ようこそ、追放村へ!~冤罪で婚約破棄され国外追放された4人の令嬢達

真理亜

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「決まったのかや?」

「えぇ、まずは『力』の試練とやらに挑戦するわ」

「そうかいそうかい。じゃあ結界を解こうかね」

 そう言って老女は右手を『力の試練の間』に向けて差し出した。すると張ってあった注連縄が跡形も無く消えた。

「いったん入ったら試練が終わるまで外に出ることは出来ん。せいぜい死なんように頑張ることじゃな。ヒッヒッヒ」 

「ご忠告どうも...行きましょうか」

 4人はシイナを先頭に『力の試練の間』へと歩を進めた。


◇◇◇


 入ってみると『力の試練の間』の中は真っ暗だった。

「あっ! しまった! 松明置いて来ちゃった!」

 慌ててフウカが叫ぶがもう遅い。

「フウカ、心配無さそうよ」

 シイナが落ち着いてそう言った。

 その言葉が終わらない内に、部屋の中が明るくなって行った。 

「これは...まるでコロッセオね...」

 シイナが呟いた通り、そこはコロッセオのような円形闘技場になっており、ご丁寧に観客席までも段々と連なっていた。

「それじゃあアタシ達は差し詰め剣闘士ってとこか。へへっ! 望む所だぜ!」

「腕が鳴るねぇ!」

 脳筋二人が拳を握り締めて既にやる気満々だ。

「お二人ともちょっと落ち着きなさいな。貴族令嬢として端ないですわよ」

 ミレイが呆れたようにそう言った。

「もう貴族でもなければ令嬢でもねぇし!」

「そうそう! ボク達は自由だぁ~!」

 脳筋二人は聞く耳を持たない。今にも闘技場の中に突進しそうな勢いだ。

「ちょっと良いかしら?」

 そこへシイナが待ったを掛ける。

「どうした?」

「私は戦えないからここで見物してるわ」

 そう言って観客席の一つに座り込んでしまった。

「はぁっ!? 戦えないってどういうことだよ!?」

 カレンが気色ばむ。

「だって私はあなた達みたいな脳筋じゃないし、ミレイみたいな攻撃魔法も扱えないもの。その代わり、治癒魔法は得意だから怪我したら治してあげられるわよ? 死なない程度に頑張ってね。私は次の『知』の試練で役に立つことにするわ」

 シイナはそう言って動こうとしない。

「お~い! カレン~! 早くやろうよ~!」

 痺れを切らしたフウカが叫んでいる。

「チッ! 分かったよ! 勝手にしろ!」

 カレンは舌打ちしながら闘技場に下りて行った。

 
◇◇◇


 闘技場に足を踏み入れた途端、前方の土がムクムクと蠢き始めた。やがてそれらは人形のような形になって行った。

「フン! 土人形か! 舐めやがって! こんなもん相手にもなんねぇよ! フウカ! 行くぞ! ミレイは少し下がってろ!」

「オーケー! オーケー! やっちゃうよ~!」

「分かりましたわ。お気を付けて」

 こうして『力』の試練がスタートした。
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