王妃候補に選ばれましたが、全く興味の無い私は野次馬に徹しようと思います

真理亜

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「殿下っ!? 何事ですかっ!?」

 ただ事じゃないことを感じ取ったライアンがミハエルの元に駆け付ける。

「あぁ、騎士団長か...実はな...」

 ミハエルは物憂げに状況を語った。

「な、なんと...ライラ嬢が...」

 ライアンは絶句するしかなかった。

「という訳なんで、しばらくここを離れることが出来なくなった。もう大丈夫だとは思うが念のため辺りの警戒を怠るな」

「わ、分かりましたが...しかし...別の問題が...」

 ライアンが口ごもった。

「なんだ!?」

「ここは山ですので天候が急変する恐れがあります...現に今もほら、かなり風が強くなってきました...」

 言われてみれば確かに。山合を吹き抜ける風は先程よりも強さを増している。少し湿り気を帯びているようにも感じる。気温も下がって来ているようだ。

「風だけならまだしも雨まで降ってくるとなると...更にこの季節だと雨が雪に変わる可能性もありますし...」

 ミハエルはライラが寝ている救護テントを振り返った。急拵えで作った簡易的なものなので強度が足りない。

「騎士団長、救護テントの補強を頼む。石でもなんでも重しに使って、どうにか風で吹っ飛ばされることのないようにしてくれ」

「やってみます...」

 ライアンは悲壮感を漂わせながらそう言った。


◇◇◇


 救護テントの中では衛生兵がライラの点滴を替えているところだった。

「具合はどうだ?」

 ミハエルはライラの傍らに寄り添い手を握り締めた。

「今はまた眠ったところです」

「そうか...」

「脱水状態は緩和されたみたいなので、次は栄養剤の点滴に切り替えます」

「なるほど...」

「栄養状態が改善すれば、少しは症状が好転するかも知れませんので...まぁ、気休め程度の期待にしかならないんですけどね...」

「フムフム...」

「それでもなにもしないよりは遥かにマシ...」

「...」

「...殿下...殿下...」

「ハッ...」

 疲れからか、ミハエルはウトウトと船を漕いでいたのだった。

「ライラ嬢のことは私に任せて殿下も少しお休みください」

 見かねた衛生兵が苦笑しながら気遣うが、

「いや、そうも言っておれん...」

 ミハエルは頑として譲らなかった。

「殿下...ライラ嬢が回復した時に殿下が体調を崩してしまっていたら、今度はライラ嬢が悲しみますよ?」

「それでも...だ...」

 衛生兵の諭すような口調にもミハエルは断固として首を縦に振らなかった。

「ではご自由に...」

 衛生兵は説得することを諦めた。
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