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15.お前が一人前になったと俺が認めたら、その時は問答無用で結婚式を挙げる。……拒否権はないぞ
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「リリアーナ。……俺の妃になってくれないか?」
「えっ……?」
「婚約者という立場だけでは、まだ弱い。……お前を俺の正妃として迎え入れ、名実ともに、誰にも手出しできない存在にしたいんだ」
プロポーズ。
突然の言葉に、心臓が大きく跳ね上がった。
嬉しい。天にも昇るような心地だ。
アレクシス様の隣に並べるなんて、これ以上の幸せはない。
――でも。
(本当に、それだけでいいの?)
心の奥で、小さな声がした。
ただ守られるだけの存在。
聖女という名前だけの飾り物。
それは、私が求めていた未来なのだろうか?
私は彼の手をぎゅっと握り返し、意を決して顔を上げた。
「……アレクシス様。嬉しいです。とても、嬉しいです。でも……」
「でも?」
「今のままでは、お受けできません」
「「「ええっ!?!?」」」
その場にいた全員――シャミールさん、ガルフさん、ジークフリートさん、クラウスさんが、一斉に素っ頓狂な声を上げた。
アレクシス様も、驚きで目を丸くしている。
「な、なぜだ? 俺のことが嫌いか?」
「いいえ! 大好きです! 愛しています!」
私は即答した。
顔から火が出るほど恥ずかしいけれど、ここで引くわけにはいかない。
「ですが、私は……ただ守られるだけのお飾りの妃にはなりたくないんです。自分の足で立ち、自分の手で誰かの役に立ちたい。……薬師としての誇りを取り戻したいんです」
私は彼を真っ直ぐに見つめた。
「アレクシス様、お願いがあります。……私に店を持たせてください」
「み、店だと……?」
「はい! 市井の人々に薬を届ける、小さな薬局です。そこで私の作ったポーションを売り、自分の力でお金を稼ぎ、実力を証明したいのです!」
シン……と静まり返る謁見の間。
その空気の中で、私は叫ぶように続けた。
「私が一人前の薬師として認められたその時こそ……胸を張って、あなたの隣に並びたい。だからそれまでは……結婚はお預けにしてください!」
言ってしまった。
王太子殿下のプロポーズを保留にするなんて、前代未聞の大不敬だ。
怒られるかもしれない。呆れられるかもしれない。
恐る恐る彼の顔を伺うと――。
「……くっ……くくくっ……」
アレクシス様は肩を震わせ、次の瞬間、堪えきれないように爆笑した。
「はーっはッはッはッ!! 結婚はお預け、だと!? この俺の求婚を店をやりたいからという理由で待たせる女など、世界中探してもお前くらいだぞ!」
周囲がポカンとする中、アレクシス様はひとしきり笑うと、愛おしそうに私の頬を撫でた。
「面白い。やはりお前は最高だ、リリアーナ」
彼の瞳は、かつてないほど強い光を湛えていた。
「いいだろう。その願い、叶えてやる。店でも何でも好きにするがいい」
「ほ、本当ですか!?」
「ああ。だが……条件がある」
彼はニヤリと笑い、私の腰を引き寄せた。
「条件、ですか?」
「一つ。店の場所は、俺が用意した物件を使うこと。
二つ。夕刻の鐘が鳴ったら、必ず王宮へ戻ってくること。
そして三つ……」
彼は顔を近づけ、吐息がかかる距離で囁いた。
「お前が一人前になったと俺が認めたら、その時は問答無用で結婚式を挙げる。……拒否権はないぞ?」
それは実質、私の逃げ場を塞ぐような条件だったけれど。
彼の熱っぽい瞳に見つめられて、断れるはずがなかった。
「……はい!」
私が笑顔で答えると、アレクシス様は満足そうに頷き、そして――。
皆の前で、唇を重ねられた。
「最近の若いもんは積極的じゃのう……ワシの若い頃はもっとこう……」
「やめろ振られた時はどうなることかと思ったが……まぁ、取り敢えず安心したぜ!」
「振られたわけじゃないだろう。……多分」
「ふふ……わが師は一筋縄ではいきませんね」
とんでもない野次と祝福が飛ぶ中、私の新しい生活――薬師兼・王太子婚約者としてのドタバタな毎日が幕を開けようとしていた。
「えっ……?」
「婚約者という立場だけでは、まだ弱い。……お前を俺の正妃として迎え入れ、名実ともに、誰にも手出しできない存在にしたいんだ」
プロポーズ。
突然の言葉に、心臓が大きく跳ね上がった。
嬉しい。天にも昇るような心地だ。
アレクシス様の隣に並べるなんて、これ以上の幸せはない。
――でも。
(本当に、それだけでいいの?)
