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4章 通い妻
24.お礼
しおりを挟む俺もシャワーを浴びて出る頃、肉じゃがを作り終えた飯野さんがテーブルに三人分の食事を準備して待っていた。
ご飯が出来てるって最高♪
俺に気付いたハラリはビールを飲みながら既に席に着いていた。
「おう奏多、ちゃんと髪乾かしたかー?」
「バッチリ~!うわぁ!美味そう♪味噌汁とほうれん草のお浸しまである♪」
「食器が足りないからタッパーを使った。米も皿によそるからな」
「飯野さん、今度食器買いに行きましょう♪」
「お前、これからも俺に作らせる気か」
「作ってくれないんですか?」
「はは、なんならお前ら一緒に住んじゃえよ。比良里んとこの食器足せば二人分揃うだろ」
「いいねそれ♪そしたら毎日手作りのご飯が食べられる~♪」
「勝手な話してんな。ほら席に着けよ」
「あ、俺米いらないから~」
実際飯野さんとルームシェアも悪くないぞ?だって家事やってくれる人がいるとか最高じゃん?
いや、俺も掃除ぐらいならするよ?洗濯も出来るようになったしさ、悪い話じゃないんじゃね?
もっと仲良くなったら本格的に誘ってみようと企みながら、テーブルに座る。
まさか家でこんなに立派な食事が出来るなんて夢のようだ!
そして取り皿によそったご飯が配られて三人で飯野さん特製の肉じゃがにありつく。
うま~♡え、めっちゃ味染みててジャガイモも柔らかいんだけど!
マジで嫁に貰いたいぐらい感動だわ!
「飯野さん美味しいです♪ご飯おかわりしちゃお~♪」
「マジで美味いな♪さすが比良里♪」
俺とハラリが美味しい美味しいと食べ進める中、飯野さんは行儀良く静かに食べていた。
と、ここでふと思ったけど、今日何で飯野さんは俺んちで夕飯を作る気になったんだ?
初めは外食かデリバリーかと思ってたけど、まさかこんなにしっかりしたご飯を作ってくれるなんて。
「飯野さん、どうして急にご飯作ってくれたんですか?外食とか嫌いなんですか?」
「奏多が忙しいって言ってたからだよ」
「え?俺そんな事言いましたっけ?」
「シフト入れてない理由、学校が忙しいって言ってたじゃないか」
身に覚えの無い事に首を傾げて聞くと、不機嫌そうに言われた。
あ、あー!言ったかも!今日の昼のメッセージな!
え、てかそれで夕飯作ってくれる事になんの?
何で?
「言いましたね!でも学校が忙しいのと夕飯に何の関係が?」
「コンビニの弁当や外食ばかりだと不健康だからだよ。お前平気で食事抜きそうだし」
「つまり忙しい奏多きゅんにちゃんとした物食べてもらいたくて比良里たんは通い妻みたいな事したんでちゅね?」
「通い妻!!」
「気持ち悪い言い方すんな。多めに食材買って保存しておこうと思ったのに、お前がまだいると思わなかったからストック出来なかったんだぞ」
茶化すハラリを睨む飯野さん。
いやいや、飯野さんてば良い人過ぎでしょ!
ここまでされたらバイトでされた嫌な態度や暴言なんか忘れてやりますよ。
そっか、俺の事心配してくれたんだな。
俺ってば愛されてんな~。
「本当にありがとうございます♪お礼したいんですけど、何がいいですか?」
「来た!比良里!好きな事頼め!」
「何でハラリがノリノリなんだよ。でも何でも言って下さい♪料理は出来ないけど、作れって言うなら一生懸命やりますよ♪」
味の保証は出来ないけどな。
でも何でもやってやる。それぐらい飯野さんの気持ちが嬉しかったんだ。
俺の言葉に飯野さんは少し考えるような素振りを見せて、箸を置いてこう言った。
「それじゃあ今度どこかへ出掛けよう。二人でな」
「お出掛けですか♪いいですね~♪うんうん二人で♪ん?二人で!?」
「いいじゃねぇか、デートして来いよ」
「え、でもハラリは……」
二人で出掛けるって事は、ハラリは含まれていないよな?
それだとハラリを誰かに預けなきゃならない。いや、ハラリには人が多い所にいてもらってその間出掛けるか?それならハラリに危険は無いよな?
「俺の事は気にすんな」
「ハラリ……」
「おい」
「はい?」
いつものように笑っているハラリを心配そうに見てると、すこぶる機嫌の悪そうな低い呼び声がした。
見てみると、そこには見て分かるぐらい怒ってる飯野さんがいた。
な、何がいけなかったんだ!?
二人で出掛ける事に即答しなかったから!?
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