公爵令嬢は奪われる 〜悪役にならなかった公爵令嬢が辺境伯に嫁ぐまでの話〜

とうや

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閑話

第三王子は失恋する2

そして数日後、ローズマリーの部屋からさまざまなものが運び出されていると報告を受けた。

実家からの資金を打ち切られ、物を売って寮費や授業料を払うのだ、と。

何という仕打ちだろう…!

私は急いでローズマリーを探した。

ローズマリーは木陰で何かを見ていた。

………手紙のようだった。

手紙の文字を指で辿り、柔らかく微笑んだ。

私の全身に電気のようなものが走る。

ローズマリーは……この女は………こんなにも美しい娘だったのか………。

右手の薬指にはめた指輪を愛おしそうに撫で、手紙を仕舞う。

私が近づくと、ローズマリーはいつもの無表情になった…。

「ローズマリー…、その、なんだ……金が、ない、のか……?」

「ええ、ありませんね」

「何故早く言わない!そうしたら私が……」

「不要です。これはわたくしとフロレスタ公爵家当主の問題です。先程買い取って頂いたもので卒業までのお金は学園に納めました」

「ローズマリー!」

私の声が届かない。

「不要なのです。わたくしはもう貴方さまの婚約者ではありません。わたくしの可愛げのなさは貴方さまが一番ご存知でしょう?」

「な…なら、その……そうだ、私の愛人になると良い!それならば援助をしても おかしくはないだろう?」

「お断りします。わたくしにはもう、想う方がいるのです」

………!

「あの……辺境伯の息子か!」

「………………」

ローズマリーは黙って立ち上がる。

そのまま振り返りもせずに私の前から立ち去った。






隣国の侵攻の話を聞きたがると、座学の講師は声をひそめて、大将として前線で戦っているのはグレン・カムデンズ辺境伯子息だと教えてくれた。

そして王国は援軍も送らずに見ているだけなのだ、と。

王国はカムデンズの力を削ぐために多くの兵を見殺しにするのだ。

………わからない。

王とは。王族とは。貴族とは、民のためにあるのではないのか!?

私がそう言うと、講師はそれは理想です、と首を振った。
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