパンッと叩いて「よし、帰るか」とベンチから腰をあげようとした。
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