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第83話 アリシア視点 vs 闇の眷族四天王 その2
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私とシルベスターが向かう先は、学園内にある古びた教会だった。
「こんな所に教会なんてあったんだね...」
「昔は学生達が良く訪れていたみたいだけどね。学区内に新しい教会が建って、神父さんやシスターがそっちに移ってからは廃れる一方で、近々取り壊される予定だって聞いたよ?」
「そうなんだね」
私達は教会の中に入ってみた。当然ながら掃除してないので、どこもかしこも埃まみれだ。
「うん? ちょっとこれ見て?」
シルベスターが指差す方を見ると、
「何かを引き摺った跡がある?」
「うん、これってもしかして...」
「アタリかも知れないね...」
その直後だった。いきなり私達の周りを闇が包み込んだ。
「シルベスター!」
「アリシア!」
慌てて手を伸ばしたけど、私の手は虚しく空を切った。シルベスターと逸れてしまった。
「シルベスター! 返事して!」
返事は無い。この暗闇に1人取り残されてしまった。
「レム! シルベスターがどこに居るか分かる?」
『ダメ...闇の力が強過ぎて...どうやらここが本命だったみたいね...』
「どうしよう...」
こんな時、ミナならどうする? 闇の眷族四天王を1人で倒したあの娘なら? 取り敢えず落ち着け。パニックを起こすな。ミナもきっとそうするはず。私は深呼吸して心を静めようとした。すると、
「うん? なんの音だろ? 鐘?」
どこからか「ゴーン」という鐘を叩くような音が聞こえる。私はその方向に足を向けてみた。次第に鐘の音が大きくなる。やがて闇が少しずつ薄れて、朧気ながら周りの景色が見えてくるようになった。
「えっ!? なにこれ!? お寺!?」
前世でお馴染みのお寺のお堂が目の前にあった。お賽銭箱に鐘楼まである。誰も居ないのに撞木が振れて鐘を叩いている。そしてその下には、
「エリオット!」
エリオットが横たわっていた。意識が無いのか私の声に反応しない。私は慌てて駆け寄ろうとしたが、
「ひっ!」
物凄いプレジャーを感じて思わず足を止めてしまった。
「もう1人釣れたか...」
すると、お堂の奥の方からそんな声がする。
「だ、誰!?」
「我が名は闇の眷族四天王が1柱『アシュラ』貴様も精霊王を釣るためのエサとなれ」
そう言って姿を現したのは、身長約2m、3つの顔に6本の腕を持つ怪物だった。
「四天王の1人...」
まさか私が1人で戦うことになるなんて...対峙するだけで物凄い圧を感じる。ミナは良く戦えたわね...私なんか足が竦んで動けないよ..
「怖がることはない。貴様が抵抗しなければなにもしない。大事なエサだからな。その者のようになりたくはなかろう?」
「...エリオットになにをしたの?」
「なあに、抵抗されたので、ちょっとばかしお仕置きをな」
「...お仕置きって?」
「あの鐘は煩悩を司っておってな。1つ鐘を打つ度に煩悩があの者を苦しめておる。108回目を打った時、あの者は煩悩によって完全に支配され、生ける屍になるであろう。あと20回ほどか」
「ふざけるなっ! そんなこと絶対にさせない!」
怒りが私の怯えを吹き飛ばした!
こんなヤツの好きにはさせない!
エリオットを助けるんだ!
「こんな所に教会なんてあったんだね...」
「昔は学生達が良く訪れていたみたいだけどね。学区内に新しい教会が建って、神父さんやシスターがそっちに移ってからは廃れる一方で、近々取り壊される予定だって聞いたよ?」
「そうなんだね」
私達は教会の中に入ってみた。当然ながら掃除してないので、どこもかしこも埃まみれだ。
「うん? ちょっとこれ見て?」
シルベスターが指差す方を見ると、
「何かを引き摺った跡がある?」
「うん、これってもしかして...」
「アタリかも知れないね...」
その直後だった。いきなり私達の周りを闇が包み込んだ。
「シルベスター!」
「アリシア!」
慌てて手を伸ばしたけど、私の手は虚しく空を切った。シルベスターと逸れてしまった。
「シルベスター! 返事して!」
返事は無い。この暗闇に1人取り残されてしまった。
「レム! シルベスターがどこに居るか分かる?」
『ダメ...闇の力が強過ぎて...どうやらここが本命だったみたいね...』
「どうしよう...」
こんな時、ミナならどうする? 闇の眷族四天王を1人で倒したあの娘なら? 取り敢えず落ち着け。パニックを起こすな。ミナもきっとそうするはず。私は深呼吸して心を静めようとした。すると、
「うん? なんの音だろ? 鐘?」
どこからか「ゴーン」という鐘を叩くような音が聞こえる。私はその方向に足を向けてみた。次第に鐘の音が大きくなる。やがて闇が少しずつ薄れて、朧気ながら周りの景色が見えてくるようになった。
「えっ!? なにこれ!? お寺!?」
前世でお馴染みのお寺のお堂が目の前にあった。お賽銭箱に鐘楼まである。誰も居ないのに撞木が振れて鐘を叩いている。そしてその下には、
「エリオット!」
エリオットが横たわっていた。意識が無いのか私の声に反応しない。私は慌てて駆け寄ろうとしたが、
「ひっ!」
物凄いプレジャーを感じて思わず足を止めてしまった。
「もう1人釣れたか...」
すると、お堂の奥の方からそんな声がする。
「だ、誰!?」
「我が名は闇の眷族四天王が1柱『アシュラ』貴様も精霊王を釣るためのエサとなれ」
そう言って姿を現したのは、身長約2m、3つの顔に6本の腕を持つ怪物だった。
「四天王の1人...」
まさか私が1人で戦うことになるなんて...対峙するだけで物凄い圧を感じる。ミナは良く戦えたわね...私なんか足が竦んで動けないよ..
「怖がることはない。貴様が抵抗しなければなにもしない。大事なエサだからな。その者のようになりたくはなかろう?」
「...エリオットになにをしたの?」
「なあに、抵抗されたので、ちょっとばかしお仕置きをな」
「...お仕置きって?」
「あの鐘は煩悩を司っておってな。1つ鐘を打つ度に煩悩があの者を苦しめておる。108回目を打った時、あの者は煩悩によって完全に支配され、生ける屍になるであろう。あと20回ほどか」
「ふざけるなっ! そんなこと絶対にさせない!」
怒りが私の怯えを吹き飛ばした!
こんなヤツの好きにはさせない!
エリオットを助けるんだ!
応援ありがとうございます!
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