心の奥で、小さな声がした。
ただ守られるだけの存在。
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それは、私が求めていた未来なのだろうか?
私は彼の手をぎゅっと握り返し、意を決して顔を上げた。
「……アレクシス様。嬉しいです。とても、嬉しいです。でも……」
「でも?」
「今のままでは、お受けできません」
「「「ええっ!?!?」」」
その場にいた全員――シャミールさん、ガルフさん、ジークフリートさん、クラウスさんが、一斉に素っ頓狂な声を上げた。
アレクシス様も、驚きで目を丸くしている。
「な、なぜだ? 俺のことが嫌いか?」
「いいえ! 大好きです! 愛しています!」
私は即答した。
顔から火が出るほど恥ずかしいけれど、ここで引くわけにはいかない。
「ですが、私は……ただ守られるだけのお飾りの妃にはなりたくないんです。自分の足で立ち、自分の手で誰かの役に立ちたい。……薬師としての誇りを取り戻したいんです」
私は彼を真っ直ぐに見つめた。
「アレクシス様、お願いがあります。……私に店を持たせてください」
「み、店だと……?」
「はい! 市井の人々に薬を届ける、小さな薬局です。そこで私の作ったポーションを売り、自分の力でお金を稼ぎ、実力を証明したいのです!」
シン……と静まり返る謁見の間。
その空気の中で、私は叫ぶように続けた。
「私が一人前の薬師として認められたその時こそ……胸を張って、あなたの隣に並びたい。だからそれまでは……結婚はお預けにしてください!」
言ってしまった。
王太子殿下のプロポーズを保留にするなんて、前代未聞の大不敬だ。
怒られるかもしれない。呆れられるかもしれない。
恐る恐る彼の顔を伺うと――。
「……くっ……くくくっ……」
アレクシス様は肩を震わせ、次の瞬間、堪えきれないように爆笑した。
「はーっはッはッはッ!! 結婚はお預け、だと!? この俺の求婚を店をやりたいからという理由で待たせる女など、世界中探してもお前くらいだぞ!」
周囲がポカンとする中、アレクシス様はひとしきり笑うと、愛おしそうに私の頬を撫でた。
「面白い。やはりお前は最高だ、リリアーナ」
彼の瞳は、かつてないほど強い光を湛えていた。
「いいだろう。その願い、叶えてやる。店でも何でも好きにするがいい」
「ほ、本当ですか!?」
「ああ。だが……条件がある」
彼はニヤリと笑い、私の腰を引き寄せた。
「条件、ですか?」
「一つ。店の場所は、俺が用意した物件を使うこと。
二つ。夕刻の鐘が鳴ったら、必ず王宮へ戻ってくること。
そして三つ……」
彼は顔を近づけ、吐息がかかる距離で囁いた。
「お前が一人前になったと俺が認めたら、その時は問答無用で結婚式を挙げる。……拒否権はないぞ?」
それは実質、私の逃げ場を塞ぐような条件だったけれど。
彼の熱っぽい瞳に見つめられて、断れるはずがなかった。
「……はい!」
私が笑顔で答えると、アレクシス様は満足そうに頷き、そして――。
皆の前で、唇を重ねられた。
「最近の若いもんは積極的じゃのう……ワシの若い頃はもっとこう……」
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「振られたわけじゃないだろう。……多分」
「ふふ……わが師は一筋縄ではいきませんね」
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