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6章 忘れていた記憶
35.怖くて聞けない
しおりを挟むそれから数日が経って、俺と飯野さんで協力して看病をしてハラリは着々と回復していった。
傷や痣はまだ残ってるけど、今では歩けるようになりもう自由に行動している。
ハラリがいなくなったあの日、何が起きたのか聞いたらやっぱり追っ手に捕まって酷い仕打ちを受けていたらしい。
一人になったハラリの前に現れた追っ手は、この部屋に現れて、ハラリを攫った。それは極力この次元の物に触れないようにする為で、だからあの時部屋の窓だけが開いていて、部屋の状態はそのままだったんだ。
攫った後、ハラリを人気の無い場所へ連れて行き、散々痛め付けた。初めこそ抵抗して逃げ出せたけど、必ず一人になってしまう瞬間があってその度に追っ手が現れては繰り返し暴行を受けたらしい。
ここまで暴行される理由はハラリを一緒に連れ帰る為に抵抗出来なくする為で、最悪この次元での処刑も有り得ると言う。
聞いているだけで恐ろしく痛々しい話だったけど、ハラリはずっと笑顔で話してくれた。
多分だけど、ハラリも自分がやっている罪を認めていて腹を括っているんだと思った。
それでも自分の夢の為に抗っている。そんな感じがした。
それと再びハラリが帰って来てから感じた事だけど、少し前とは違って元気がないように思えた。
「ハラリ~、今日は飯野さんが来てくれるって」
「そうかそうか。そんじゃ上手い飯が食えるな♪」
「料理出来なくて悪かったな」
こうして俺と冗談を言い合うのは変わらないけど、前のような勢いがなくなった気がするんだ。落ち着いたと言うか、たまにボーっとしてる事も増えた。
俺はどうしたのか聞くのが怖くて聞けずにいた。
聞いたらハラリがいなくなってしまうような気がしたからだ。きっとハラリは何かを考えている。
その何かを聞いたら離れて行ってしまうんじゃないかって怖かった。
俺が拗ねたように言うと、ハラリはニッコリ笑って俺の側まで来て頭を撫でてくれた。
これが俺は好きで、たまにわざとやってもらう為に気を引いていたりもする。
「そんな顔すんなって。可愛い顔が台無しだ」
「いいもーん。ハラリが可愛いって思ってくれなくても飯野さんが可愛いって言ってくれるもーん」
「そっか」
俺の言う事にも言い返したりして来ない事が増えた。すぐに話を終わらせてただどこかを見つめてるだけ。
ハラリは何を考えているんだろう。
お願いだから悪い事は考えないで欲しい。
これからも俺と飯野さんで守り続けるから、ずっと側にいて大人しくしていて欲しい。
俺は甘えるようにハラリに抱き付く。
すると優しく抱き返してくれた。
「奏多、比良里の事好きか?」
「好きだよ♪もちろんハラリの事も好き~♪」
「そうかそうか。なんかよ、お前ら見てると忘れてたものを思い出すんだわ」
ハラリは俺を抱きしめながら、低いけど嫌じゃない優しい声で話し始めた。
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