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第5章*恋人の通る道
63・焦がれる*
しおりを挟む「ん、んぅ……」
しっとりと重ねられた唇が熱い。
何度も角度を変えて合わせられ、次第に境界線もあやふやになっていく。
「あ、ふ……っ」
口腔にぬるりと入り込んできたマクシミリアンの舌が、ルーナの歯列をなぞり上顎をくすぐった。
そのえもいわれぬ感覚に、ぞくりとする。
口の中全てを味わい尽くすようなマクシミリアンの動きに、ルーナは翻弄されてしまう。
(もうだめ……なんかふわふわする)
ようやく唇が解放された頃には、ルーナは完全に力が抜けてしまっていた。隣に座るマクシミリアンの胸に寄りかかると、マクシミリアンはルーナを支えるようにそっと肩に手を回した。
「ルーナさん……」
焦がれるような声で、マクシミリアンがルーナの名前を呼ぶ。
「あなたを抱いてもいいですか? ずっと我慢していたんです」
見上げたマクシミリアンの漆黒の瞳が熱っぽく揺れている。その熱が、ルーナにまで伝染していくようだ。
ルーナはただこくりとうなずいた。それを見て、マクシミリアンは目を細める。
「良かった」
「……んぅ……っ」
マクシミリアンの唇が、再びルーナに重ねられる。唾液が絡み合って、艶かしい水音だけが鼓膜を揺らす。
初めて体を重ねるというわけではないのに、それでも恥ずかしくてルーナはぎゅっと目を固く瞑った。
ネグリジェの中へするりと入りこんできたマクシミリアンの片手がルーナの太ももを撫でる。
マクシミリアンの手のひらの温度が伝わってきて、ルーナはふるりと身震いした。
「ん……」
下着の上からルーナの隠された秘所を指で愛撫され、ルーナは鼻から甘い息を漏らす。
そこは、もう布越しでもわかるくらい濡れていた。
「キスだけでこんなになって……。あなたは本当に可愛らしい」
「あっ」
マクシミリアンはルーナの下着に指をかけると、ゆっくりと焦らすように脱がした。
マクシミリアンの指が優しく割れ目をなぞってきて、その刺激にルーナはたまらずマクシミリアンの肩にしがみついた。
「……っ」
指が往復するたびに、とろりとしたものがルーナの体から溢れてマクシミリアンの指を汚す。
「……っひゃ」
意識が完全に下ばかりにいっていた。
突然胸の膨らみに大きな手のひらが触れて、ルーナは思わず小さな声を上げた。
気づけばマクシミリアンは器用に反対の手でルーナのネグリジェを乱していて、ルーナの白い膨らみがあらわにされている。
「……ルーナさんは、私だけのものです」
「……っ」
こちらを見つめてくるマクシミリアンの瞳の奥には劣情が宿っていて、ルーナは心に悦びが湧き上がるのを感じていた。
大切な人が、自分を求めてくれている。
欲を抱いてくれている。
それがこんなにも嬉しいことだとは思わなかった。
「アステロッド様にも、殿下にも……。誰にもあなたを渡したくなかった」
ルーナの胸元へキスを落としながら、マクシミリアンがひとりごちるように呟く。
「こんなにも想い焦がれたのは、あなたが初めてだ」
(それは私もよ)
ずっとずっと、ルーナが恋焦がれているのはマクシミリアンだ。
「あなたがぐずぐずに溶けてしまうほど愛したい」
そう囁くと、マクシミリアンはルーナをソファから抱え上げた。
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