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第二章
建国祭終了
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武闘大会魔法の部は、マギナリアから来た謎の人物の優勝という形で幕を閉じた。
惜しくも準優勝に終わったロペス卿は、目覚めた後は潔く自身の敗北を認めたものの、「鍛え直して出直してきます!」とまだわたしの側近になることを諦めない様子で闘志を燃やしていたらしい。
……悪い人ではないと思うんだけど、できれば、それは早めに諦めてほしいなぁ。
そして、翌日。
四日間続いた建国祭も、ようやく最終日を迎えた。
「できましたよ。今日も素敵です、キアラ様!」
「ありがとう、リリアン」
わたしは今日も公務として行事に参加するため、しっかりと着飾っている。
今日は、竜騎士たちの飛行パフォーマンスと閉会式がある。わたしは父や母と一緒に、皇城のバルコニーからそれを観覧するのである。特に挨拶などをする必要もないので、皇女らしい姿で座っていれば大丈夫だ。
ルーシャスとイオの活躍は楽しみだし、昨日までと違って、特に心配事もない。まだ建国祭の公務が終わったわけではないことはわかっているが、気分的にはようやく少し息がつけるというものである。
そろそろ部屋を出ようという時、ノアの気配を近くに感じた。すぐにノックが聞こえたので、入室を許可する。
「ノア、おはよう! 迎えに来てくれてありがとう」
「ああ。おはよう、キアラ」
今日は、またノアがわたしの後ろについて護衛してくれるのだ。昨日の試合で疲れていると思うけれど、そんなそぶりは全くない。
「ノア、昨日はお疲れ様。本当にありがとう」
リリアンたちがいるので、彼に近づき小声で昨日の活躍を労う。ノアはわたしのために大会に出て、しっかりと優勝までしてくれたのに、あの後はバタバタしてしまって、会うこともできないままだったのだ。
「オレがしたくてしたことだから、気にしなくていい」
けれど、ノアはそんな風に言って、軽く首を振った。ノアも、ロペス卿を側近仲間にするのは気が進まなかったらしい。
「ノアも、ロペス卿とは気が合わなそうだものね」
「というより、あんなあからさまにキアラ狙いの男を、キアラの側に置きたくないからな」
「え……」
わたしは、きょとんとしてノアを見た。内緒話をするために近寄っていたため、思ったより彼の整った顔が間近にある。
それは、どういう意味だろう。
……ノアは、わたしが誰かと特別な関係になるのが嫌ってこと?
それでは、まるで嫉妬のようだ。
そう思うと、胸の奥にじわじわと熱が集まるような感覚がして、思わず手で胸を押さえた。
「キアラ? どうした?」
「えっ!? う、ううん。何にもないわ。それより、今日の装いも素敵ね!」
誤魔化すためにそう言ったが、嘘ではない。国民に姿を見せるため、ノアも当然きちんと着飾っている。ノアは元々外見が整っているけれど、礼服を着るとさらに素敵になるのだ。髪も整髪剤で整えているようで、雰囲気が少し違っていて、とても格好良い。
「キアラほどじゃないよ。今日もすごく綺麗だ」
「……っ、あ、ありがとう……」
皇女になってから、こういう言葉は聞き慣れているはずなのに。ノアに言われると、どうしてこんなに照れくさくて、嬉しいのかな。
ノアと二人で向かい合っていると、ふと後ろから、生温かい視線を感じた。
「お二人とも、仲がよろしいのは良いことですが、そろそろ行きませんと遅れてしまいますわ」
「そ、そうね!」
クスクスと笑うメリアンに促され、ちょっと気恥しい思いをしつつ、わたしたちは部屋を出たのだった。
「わあああああ~!」
「すごーい!」
「綺麗~!!」
あちらこちらから、そんな感嘆の声が聞こえてくる。
かくいうわたしも、皇城のバルコニーで上空を見上げながら、その素晴らしい光景にすっかり目を奪われていた。
十頭のドラゴンとその背に乗る騎士たちが、空を縦横無尽に飛び回りながら、見事な隊列飛行を披露している。そして、その軌跡を辿るように残る様々な色の煙が、美しい画を描いていた。
わたしもシトリンに乗るからよくわかるのだが、ドラゴンは生き物なので、完全に動きを制御することは難しい。上昇や下降、飛ぶ方向を指示することくらいなら新人の竜騎士でも難しくないけれど、あんな風に他のドラゴンと動きを合わせ、一糸乱れぬ動きをさせるには、長い訓練が必要なのだ。でも彼らの動きは、そんなことは微塵も感じさせない、滑らかで見事な飛行だった。
五頭ずつ二つに分かれた隊列のひとつ、その先頭を行くイオとルーシャスの安定した飛行を眺めながら、わたしの護衛騎士はすごいなと、なんだか嬉しくなってしまった。
この場にいるみんなが、この演技に夢中になっているんだろうなと思い、何気なくバルコニーの下に目を向ける。
すると、なぜかこちらに向ける視線を感じたので、それを辿った。
……あれは、シェルディアの使者たち?
