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第102話 ちみっことドワーフの村 その4

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「アリシア、あんたの馬鹿力の出番だよ!」

「馬鹿っていうな...何させる気?」

「亀の弱点を突くんだよ!」

「弱点って...あぁっ! そういうこと!?」

 うんうん、理解が早くて助かるよ! アタシは他のみんなに呼び掛ける。

「みんな~! 今からアリシアが亀をひっくり返すから~! そしたら攻撃してね~!」

 ん? みんなの頭にクエスチョンマークが!?

「ミナミナ、この世界の人達は亀のこと良く知らないんじゃ?」

 アリシアがアタシの耳元で囁く。

「あぁっ! そういうことか!」

 思わず日本に居た頃の感覚で話してたよ。

「亀の弱点はひっくり返したお腹の部分だから! その部分は柔らかいから! 攻撃は通るはずだから! それと亀はひっくり返されたら自力では起き上がれないから!」

 アタシがそう言うと「えっ!? そうなの!?」「知らなかった」「亀のお腹ってどこ?」などなど、確かに初耳だったみたいだね。

「じゃあ、アリシア! やっちゃって!」

「どっこいしょ~!」

 うん、さすがの馬鹿力。あの亀の巨体が仰向けになったよ。短い足をバタバタさせているけど、自重で地面にめり込んでるんでどうしようもないよね。でもアリシア、どっこいしょって...それでいいのか? 女子高生...

 その後はみんなでめっちゃボコった。

 うん、もうね、愛用の武器を破壊された恨みってヤツ? しばらくすると亀の体が光り出した。そして光りが収まった後には亀の巨体は消えてて、その代わりにあったのは...

「なんだこれ!? 魔石!?」

 レッドドラゴンを倒した時と同じ...いや、あの時よりもっと大きな真っ黒い魔石! ? が残されていた。  


◇◇◇


「これって魔石...なんだよな?」

 殿下がコンコンと叩いている。見るからに硬そうだ。

「だと思いますが...アリシア、ちょっと持ち上げてみてくれる?」

「よいしょ~! ってさすがに私でも結構重いわ...」

「だよね。地面にめり込んでるくらいだもん」

 それでもなんとか持ち上げてるアリシアも凄いけど。

「どうします? 一応、持って帰りますか?」

「う~ん...どうしたもんかな...アリシア、馬車で運べると思うか?」

「この重さだと難しいと思います。馬車が進まないと思いますし...その前に、載せただけで馬車の底が抜けるんじゃないでしょうか?」

「そうか...気にはなるが置いて行くしかないか...亀討伐の証拠なんだがな...」

 その時、ナギが水竜サイズになって側に寄って来た。

「キュイキュイ!」

「えっ!? ナギが運んでくれるの!?」
 
「キュイ~♪」

「ナギ、大丈夫なのか!? 相当な重さみたいだぞ!?」

「キュイ~!」

「大丈夫って言ってます」

「そうか...それじゃあ、アリシア。ナギの背中に載せてくれるか?」

「分かりました。じゃあナギちゃん、行くよ~!」

「キュイ!」

 アリシアがナギの背中に魔石擬きを載せた。すると驚いたことに、ナギの背中が少し沈んで、魔石擬きをしっかりとホールドした。確かにこれなら大丈夫そうだ。
 
「ナギ、このまま王都まで運んでくれる?」

「キュイ~♪」

「殿下、私はナギと一緒に先に戻ります。後はお任せしてもいいですか?」 

「任せろ。冒険者ギルドで会おう」

 こうして私達は亀を討伐し、魔石擬きを持ち帰ることにした。
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