全て殿下の仰ったことですわ

真理亜

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~ 三年後 ~

 アイリスの立ち上げた支援プログラムはその後、貴賤を問わず国中の特に女性達から絶大なる指示を受け、今や全国規模で展開される巨大プロジェクトへと発展を遂げていた。

 そんな中、アイリスは自らの資産から出資し、更には富裕層からの寄付を募ってある財団を設立した。

『アイリスのゆりかご』と名付けられたこの財団は、女性の社会進出や社会復帰に対する支援、子育ての悩み相談や託児所の設置などに対する支援、DVや性犯罪、モラハラ、パワハラ、セクハラなどの被害に合った女性に対するケアの支援など。

 要するに、ありとあらゆる面で女性をサポートするための組織である。アイリスは財団の代表として毎日忙しく飛び回っていた。

「アイリス様、明日の夜は王家主宰の舞踏会が開催されます。財団のアピールをしっかりとお願いしますね」

「はいはい...それにしても今月これで何件目よ...いくら社交シーズンだからと言っても多過ぎない?」

「それだけアピールする場が増えるんだから、良いことじゃないですか! バッチリおめかししましょうね! そろそろ新しい恋のお相手でも見付けていいんじゃないですか? 明日は隣国の王子様が来られるみたいですよ?」

「男はもう懲り懲りよ。私は仕事に生きるからいいの。サリア、あなたの方こそ新しいお相手見付けなさいよ」

「私だって男はもう懲り懲りですよ! アイリス様に一生付いて行きますから!」

 そう、あの後からサリアはアイリスの秘書として働いていた。そしてすっかり男嫌いになっていた。

「明日来る隣国の王子様は良い人だって噂ですよね?」

「えぇ、ウチの財団の実績を評価して貰えれば、隣国にもその動きが広がるかも知れないわ。しっかりアピールしないとね」

「頑張りましょう!」


◇◇◇


 舞踏会当日、アイリスは早速隣国の王子に財団の趣旨を説明し、理解を得ようとしたのだが...

「フンッ! 何が女性の社会進出だ! ふざけるな! 女に何が出来るって言うんだ! 女は男の言うことを黙って聞いてりゃいいんだ! 余計なことを広めようとするんじゃない! 不愉快だ!」

 アイリスはサリアと目配せ合って、王子の両脇を固める。 

「な、なんだ!? お、おい、何をする気だ!?」

「ちょおっとあちらでお話しましょうね? 何か誤解されてるようですから、しっかりと説明させて下さいな」 

「な、なんだその剣呑な雰囲気は!? な、何をする気だ!?」

「あら? 殿下が仰ったことではありませんの?」

 アイリスはニッコリと微笑んでこう言った。

「女に何が出来るか、心と体にたっぷりと教えて...いえ、叩き込んで差し上げますわ」


~ fin. ~
 
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