33 / 43
6章 忘れていた記憶
32.疲れていた理由
しおりを挟む次に目を覚ましたら横にハラリ……じゃなくて飯野さんが寝ていた。
一瞬ドキッとしちゃったよ。ハラリが帰って来たのかと思った……
んー、俺いつの間に寝たんだ?
しかもちゃんとベッドで寝てるし、てか何時ー?ヘッドボードにある時計を見るともう昼近くになっていた。
いや、それでもまだ眠い気がするよ。
「はぁ……」
自然と漏れるため息に、飯野さんを起こさないようにベッドから出ようとする。
すると、寝ていると思っていた飯野さんに捕まり、抱き寄せられた。
「あれ、起こしちゃいました?」
「起きた……奏多、体調は?」
「え?俺元気ですよ?」
「そっか。俺と会った時に大分疲れてるように見えたから心配したぞ」
「……ああ」
飯野さんに言われて、ハラリを捜し回っていた事を思い出す。
そう言えば飯野さんは何で会いに来てくれたんだろう?俺がマンションに着いた時怒ってるようだったけど。
「朝、飯野さん怒ってました?顔が怖かった記憶があります」
「バイト終わって電話しても出なかったからだよ。またあいつといるのかと思ったらムカついた」
「……スマホ!」
俺ってば何も持たずに家を飛び出したんだ!あれからスマホを見てないけど、まさか飯野さんが連絡してくれてたなんて知らなかった。
「終わったら連絡するって言っただろ。一体何があったんだ?ハラリは地元へでも帰ったのか?」
きっと飯野さんは普通に帰ったと思ってるんだろうな。俺は頷いて答えて、飯野さんの胸に顔を埋めるように抱き付いた。
「何があったのか教えろ」
「それは……」
ハラリの事、飯野さんに話してもいいのか?
話した所で信じてもらえるか分からねぇよな。
俺だって初めは信じてなかったよ。
だけどさ、ずっとハラリと過ごしてたら信じたくなっちゃったって言うか、飯野さんとの事とか聞いたら本当なのかなって。
「ハラリがいなくなっちゃったから、捜してたんです」
「は?何それ?」
「いや、えっと、もしかしたら変な人に襲われてるのかもって思って!」
「そんな事で?変なおじさんについて行くって本当だったのかよ」
「前にハラリが傷だらけで帰って来た事があって、だから今回も心配でスマホも持たずに走り回ってました」
「あのさ、帰国子女だかなんだか知らないけど、もしそれが本当だったらハラリはかなりぶっ飛んだ奴になるぞ?奏多より年上で大柄の男なんだぞ?おじさんに負けるとは思えないって」
そうですよねー、信じられませんよねー。だって半分は嘘ですもん。
本当の事を言ったら余計に信じてもらえなそうだから困った。
とりあえず実話であるハラリがいなくなったって事は言えたからいいかな?
「電話はしたのか?」
「いえ、ハラリはスマホ持ってないんです」
「嘘だろ?今時そんな奴いるのかよ」
「いるんですよ。ハラリは普通じゃないと言いますか」
「それは分かるけど……でも子供じゃあるまいし。そんなに心配なら警察に届出を出せばいいだろ」
「それは……」
「ああ、あいつの事だから警察には世話になれないのか」
ハラリを貶すような事を言われて何も言い返せずにいた。
飯野さんは何も知らないからハラリの事をそう言う目で見てても仕方ないんだ。だけど、勝手な事を言われて少し腹が立った。
そりゃハラリは自称だけど、別の次元から来た宇宙人で元の次元ではお尋ね者だ。そもそもこっちにはハラリの存在自体認められてないから警察に言った所でってのはある。
周りに話したらどうなるかなんて分からない。
特殊な人間扱いされるのか、ただの変質者扱いされるのか。
そう考えたら余計にハラリの事を話しにくくなったな。やっぱりハラリは俺が守ってあげなきゃいけない気がする。
だってハラリは別の次元の飯野さんなんだから。
0
あなたにおすすめの小説
義兄が溺愛してきます
ゆう
BL
桜木恋(16)は交通事故に遭う。
その翌日からだ。
義兄である桜木翔(17)が過保護になったのは。
翔は恋に好意を寄せているのだった。
本人はその事を知るよしもない。
その様子を見ていた友人の凛から告白され、戸惑う恋。
成り行きで惚れさせる宣言をした凛と一週間付き合う(仮)になった。
翔は色々と思う所があり、距離を置こうと彼女(偽)をつくる。
すれ違う思いは交わるのか─────。
【完結】ルガルの星―冷徹な社長は、僕の運命を知っていた―
綾波絢斗
BL
この世界には、二つの特別な称号を持つ者たちが存在する。
一つは、絶対的な権力を持つ王の称号――ルガル(lugal)。
もう一つは、ルガルと対をなし、その力を補う「番」――ムル(mul)。
ルガルは生まれながらに選ばれし存在。
国家からエリート教育と地位を与えられ、能力に応じて厳格なランク分けが行われる。
最上位のルガルは、政治さえも動かす絶対者だ。
一方で、ムルは生まれた瞬間にはその正体がわからない。
遺伝子検査や学力テストを経て候補が絞られるが、
最終的に「真のムル」かどうかを見極められるのは――ルガルだけ。
ムルが覚醒したとき、同じ場所に「紋章」が現れ、その瞬間から、ルガルとムルの力は共鳴し始める。
ムルの能力はルガルの力を最大限に引き出す。
ゆえにルガルたちは、自らのムルを求め、時には他人のムル候補を奪い合う。
そして、すべての出生データと遺伝情報を管理するのは、
巨大企業イルジオン――国家をも超える存在。
その頂点に立つ社長、一条レイ。
冷徹なルガルの頂点に君臨する彼が「自分のムル」と出会った。
【完結】恋い慕うは、指先から〜ビジネス仲良しの義弟に振り回されています〜
紬木莉音
BL
〈策士なギャップ王子×天然たらし優等生〉
学園の名物コンビ『日南兄弟』は、実はビジネス仲良し関係。どんなに冷たくされても初めてできた弟が可愛くて仕方がない兄・沙也は、堪え切れない弟への愛をSNSに吐き出す日々を送っていた。
ある日、沙也のアカウントに一通のリプライが届く。送り主である謎のアカウントは、なぜか現実の沙也を知っているようで──?
隠れ執着攻め×鈍感受けのもだキュンストーリー♡
いつもいいねやお気に入り等ありがとうございます!
【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。
きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。
自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。
食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。
劣等アルファは最強王子から逃げられない
東
BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。
ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。
僕たち、結婚することになりました
リリーブルー
BL
俺は、なぜか知らないが、会社の後輩(♂)と結婚することになった!
後輩はモテモテな25歳。
俺は37歳。
笑えるBL。ラブコメディ💛
fujossyの結婚テーマコンテスト応募作です。
【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】
彩華
BL
俺の名前は水野圭。年は25。
自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで)
だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。
凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!
凄い! 店員もイケメン!
と、実は穴場? な店を見つけたわけで。
(今度からこの店で弁当を買おう)
浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……?
「胃袋掴みたいなぁ」
その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。
******
そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる