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4.調子に乗って『超回復ポーション・改』なんて作っちゃったけど、大丈夫だったかな……
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チュン、チュン……。
小鳥のさえずりと共に、私は目を覚ました。
まぶたを開けると、そこには見慣れない天井があった。
豪奢な天蓋、金糸の刺繍が施されたカーテン、そしてふかふかの羽毛布団。
「……あ、そうだった」
一瞬、ここがどこかわからなくて呆けてしまったけれど、すぐに記憶が蘇ってくる。
ここはヴェルディア帝国の王宮。
アレクシス様が用意してくれた、私室だ。
私はゆっくりと体を起こし、大きく伸びをした。
「夢じゃ、なかったんだ……」
窓から差し込む朝日は眩しく、私の頬を優しく撫でる。
昨日の出来事は、まるで嵐のようだった。
婚約破棄され、国を追放され、雪山で行き倒れかけ……。
そこでアレクシス様に救われ、この国に連れてこられた。
さらに到着するなり研究所へ直行し、枯れかけた聖竜樹を復活させてしまった。
あの時の皆の驚いた顔と言ったら……。
(調子に乗って『超回復ポーション・改』なんて作っちゃったけど、大丈夫だったかな……)
アレクシス様は「さすが俺の聖女だ」と大喜びしていたけれど、研究所の人たちは腰を抜かしていたし、長官に至っては拝み始めていた。
少しやりすぎたかもしれない。反省だ。
でも、後悔はしていない。
だって、植物たちが元気になるのは嬉しいし、何より――。
『お前は美しいよ、リリアーナ』
あの言葉を思い出すだけで、胸がキュンと熱くなる。
アレクシス様の、あの甘い瞳。温かい手。
私を必要としてくれる、その真っ直ぐな想い。
「……これから、どうなるのかな」
不安がないわけではない。
でも、ここにはアレクシス様がいる。それだけで、どんな困難も乗り越えられる気がした。
コンコン。
思考に耽っていると、控えめなノックの音が響いた。
「はい、どなたですか?」
「…………」
返事がない。
不思議に思いつつ、私はベッドから降りてガウンを羽織り、扉へと向かった。
重厚な扉をゆっくりと開ける。
そこに立っていたのは――。
「……あれ?」
廊下には誰もいなかった。
気のせいだったのかしら、と首を傾げて扉を閉めようとした時だ。
「ここじゃよ、ここ」
足元から、しわがれた声が聞こえた。
えっ、と思って視線を下げる。
そこには――。
「え……子供、さん?」
身長は私の腰ほどしかない、可愛らしい男の子が立っていた。
金色のサラサラとした髪に、宝石のような緑色の瞳。
そして何より特徴的なのは、その長い耳だった。
(エルフ……?)
絵本に出てくるような美少年だ。
しかし、彼は自分の背丈ほどもありそうな立派な杖をつき、重厚な執事服を完璧に着こなしている。
そしてその表情は、子供らしかぬ威厳に満ちていた。
「子供扱いとは失敬な。ワシはこの城に仕えて千年以上になる筆頭執事、シャミールじゃ」
「せ、千年以上!?」
私は驚きのあまり目を丸くした。
エルフが長寿だとは聞いていたけれど、まさかこれほどとは。
それに、この愛らしい外見と、お爺ちゃんのような話し方のギャップが凄まじい。
「フォッフォッフォ。驚くのも無理はない。人間にとっては途方もない時間じゃろうからな」
シャミールさんは長い髭(幻覚かもしれないけれど、あるように見える……)を撫でるような仕草をした。
「さて、リリアーナ嬢。ワシが来たのは他でもない。お主の『教育係』を仰せつかったからじゃ」
「きょ、教育係、ですか?」
「うむ。アレクシス様が見初めたお方とはいえ、これから皇妃となるならば、相応の教養と作法が必要じゃ。それをワシが叩き込む」
彼はニヤリと笑った。
その笑顔は可愛らしいけれど、どこか底知れないスパルタな気配を感じさせる。
「覚悟はよいな? ワシの指導は厳しいぞ。泣いて逃げ出した令嬢は数知れず……」
「あ、あの! 一つ質問してもよろしいでしょうか」
「なんじゃ? 命乞いなら聞かんぞ」
「その……朝ごはんは、まだでしょうか?」
グゥ~……。
タイミング良く、私のお腹が鳴った。
シャミールさんはポカンと口を開け、それから可笑しそうに肩を震わせた。
「カッカッカ! 色気より食い気か! 面白い、気に入ったぞ!」
彼は杖で床をトン、と叩いた。
「良いじゃろう。まずは朝食じゃ。最高の食事を用意させてある。……ただし、テーブルマナーの授業も兼ねてな」
