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燃えて、なくなれ【8】
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次の日、リィラと共に森に来ていた。
「どこに家を建てようか?」
「…ここがいいわ。前に住んでいたところだから」
「それじゃあ、ここにしよう」
森に住むことで、苦しかった記憶を、少しでも穏やかな記憶に塗り替えられたらいい。そう願って。
リストに必要な木材の発注を頼み、建築家を呼ぼう。そう考えている時だった。
いきなり地中から木の根っこが顔を出したと思ったら、それは突如として急激に伸びて、家を作りはじめたのだった。
ぽかん、と口を塞ぐことすら忘れた私の気持ちがわかるだろうか。
ふと彼女を見れば、何やら木に話しかけている。
怒っているように見える反面、とても嬉しそうだ。
そんな彼女を愛おしそうに見つめ、思った。
はぁぁぁぁぁ~。私が作ってあげたかった。
*********
それからすぐに彼女は森の家に移り住むことにした。
私も、彼女が心配なので、すぐに荷物をまとめて森の家に移った。
生活は前と特には変わらない。朝ご飯を食べたら家を出て仕事に行き、夜に家に帰る、という離れの時と同じ生活。
しかし、森に移ってから彼女の表情が明らかに変わった。よく笑ってくれるようになったのだ。
彼女の変化に、内心ホッと安堵した。
森の家に移ってから、だんだん彼女を外の世界に連れ出すようになっていった。最初は抵抗していた彼女だが、慣れた今は、街に行こうの誘ってくれるまでになった。
買い物に出かけたり、特に用事はなくても売り物は街の景色を見に、2人で森から街に行くことが増えた。
「リィナ、何か気になるものでもあった?」
「あの人たちは、何をしているの?」
見ると、教会の前で純白のドレスを来て、頭に花であつらえた冠を被った新婦と、白い洋装の新郎が、お互いに一輪の花を交換しているところだった。
2人の表情は、嬉しさの中に、どこか恥ずかりさが入り混じっているかのようだ。
「あぁ、結婚式だよ」
「けっこんしき?それって楽しいこと?」
「そうだね。楽しいだろうし、うれしいことだと思う。私はまだ結婚したことないからよくわからないけれど」
私は何言ってるんだろう。
「それなら、私としましょう?あの人たち、笑ってるわ。きっと、とても楽しいのね。わたしたちも、けっこんしきをしたら、楽しいのかもしれないわ」
「リィナ、結婚は本当に好きな人とするものなんだよ」
「好きな人?私、カルロスのこと、好きよ?だめ?」
トスッとハートの矢が刺さった気がした。
でも負けない、負けないぞ…!
「リィナ、結婚というものはもっとこう、慎重にだな…。いっぱいいっぱい考えてからすることなんだよ」
「そうなの?」
リィナはよく理解できない、という風に小首を傾げる。
一瞬、脳裏にリィナの花嫁姿が浮かんだ。
白いドレスに薄緑で縁取られたドレスを着た彼女はそれはそれは美しい花嫁姿だった。
*********
「リスト、申せ」
「はっ。現在、カルロス様は謎の女と森で一緒に生活しております。その女は、涙で焼けた森を癒したのだとか」
「なに⁈それは本当か!」
「ある筋からの情報ですので、ほぼ間違いないかと」
「そうか……ふ、ふふふはははははは‼︎やっと魔女が帰ってきたな。リスト、兵を集めるのだ。」
「承知いたしました」
「今度こそ、逃しはせぬぞ。魔女」
闇夜に不気味な笑い声が響いていた。
「どこに家を建てようか?」
「…ここがいいわ。前に住んでいたところだから」
「それじゃあ、ここにしよう」
森に住むことで、苦しかった記憶を、少しでも穏やかな記憶に塗り替えられたらいい。そう願って。
リストに必要な木材の発注を頼み、建築家を呼ぼう。そう考えている時だった。
いきなり地中から木の根っこが顔を出したと思ったら、それは突如として急激に伸びて、家を作りはじめたのだった。
ぽかん、と口を塞ぐことすら忘れた私の気持ちがわかるだろうか。
ふと彼女を見れば、何やら木に話しかけている。
怒っているように見える反面、とても嬉しそうだ。
そんな彼女を愛おしそうに見つめ、思った。
はぁぁぁぁぁ~。私が作ってあげたかった。
*********
それからすぐに彼女は森の家に移り住むことにした。
私も、彼女が心配なので、すぐに荷物をまとめて森の家に移った。
生活は前と特には変わらない。朝ご飯を食べたら家を出て仕事に行き、夜に家に帰る、という離れの時と同じ生活。
しかし、森に移ってから彼女の表情が明らかに変わった。よく笑ってくれるようになったのだ。
彼女の変化に、内心ホッと安堵した。
森の家に移ってから、だんだん彼女を外の世界に連れ出すようになっていった。最初は抵抗していた彼女だが、慣れた今は、街に行こうの誘ってくれるまでになった。
買い物に出かけたり、特に用事はなくても売り物は街の景色を見に、2人で森から街に行くことが増えた。
「リィナ、何か気になるものでもあった?」
「あの人たちは、何をしているの?」
見ると、教会の前で純白のドレスを来て、頭に花であつらえた冠を被った新婦と、白い洋装の新郎が、お互いに一輪の花を交換しているところだった。
2人の表情は、嬉しさの中に、どこか恥ずかりさが入り混じっているかのようだ。
「あぁ、結婚式だよ」
「けっこんしき?それって楽しいこと?」
「そうだね。楽しいだろうし、うれしいことだと思う。私はまだ結婚したことないからよくわからないけれど」
私は何言ってるんだろう。
「それなら、私としましょう?あの人たち、笑ってるわ。きっと、とても楽しいのね。わたしたちも、けっこんしきをしたら、楽しいのかもしれないわ」
「リィナ、結婚は本当に好きな人とするものなんだよ」
「好きな人?私、カルロスのこと、好きよ?だめ?」
トスッとハートの矢が刺さった気がした。
でも負けない、負けないぞ…!
「リィナ、結婚というものはもっとこう、慎重にだな…。いっぱいいっぱい考えてからすることなんだよ」
「そうなの?」
リィナはよく理解できない、という風に小首を傾げる。
一瞬、脳裏にリィナの花嫁姿が浮かんだ。
白いドレスに薄緑で縁取られたドレスを着た彼女はそれはそれは美しい花嫁姿だった。
*********
「リスト、申せ」
「はっ。現在、カルロス様は謎の女と森で一緒に生活しております。その女は、涙で焼けた森を癒したのだとか」
「なに⁈それは本当か!」
「ある筋からの情報ですので、ほぼ間違いないかと」
「そうか……ふ、ふふふはははははは‼︎やっと魔女が帰ってきたな。リスト、兵を集めるのだ。」
「承知いたしました」
「今度こそ、逃しはせぬぞ。魔女」
闇夜に不気味な笑い声が響いていた。
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