【完結】君が教えてくれたモノ

pino

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6章 忘れていた記憶

32.疲れていた理由

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 次に目を覚ましたら横にハラリ……じゃなくて飯野さんが寝ていた。
 一瞬ドキッとしちゃったよ。ハラリが帰って来たのかと思った……

 んー、俺いつの間に寝たんだ?
 しかもちゃんとベッドで寝てるし、てか何時ー?ヘッドボードにある時計を見るともう昼近くになっていた。
 いや、それでもまだ眠い気がするよ。


「はぁ……」


 自然と漏れるため息に、飯野さんを起こさないようにベッドから出ようとする。
 すると、寝ていると思っていた飯野さんに捕まり、抱き寄せられた。


「あれ、起こしちゃいました?」

「起きた……奏多、体調は?」

「え?俺元気ですよ?」

「そっか。俺と会った時に大分疲れてるように見えたから心配したぞ」

「……ああ」


 飯野さんに言われて、ハラリを捜し回っていた事を思い出す。
 そう言えば飯野さんは何で会いに来てくれたんだろう?俺がマンションに着いた時怒ってるようだったけど。


「朝、飯野さん怒ってました?顔が怖かった記憶があります」

「バイト終わって電話しても出なかったからだよ。またあいつといるのかと思ったらムカついた」

「……スマホ!」


 俺ってば何も持たずに家を飛び出したんだ!あれからスマホを見てないけど、まさか飯野さんが連絡してくれてたなんて知らなかった。


「終わったら連絡するって言っただろ。一体何があったんだ?ハラリは地元へでも帰ったのか?」


 きっと飯野さんは普通に帰ったと思ってるんだろうな。俺は頷いて答えて、飯野さんの胸に顔を埋めるように抱き付いた。


「何があったのか教えろ」

「それは……」


 ハラリの事、飯野さんに話してもいいのか?
 話した所で信じてもらえるか分からねぇよな。
 俺だって初めは信じてなかったよ。
 だけどさ、ずっとハラリと過ごしてたら信じたくなっちゃったって言うか、飯野さんとの事とか聞いたら本当なのかなって。

 
「ハラリがいなくなっちゃったから、捜してたんです」

「は?何それ?」

「いや、えっと、もしかしたら変な人に襲われてるのかもって思って!」

「そんな事で?変なおじさんについて行くって本当だったのかよ」

「前にハラリが傷だらけで帰って来た事があって、だから今回も心配でスマホも持たずに走り回ってました」

「あのさ、帰国子女だかなんだか知らないけど、もしそれが本当だったらハラリはかなりぶっ飛んだ奴になるぞ?奏多より年上で大柄の男なんだぞ?おじさんに負けるとは思えないって」


 そうですよねー、信じられませんよねー。だって半分は嘘ですもん。
 本当の事を言ったら余計に信じてもらえなそうだから困った。

 とりあえず実話であるハラリがいなくなったって事は言えたからいいかな?


「電話はしたのか?」

「いえ、ハラリはスマホ持ってないんです」

「嘘だろ?今時そんな奴いるのかよ」

「いるんですよ。ハラリは普通じゃないと言いますか」

「それは分かるけど……でも子供じゃあるまいし。そんなに心配なら警察に届出を出せばいいだろ」

「それは……」

「ああ、あいつの事だから警察には世話になれないのか」


 ハラリを貶すような事を言われて何も言い返せずにいた。
 飯野さんは何も知らないからハラリの事をそう言う目で見てても仕方ないんだ。だけど、勝手な事を言われて少し腹が立った。

 そりゃハラリは自称だけど、別の次元から来た宇宙人で元の次元ではお尋ね者だ。そもそもこっちにはハラリの存在自体認められてないから警察に言った所でってのはある。
 周りに話したらどうなるかなんて分からない。
 特殊な人間扱いされるのか、ただの変質者扱いされるのか。

 そう考えたら余計にハラリの事を話しにくくなったな。やっぱりハラリは俺が守ってあげなきゃいけない気がする。

 だってハラリは別の次元の飯野さんなんだから。



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