そう言って歩き出した小さな背中を見送りながら、私は苦笑した。
なんだか、とんでもない一日になりそうだ。
でも、不思議と嫌な予感はしなかった。
小鳥のさえずりと共に、私は目を覚ました。
まぶたを開けると、そこには見慣れない天井があった。
豪奢な天蓋、金糸の刺繍が施されたカーテン、そしてふかふかの羽毛布団。
「……あ、そうだった」
一瞬、ここがどこかわからなくて呆けてしまったけれど、すぐに記憶が蘇ってくる。
ここはヴェルディア帝国の王宮。
アレクシス様が用意してくれた、私室だ。
私はゆっくりと体を起こし、大きく伸びをした。
「夢じゃ、なかったんだ……」
窓から差し込む朝日は眩しく、私の頬を優しく撫でる。
昨日の出来事は、まるで嵐のようだった。
婚約破棄され、国を追放され、雪山で行き倒れかけ……。
そこでアレクシス様に救われ、この国に連れてこられた。
さらに到着するなり研究所へ直行し、枯れかけた聖竜樹を復活させてしまった。
あの時の皆の驚いた顔と言ったら……。
(調子に乗って『超回復ポーション・改』なんて作っちゃったけど、大丈夫だったかな……)
アレクシス様は「さすが俺の聖女だ」と大喜びしていたけれど、研究所の人たちは腰を抜かしていたし、長官に至っては拝み始めていた。
少しやりすぎたかもしれない。反省だ。
でも、後悔はしていない。
だって、植物たちが元気になるのは嬉しいし、何より――。
『お前は美しいよ、リリアーナ』
あの言葉を思い出すだけで、胸がキュンと熱くなる。
アレクシス様の、あの甘い瞳。温かい手。
私を必要としてくれる、その真っ直ぐな想い。
「……これから、どうなるのかな」
不安がないわけではない。
でも、ここにはアレクシス様がいる。それだけで、どんな困難も乗り越えられる気がした。
コンコン。
思考に耽っていると、控えめなノックの音が響いた。
「はい、どなたですか?」
「…………」
返事がない。
不思議に思いつつ、私はベッドから降りてガウンを羽織り、扉へと向かった。
重厚な扉をゆっくりと開ける。
そこに立っていたのは――。
「……あれ?」
廊下には誰もいなかった。
気のせいだったのかしら、と首を傾げて扉を閉めようとした時だ。
「ここじゃよ、ここ」
足元から、しわがれた声が聞こえた。
えっ、と思って視線を下げる。
そこには――。
「え……子供、さん?」
身長は私の腰ほどしかない、可愛らしい男の子が立っていた。
金色のサラサラとした髪に、宝石のような緑色の瞳。
そして何より特徴的なのは、その長い耳だった。
(エルフ……?)
絵本に出てくるような美少年だ。
しかし、彼は自分の背丈ほどもありそうな立派な杖をつき、重厚な執事服を完璧に着こなしている。
そしてその表情は、子供らしかぬ威厳に満ちていた。
「子供扱いとは失敬な。ワシはこの城に仕えて千年以上になる筆頭執事、シャミールじゃ」
「せ、千年以上!?」
私は驚きのあまり目を丸くした。
エルフが長寿だとは聞いていたけれど、まさかこれほどとは。
それに、この愛らしい外見と、お爺ちゃんのような話し方のギャップが凄まじい。
「フォッフォッフォ。驚くのも無理はない。人間にとっては途方もない時間じゃろうからな」
シャミールさんは長い髭(幻覚かもしれないけれど、あるように見える……)を撫でるような仕草をした。
「さて、リリアーナ嬢。ワシが来たのは他でもない。お主の『教育係』を仰せつかったからじゃ」
「きょ、教育係、ですか?」
「うむ。アレクシス様が見初めたお方とはいえ、これから皇妃となるならば、相応の教養と作法が必要じゃ。それをワシが叩き込む」
彼はニヤリと笑った。
その笑顔は可愛らしいけれど、どこか底知れないスパルタな気配を感じさせる。
「覚悟はよいな? ワシの指導は厳しいぞ。泣いて逃げ出した令嬢は数知れず……」
「あ、あの! 一つ質問してもよろしいでしょうか」
「なんじゃ? 命乞いなら聞かんぞ」
「その……朝ごはんは、まだでしょうか?」
グゥ~……。
タイミング良く、私のお腹が鳴った。
シャミールさんはポカンと口を開け、それから可笑しそうに肩を震わせた。
「カッカッカ! 色気より食い気か! 面白い、気に入ったぞ!」
彼は杖で床をトン、と叩いた。
「良いじゃろう。まずは朝食じゃ。最高の食事を用意させてある。……ただし、テーブルマナーの授業も兼ねてな」
そう言って歩き出した小さな背中を見送りながら、私は苦笑した。
なんだか、とんでもない一日になりそうだ。
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