遠くの方で、シェルディアの使者たちが、険しい表情でこちらを見ていた。
ノアの故郷であるシェルディアからやってきた彼らは、国の中枢を担う役職就きらしいのだが、前夜祭の挨拶でも当たり障りのないやりとりを交わしただけで、これまで特に変わった動きを見せることはなかった。
けれど、みんなが上空を見上げ、楽しげに騒いでいる中でどこか暗い雰囲気を放つ二人は、なんだかとても浮いているように見える。
……彼らは、わたしを見ているの? それとも、ノアを?
わたしのすぐ斜め後ろにいるノアを見上げる。
「どうした?」
「ノア、あれ……」
シェルディアの使者たちを指そうとしたが、少し目を離した間に、彼らはそこからいなくなっていた。
「キアラ?」
「……ううん。なんでもないわ」
少し気になるけれど、別に何かされたわけではない。今は行事の最中だし、それほど騒ぐことでもないだろう。それに、ノアは祖国にいい感情を持っていないはずだから、余計なことを言って不安にさせたくない。
……もし何かあっても、ノアはわたしが絶対に守るんだから!
そう意気込んで、密かにグッと拳を握った。
その後は特に問題もなく、閉会式まで終えることができた。
十年に一度の建国祭は、こうして幕を下ろしたのである。
惜しくも準優勝に終わったロペス卿は、目覚めた後は潔く自身の敗北を認めたものの、「鍛え直して出直してきます!」とまだわたしの側近になることを諦めない様子で闘志を燃やしていたらしい。
……悪い人ではないと思うんだけど、できれば、それは早めに諦めてほしいなぁ。
そして、翌日。
四日間続いた建国祭も、ようやく最終日を迎えた。
「できましたよ。今日も素敵です、キアラ様!」
「ありがとう、リリアン」
わたしは今日も公務として行事に参加するため、しっかりと着飾っている。
今日は、竜騎士たちの飛行パフォーマンスと閉会式がある。わたしは父や母と一緒に、皇城のバルコニーからそれを観覧するのである。特に挨拶などをする必要もないので、皇女らしい姿で座っていれば大丈夫だ。
ルーシャスとイオの活躍は楽しみだし、昨日までと違って、特に心配事もない。まだ建国祭の公務が終わったわけではないことはわかっているが、気分的にはようやく少し息がつけるというものである。
そろそろ部屋を出ようという時、ノアの気配を近くに感じた。すぐにノックが聞こえたので、入室を許可する。
「ノア、おはよう! 迎えに来てくれてありがとう」
「ああ。おはよう、キアラ」
今日は、またノアがわたしの後ろについて護衛してくれるのだ。昨日の試合で疲れていると思うけれど、そんなそぶりは全くない。
「ノア、昨日はお疲れ様。本当にありがとう」
リリアンたちがいるので、彼に近づき小声で昨日の活躍を労う。ノアはわたしのために大会に出て、しっかりと優勝までしてくれたのに、あの後はバタバタしてしまって、会うこともできないままだったのだ。
「オレがしたくてしたことだから、気にしなくていい」
けれど、ノアはそんな風に言って、軽く首を振った。ノアも、ロペス卿を側近仲間にするのは気が進まなかったらしい。
「ノアも、ロペス卿とは気が合わなそうだものね」
「というより、あんなあからさまにキアラ狙いの男を、キアラの側に置きたくないからな」
「え……」
わたしは、きょとんとしてノアを見た。内緒話をするために近寄っていたため、思ったより彼の整った顔が間近にある。
それは、どういう意味だろう。
……ノアは、わたしが誰かと特別な関係になるのが嫌ってこと?
