【竜と乙女1】竜と乙女と水溜まり

とうや

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捨漆

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『浮気ィ!?浮気は許さないよ!!』


ぐわん、と脳が揺れるほどの乙女の声が響いた。


「いや…いや、まて。待ってくれ乙女」

『許さない許さない許さない!いくらシルが元王女だからって側室とか愛人とかお妾さんなんか許さないんだからねッ!』

「そういうのじゃなくて彼女は君だろう?だからその ── 」


「ふざけないで!!」


ミシュリーヌが吼える。


「な…なんなの…?なんなの!?なんなの!!あんたの、あんたのせい!?わたくしの…わたくしの、今までの……!なんなのよ!?なんで!どうして!どうしてよ!なんでそんなことしたの!?殺して!殺してよ!どうしてよ!なんで生かしておいたのよ!18年も…18年間!生まれてずっと、死ぬより辛かった!!いっそ殺して ── 欲しかった!!」

「ミシュリーヌ…」

「嫌!!絶対いや!一緒になんか行かない!生きていたくない!死ぬの!わたくしは死ぬの!!この汚泥せかいと一緒に消えてなくなるの!!」


なんと愛らしいことか。なんと哀れなことか。

泣きながら、憎悪を滾らせて。噛み殺さんばかりに吼える。


「絶対に嫌よ!!滅びてしまえ!壊れてしまえ!全部全部!!こんな…!こんな醜い世界、醜いわたくし!!全部、ぜんぶ……!!」


「………で、では…!!」


存在を忘れていた王太子が声を上げる。

痛みのせいで、王国一と謳われた花のかんばせは汗と脂で汚れ、痛みに耐えながら卑屈な笑みを浮かべ。




「私を…!私をお連れください!竜神!」

















「……ハァ?」






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