8 / 23
8
しおりを挟む
「決まったのかや?」
「えぇ、まずは『力』の試練とやらに挑戦するわ」
「そうかいそうかい。じゃあ結界を解こうかね」
そう言って老女は右手を『力の試練の間』に向けて差し出した。すると張ってあった注連縄が跡形も無く消えた。
「いったん入ったら試練が終わるまで外に出ることは出来ん。せいぜい死なんように頑張ることじゃな。ヒッヒッヒ」
「ご忠告どうも...行きましょうか」
4人はシイナを先頭に『力の試練の間』へと歩を進めた。
◇◇◇
入ってみると『力の試練の間』の中は真っ暗だった。
「あっ! しまった! 松明置いて来ちゃった!」
慌ててフウカが叫ぶがもう遅い。
「フウカ、心配無さそうよ」
シイナが落ち着いてそう言った。
その言葉が終わらない内に、部屋の中が明るくなって行った。
「これは...まるでコロッセオね...」
シイナが呟いた通り、そこはコロッセオのような円形闘技場になっており、ご丁寧に観客席までも段々と連なっていた。
「それじゃあアタシ達は差し詰め剣闘士ってとこか。へへっ! 望む所だぜ!」
「腕が鳴るねぇ!」
脳筋二人が拳を握り締めて既にやる気満々だ。
「お二人ともちょっと落ち着きなさいな。貴族令嬢として端ないですわよ」
ミレイが呆れたようにそう言った。
「もう貴族でもなければ令嬢でもねぇし!」
「そうそう! ボク達は自由だぁ~!」
脳筋二人は聞く耳を持たない。今にも闘技場の中に突進しそうな勢いだ。
「ちょっと良いかしら?」
そこへシイナが待ったを掛ける。
「どうした?」
「私は戦えないからここで見物してるわ」
そう言って観客席の一つに座り込んでしまった。
「はぁっ!? 戦えないってどういうことだよ!?」
カレンが気色ばむ。
「だって私はあなた達みたいな脳筋じゃないし、ミレイみたいな攻撃魔法も扱えないもの。その代わり、治癒魔法は得意だから怪我したら治してあげられるわよ? 死なない程度に頑張ってね。私は次の『知』の試練で役に立つことにするわ」
シイナはそう言って動こうとしない。
「お~い! カレン~! 早くやろうよ~!」
痺れを切らしたフウカが叫んでいる。
「チッ! 分かったよ! 勝手にしろ!」
カレンは舌打ちしながら闘技場に下りて行った。
◇◇◇
闘技場に足を踏み入れた途端、前方の土がムクムクと蠢き始めた。やがてそれらは人形のような形になって行った。
「フン! 土人形か! 舐めやがって! こんなもん相手にもなんねぇよ! フウカ! 行くぞ! ミレイは少し下がってろ!」
「オーケー! オーケー! やっちゃうよ~!」
「分かりましたわ。お気を付けて」
こうして『力』の試練がスタートした。
「えぇ、まずは『力』の試練とやらに挑戦するわ」
「そうかいそうかい。じゃあ結界を解こうかね」
そう言って老女は右手を『力の試練の間』に向けて差し出した。すると張ってあった注連縄が跡形も無く消えた。
「いったん入ったら試練が終わるまで外に出ることは出来ん。せいぜい死なんように頑張ることじゃな。ヒッヒッヒ」
「ご忠告どうも...行きましょうか」
4人はシイナを先頭に『力の試練の間』へと歩を進めた。
◇◇◇
入ってみると『力の試練の間』の中は真っ暗だった。
「あっ! しまった! 松明置いて来ちゃった!」
慌ててフウカが叫ぶがもう遅い。
「フウカ、心配無さそうよ」
シイナが落ち着いてそう言った。
その言葉が終わらない内に、部屋の中が明るくなって行った。
「これは...まるでコロッセオね...」
シイナが呟いた通り、そこはコロッセオのような円形闘技場になっており、ご丁寧に観客席までも段々と連なっていた。
「それじゃあアタシ達は差し詰め剣闘士ってとこか。へへっ! 望む所だぜ!」
「腕が鳴るねぇ!」
脳筋二人が拳を握り締めて既にやる気満々だ。
「お二人ともちょっと落ち着きなさいな。貴族令嬢として端ないですわよ」
ミレイが呆れたようにそう言った。
「もう貴族でもなければ令嬢でもねぇし!」
「そうそう! ボク達は自由だぁ~!」
脳筋二人は聞く耳を持たない。今にも闘技場の中に突進しそうな勢いだ。
「ちょっと良いかしら?」
そこへシイナが待ったを掛ける。
「どうした?」
「私は戦えないからここで見物してるわ」
そう言って観客席の一つに座り込んでしまった。
「はぁっ!? 戦えないってどういうことだよ!?」
カレンが気色ばむ。
「だって私はあなた達みたいな脳筋じゃないし、ミレイみたいな攻撃魔法も扱えないもの。その代わり、治癒魔法は得意だから怪我したら治してあげられるわよ? 死なない程度に頑張ってね。私は次の『知』の試練で役に立つことにするわ」
シイナはそう言って動こうとしない。
「お~い! カレン~! 早くやろうよ~!」
痺れを切らしたフウカが叫んでいる。
「チッ! 分かったよ! 勝手にしろ!」
カレンは舌打ちしながら闘技場に下りて行った。
◇◇◇
闘技場に足を踏み入れた途端、前方の土がムクムクと蠢き始めた。やがてそれらは人形のような形になって行った。
「フン! 土人形か! 舐めやがって! こんなもん相手にもなんねぇよ! フウカ! 行くぞ! ミレイは少し下がってろ!」
「オーケー! オーケー! やっちゃうよ~!」
「分かりましたわ。お気を付けて」
こうして『力』の試練がスタートした。
2
あなたにおすすめの小説
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
【完結】義姉上が悪役令嬢だと!?ふざけるな!姉を貶めたお前達を絶対に許さない!!
つくも茄子
ファンタジー
義姉は王家とこの国に殺された。
冤罪に末に毒杯だ。公爵令嬢である義姉上に対してこの仕打ち。笑顔の王太子夫妻が憎い。嘘の供述をした連中を許さない。我が子可愛さに隠蔽した国王。実の娘を信じなかった義父。
全ての復讐を終えたミゲルは義姉の墓前で報告をした直後に世界が歪む。目を覚ますとそこには亡くなった義姉の姿があった。過去に巻き戻った事を知ったミゲルは今度こそ義姉を守るために行動する。
巻き戻った世界は同じようで違う。その違いは吉とでるか凶とでるか……。
婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて
だましだまし
ファンタジー
私たちの未来の王子妃を影なり日向なりと支える為に存在している。
敬愛する侯爵令嬢ディボラ様の為に切磋琢磨し、鼓舞し合い、己を磨いてきた。
決して追放に備えていた訳では無いのよ?
宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです
ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」
宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。
聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。
しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。
冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる