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1章 似てるけど似てない二人
2.仏頂面のデレ
しおりを挟む「でね?大学で知り合った友達が~」
「…………」
「そりゃめちゃくちゃな奴で~」
「…………」
「あ、お前もなとか思ってます?あはは、良く言われます~」
「…………」
「いや、やっぱこの時間になると眠いな~。ね?飯野さ……」
「いい加減黙れ」
「!?」
朝方のコンビニのレジの中で、ひたすら掃除したフライヤーの片付けをしている飯野さんに、横で喋りかけていたら冷たく一言怒られた。
なんっ!何なんだよ!
もう少しでお互い上がりだから最後ぐらいと思って話し掛けてるのに!
俺は誰かといて無言になるってのが好きじゃない。だから良く喋るとかうるさいとかは良く言われる。だけど、ここまでハッキリと拒否られる事は今までに無かった。
「ちょ、飯野さん!どうしてそんなに冷たいんですか?俺、何かしました!?それなら言って下さい!」
「お前、仕事舐めてるだろ?今こうしてる間にも同じように給料が発生していて、店側は俺らに賃金を払わなきゃならない。こうして決められた仕事をしている俺と、ただくっちゃべってるだけのお前に同じだけな」
「……俺だってレジ打ちやりました!トイレ掃除も!」
飯野さんが言いたい事は分かった。真面目か不真面目かって話だろ?だけど俺だって客がいればこんな風にベラベラ喋ったりしないし、掃除だってやるよ。
そりゃ飯野さんの方がバイト歴は長いんだしやれる事は多いじゃん?ひたすら何かやってるなぁとは思うけどさ!
でもそれだけが仕事なのか?
ただ決められた事を決められた時間にやって決められたようにこなす。
そんなの分かってる。
だけどさ、こうして二人いたら人間関係も大事なんじゃないか?
「そんな事当たり前なんだよ。お前は新しい事を覚える気がない。知り合いが来れば世間話をするかのように振る舞うし、その間に俺が何人の客を捌いたと思ってんだ。品出しだってまともに出来ない癖に仕事したなんて偉そうに言うな」
「なっ!俺から言わせてもらえば飯野さんはもっとコミュニケーションを大切にするべきです!客にすら笑顔見せないとかそっちこそ接客舐めてるでしょ。スマイルはサービスの一つだと思いますけど?」
「あ?」
「うっ……」
俺が思ってる事を口に出すと、飯野さんはさも嫌そうな顔で俺を見た。
お、俺間違えてないもん!
俺だって飯野さんがもう少し優しくて丁寧に教えてくれれば言う事聞いたもん!
また怒らせたと思って気まずく思ってると、大きなため息をついた飯野さんは今度はレジを開けて締めの作業を始めた。
もう諦めよう。店長に言ってこれからは飯野さんと組むのは無理ですってハッキリ言おう。
学校終わってからほぼオールした頭はそろそろ限界で正直かなり眠かった。
今日はとても疲れた。
この後朝番が来るまでバックヤードの掃除でもしてよ……
「おい」
「な、何ですかっ」
俺が黙って裏へ消えようとしたら作業をしたまま飯野さんの冷たい声がした。
もう俺の負けでいいよ!これ以上言い合うのはやめましょうよ!
心の中でそう叫んだのが聞こえたのかは分からない。
飯野さんはチラッと俺を見てこう言った。
「この後上がったら付き合え」
「何ですって?」
「朝飯行くぞ」
相変わらず仏頂面のままで、とても偉そうにそう言った。
え、なになに!?それってモーニングデートのお誘いですかー!?
てか飯野さん耳赤くなってない!?
何このツンデレ男!!
「え!?奢りですか!?」
「……いいよ」
「やったー♪俺バックヤード掃いて来ます♪」
何だよ飯野さんってば話せば分かる人じゃーん♪
うんうん、これも俺のめげない心が通じたのかな。ちょっとムカつく人だと思ってたけど、今のでそれは吹っ飛んだ。
きっと飯野さんは不器用なんじゃないか。
俺は勝手にそう思ってバイトの先輩からの誘いを喜んで受ける事が出来た。
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