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 次の日の昼休み、ララに言われたことが堪えたのか、カナが突撃してくることはなくなった。

 三人娘も大人しいもので、私はカルロと平和な日々を過ごしていた。今は食後の散歩を楽しんでいる。裏庭に差し掛かった辺りだった。

「カルロ様ぁ~♪ こちらに居らしたんですね~♪ お探ししましたわぁ~♪」

 カナがここで突撃して来た。カルロに抱き付こうとする。今までの私はそれを黙って見ていた。だが今日の私は違った。昨日のルナの行動が私に勇気をくれたんだろう。

 私はカルロとカナの間に入り込んだ。

「カナ様、婚約者の居る男性には妄りに近付いてはなりません」

「なっ!? あ、あなた! わ、私を誰だと思ってんのよ!?」

「あなたは私達の後輩の女の子。それ以上でもそれ以下でもありません」

「ぬわんですってぇ~! 伯爵令嬢のクセに生意気なぁ~!」

 カナがいきり立ったその時だった。

「あらぁ~? 学園内なのに爵位を鼻に掛ける嫌な女が居ますわねぇ~♪」
 
「本当ですわぁ~♪ 恥ずかしいですわねぇ~♪」

「なっ!? だ、誰よあんた達!?」

 リズとミラだった。

「あらぁ~? この娘、爵位を自慢する割に私達のことを知らないみたいねぇ~?」

「おかしな話ですわねぇ~♪ 実は大したことない家なんじゃありませんことぉ~♪」 

「んなぁっ!? わ、私は侯爵令嬢よ! 舐めるんじゃないわよ!」

 するとリズとミラは不適に笑った。

「控えぃ! 控えぃ! こちらにおわすお方をどなたと心得る! 恐れ多くも公爵令嬢のミラ様なるぞ! 一同の者! 図が高い! 控えおろぅ!」

 水戸のご老公か! 先の副将軍か!

「か~かっかっかっかっ! これにて一件落着!」

 いやなんも解決してねぇし! カナを見てみろや! ポカーンとしてるじゃねぇか!

「えっ!? う、ウソ!? こ、公爵令嬢!? えっ!? えぇっ!?」

 あぁ、そりゃカナが知らないのも無理はないか。ミラが公爵令嬢になったのは約3年前だし、病弱設定だったから社交もしてなかったはずだからねぇ。

「ふっふっふ♪ この世間知らずなお嬢様には体に教え込んでやる必要があるのかしらねぇ~♪」

「あら? 顔はダメよ。痕が残ってしまうわ。ボディにしなさい。ボディに」

 だからお前らも昭和のヤンキーか!

「な、なによ!? あ、あんた達、私になにする気!?」

 カナがビビッて後退りした。

「カルロ、行きましょうか」

「あぁ、うん...でもあれ放っておいていいのかな...」

「いいんじゃない? 楽しそうだし」

 私達はまだギャアギャアと騒いでいる三人を尻目に、そっとこの場を後にした。
 
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