王妃候補に選ばれましたが、全く興味の無い私は野次馬に徹しようと思います

真理亜

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 その様子を見ていたルイスとその仲間の一人は、慌ててマクシミリアンの元に戻って来た。

「大公様! ご無事ですか!?」

「あぁ、済まぬ...迷惑を掛けた...」

「へへっ! 見ろよ、ルイス! ざまぁねぇぜ! この女!」

 仲間の一人がぐったりしたライラの手から短刀を奪い取った。

「おいっ! どうした!? 一体なにがあったんだ!?」

 もう一人の仲間、先に難所を渡って隣国側に行った方が声を掛ける。向こうからは見えない位置なので無理もない。

「あぁ、心配ない! もう大丈夫だ! ようやくケリが付いた! 今から渡る!
もうちょっと待ってろ!」

 ルイスはそう返事をした後、踞ってしまったライラを見下ろした。

「この女ぁ! 手間ぁ掛けさせやがってぇ!」

「待てルイス」

 ライラを乱暴に起き上がらせようとしたルイスのことを、マクシミリアンは軽く手を振って制した。

「大公様!?」

「もう良い...この女にもう用は無い...ここに置いていくとしよう...」

「で、ですが大公様...」

 ルイスは諦め切れない様子だ。だがマクシミリアンは頭を振って、

「こんな状態では足手まといにしかならんだろうて...それともなにか? お前がおぶって運ぶか?」

「い、いえ...それは...」

 確かにマクシミリアンの言う通りだった。ライラは既に限界を迎えているように見える。このまま無理に起こしても恐らくまともには歩けないだろう。

「...分かりました...ですがこの女を生かしておく訳にはいきません。ここで始末します」

「好きにせい...」

 それだけ言うとマクシミリアンは、ルイスの仲間の一人と共に難所の方へと歩を進めた。

「あばよ、山猿お嬢様」

 仲間の一人から預かった短刀をルイスが振り上げる。ライラは薄らぼんやりとした意識の中、まるで他人事のようにただ呆然と見上げていた。

 
◇◇◇


「居たぞっ! こっちだっ!」

 ルイスが短刀を振り下ろそうとしたまさにその刹那、ミハエル率いる捜索隊がルイス達に追い付いた。

「く、くっそぉ!」

 ライラにトドメを刺そうとしていたルイスは短刀を捨て慌てて身を翻した。

「待てぃ! 貴様ぁ!」

 すかさず捜索隊の斥候員が後を追う。

「ぬおっ!? お、おいっ! ルイスっ! 押すなっ! 押すなってばっ!」

 難所を渡る殿を務めていた仲間の一人が抗議するが、

「やかましいっ! 早くっ! 早く渡れっ! 追っ手が掛かってんだっ!」

 ルイスはとにかく急かす。

「うおっ!? ま、待てっ! ま、待てっ! そ、そんなに押されたらっ!」

 先頭のマクシミリアンが焦りの声を上げる。なぜなら三人分の体重が一気に掛かった命綱が、悲鳴を上げて今にも切れそうになっていたからだ。

「た、大公様っ!」

 先に難所を渡っていた仲間の一人が慌てて手を伸ばすが、

『う、うわぁ~!』

 時既に遅く、まずルイス達が続いてマクシミリアンと仲間の一人が切れた命綱と共に崖下へと転落して行ったのだった。
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