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5章 突然の別れ
27.思ったら行動
しおりを挟む飯野さんに言われているようで、俺はハラリから目が離せなかった。
飯野さんが言いたい事を代弁するかのようなセリフに、俺は改めて飯野さんの気持ちを知った気がする。
誰にでも良い顔して、笑顔振り撒いてる俺に対して飯野さんはずっとそんな事を思っていたのかな。
俺は自分が楽だと思っていたからそうしていただけだけど、それで誰かを傷付ける事もあるんだと知った。
それを教えてくれたのは飯野さんだ。
そして、そんな飯野さんの気持ちを教えてくれたのはハラリだ。
「どうなんだ?出来るのか?」
「出来るかー!俺からしたらハラリも飯野さんも同じぐらい大事なの!どちらかを捨てるなんて出来ねぇっての!」
「……ぷっ!あはは!やっぱ奏多最高~♡」
「あ!からかったのか!?」
俺の本気の想いをぶつけると、吹き出して笑い始めた。
馬鹿にされてるようでちょっとムカついた。
「からかってねぇよ。なんか懐かしいなって♪安心しろ。俺はここにいるから。て事は今お前がしなきゃならないのはなーんだ?」
「飯野さんにも同じ事を言う!」
ハラリと飯野さんは同じ人間だって言うなら、今みたいに言えば飯野さんに伝わるんじゃないか?
俺が自信満々にそう言うと、ハラリは困ったように笑った。
「うーん、ちょっとちげぇな。まずさ、告白の返事したら?」
「あー!俺飯野さんに告られたんだ!」
「自分が何で悩んでたのか忘れるなっての」
ハラリに言われて思い出したけど、それも何とかしなきゃだよな。
飯野さんに告られたのは嫌じゃない。あの時は混乱しててそれどころじゃなかったけど、こうして落ち着いて考えると凄い事だなって思う。
バイト先の先輩で、初めは嫌われてるなぁと思ってたけど、少しずつお互いの距離を縮めていって、今では夕飯を作ってくれるぐらいの仲にまでなった。
こうして振り返って良く考えたら飯野さんはいつも俺の事を想ってくれてたんだなって思う。
それじゃあ俺にとって飯野さんは?
バイト先の先輩。すぐに怒るちょっと難しい先輩。だけど、かっこよくて本当は優しいヤキモチ妬きのお兄さんだ。
俺はそんな飯野さんの笑った顔が見たくて距離を縮めようと近付いていたけど、ほんの少しだけ見れた笑顔を思い出すとその先も見てみたいと思った。
その気持ちが飯野さんと同じ好きなのかは今はまだ分からない。だけど、俺は今堪らなく飯野さんに会いたいと思う。
飯野さんに会えたら何て言おうかとか、どんな顔すればいいとかすぐに出て来ないけど、それって好きって事なんかなぁとも思うんだ。
だって話したい事や見られたい自分を迷うって事は意識してるって事だろ?
俺は相手にこう思われたらとか気にしながら話すのってあまりないから慣れなくてくすぐったい気持ちだ。
「何ニヤけてんだ」
「はは、飯野さんを思い出したら笑いたくなっちゃった」
ハラリにほっぺをつねられながら俺は笑った。
飯野さんともこうして出来たらいいな。
その時は今と同じ気持ちになるのかは分からない。ハラリとは楽しい気持ちになれるけど、飯野さんとはもっと他の気持ちも含まれるのかも。
俺はそれを考えたら居ても立っても居られなくなった。
「ハラリ!俺飯野さんに会って来る!」
「今からかぁ?」
「きっと飯野さんも待ってるから♪」
「おー、ポジティブ~。奏多らしいな」
勢い良く体を起こしてベッドから飛び出る。
飯野さんはもう家に着いちゃったかな?てかどこに住んでるのか知らないから電話するしかないんだけど、出てくれるかなぁ?
あの人頑固そうだけど、俺からだとすんなり出そうな気がしてまた笑えた。
何でかな、飯野さんの気持ち知ったら俺って飯野さんからガチで愛されてるんだってすげぇ分かるわ。
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