王妃候補に選ばれましたが、全く興味の無い私は野次馬に徹しようと思います

真理亜

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「やぁ、おはよう、ライラ。元気そうでなによりだ」

 ミハエルはとても良い笑顔を浮かべながらそう言った。

「あ、あぅ...し、しまった...」

 我に返ったライラは慌てて口を抑えるが、全ては後の祭りである。

「ほうほう。なるほどなるほど。要するにだ、ずっと我々を謀っていたと。そういうことなんだよな?」

「そ、それはそのぉ...」

 ミハエルの鋭い指摘にライラはたじたじとなった。ミハエルがずっと笑顔のままなのが尚更怖い。

「そうかそうか。我々がどんなに心配したことか、どれだけ神経をすり減らしたことか、そんなことも知らずにのうのうと寝たフリを続けていたって訳なんだな?」

「はうぅ...」

 ますます追い詰められたライラはなにも言えなくなってしまった。

「フゥ...全くもう...」

 ミハエルは大きなため息を一つ吐いた後、笑顔を消してライラを睨み付けた。怒られる! そう思ったライラは思わず目を閉じた。

「...本当に...心配したんだからな...無事で良かった...」

 だがライラの予想に反して、ミハエルはライラを優しく抱き締めるのみだった。体温が伝わると共に、ミハエルが震えている感覚も一緒に伝わって来た。
 
 そこでライラは本当に申し訳ないことをしたのだと、ここまでミハエルを不安な気持ちにさせてしまったのだと改めて痛感させられた。

「ご、ごめんなさい...」

 普段なら全力で抗うところだが、今だけは素直にミハエルの温もりに身を任せたライラであった。


◇◇◇


「殿下! 失礼しま...す!?」

 救護テントにやって来た騎士団長のライアンは、目の前で抱き合う二人の姿に一瞬時が止まった。

「...騎士団長か...どうした?」

 ミハエルはライラをずっと抱き締めたまま、顔も上げずに応対しようとしていた。

「はっ! そ、その...て、天候が崩れ始めて来ましてですね...き、強風に加え雨も降り始めて来まして...」

 ライアンはそんな二人の様子に気を取られながらそう報告した。

「...そうか...早目に撤退した方が良さそうだな...ライラ?」

「うひゃいっ!?」

 急に問い掛けられたライラはしどろもどろになった。なにせずっとミハエルに抱き締められたままなのだ。顔の熱がヤバいことになってて、それに伴い心拍数も爆上がりしている状態だ。

「...これから急いで山を下りなきゃならんのだが...体力は持ちそうか?」

「え、え~と...た、多分!?」

 ライラはなんとも曖昧な返事を返すしかなかった。そんなことよりもまずは離れて欲しい。本当はそう言いたかったのだが、とてもじゃないけどそれを口に出せるような雰囲気じゃなかった。
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