それでは、まるで嫉妬のようだ。
そう思うと、胸の奥にじわじわと熱が集まるような感覚がして、思わず手で胸を押さえた。
「キアラ? どうした?」
「えっ!? う、ううん。何にもないわ。それより、今日の装いも素敵ね!」
誤魔化すためにそう言ったが、嘘ではない。国民に姿を見せるため、ノアも当然きちんと着飾っている。ノアは元々外見が整っているけれど、礼服を着るとさらに素敵になるのだ。髪も整髪剤で整えているようで、雰囲気が少し違っていて、とても格好良い。
「キアラほどじゃないよ。今日もすごく綺麗だ」
「……っ、あ、ありがとう……」
皇女になってから、こういう言葉は聞き慣れているはずなのに。ノアに言われると、どうしてこんなに照れくさくて、嬉しいのかな。
ノアと二人で向かい合っていると、ふと後ろから、生温かい視線を感じた。
「お二人とも、仲がよろしいのは良いことですが、そろそろ行きませんと遅れてしまいますわ」
「そ、そうね!」
クスクスと笑うメリアンに促され、ちょっと気恥しい思いをしつつ、わたしたちは部屋を出たのだった。
「わあああああ~!」
「すごーい!」
「綺麗~!!」
あちらこちらから、そんな感嘆の声が聞こえてくる。
かくいうわたしも、皇城のバルコニーで上空を見上げながら、その素晴らしい光景にすっかり目を奪われていた。
十頭のドラゴンとその背に乗る騎士たちが、空を縦横無尽に飛び回りながら、見事な隊列飛行を披露している。そして、その軌跡を辿るように残る様々な色の煙が、美しい画を描いていた。
わたしもシトリンに乗るからよくわかるのだが、ドラゴンは生き物なので、完全に動きを制御することは難しい。上昇や下降、飛ぶ方向を指示することくらいなら新人の竜騎士でも難しくないけれど、あんな風に他のドラゴンと動きを合わせ、一糸乱れぬ動きをさせるには、長い訓練が必要なのだ。でも彼らの動きは、そんなことは微塵も感じさせない、滑らかで見事な飛行だった。
五頭ずつ二つに分かれた隊列のひとつ、その先頭を行くイオとルーシャスの安定した飛行を眺めながら、わたしの護衛騎士はすごいなと、なんだか嬉しくなってしまった。
この場にいるみんなが、この演技に夢中になっているんだろうなと思い、何気なくバルコニーの下に目を向ける。
すると、なぜかこちらに向ける視線を感じたので、それを辿った。
……あれは、シェルディアの使者たち?
遠くの方で、シェルディアの使者たちが、険しい表情でこちらを見ていた。
ノアの故郷であるシェルディアからやってきた彼らは、国の中枢を担う役職就きらしいのだが、前夜祭の挨拶でも当たり障りのないやりとりを交わしただけで、これまで特に変わった動きを見せることはなかった。
けれど、みんなが上空を見上げ、楽しげに騒いでいる中でどこか暗い雰囲気を放つ二人は、なんだかとても浮いているように見える。
……彼らは、わたしを見ているの? それとも、ノアを?
わたしのすぐ斜め後ろにいるノアを見上げる。
「どうした?」
「ノア、あれ……」
シェルディアの使者たちを指そうとしたが、少し目を離した間に、彼らはそこからいなくなっていた。
「キアラ?」
「……ううん。なんでもないわ」
少し気になるけれど、別に何かされたわけではない。今は行事の最中だし、それほど騒ぐことでもないだろう。それに、ノアは祖国にいい感情を持っていないはずだから、余計なことを言って不安にさせたくない。
……もし何かあっても、ノアはわたしが絶対に守るんだから!
そう意気込んで、密かにグッと拳を握った。
その後は特に問題もなく、閉会式まで終えることができた。
十年に一度の建国祭は、こうして幕を下ろしたのである。
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