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【名もなき令嬢視点】
しおりを挟むあの女に着替えと餌を持っていく。今日は私の番だ。
この日のために、私はとても頭を悩ませた。どんな服にしよう。どんな餌にしよう。あの愛らしい顔を歪めて怒鳴ってくるかしら?それとも餌をひっくり返して投げつけてくる?ああ、でも。それでももうあいつは私に届かない。檻の中だもの。
数ヶ月ぶりに見たあいつ ーーー ウルリカは、愉快なほどにぼろぼろで、私は笑いを噛み殺すのに必死だった。昨日差し入れられたであろう衣服は全て破られ、打撲に引っ掻き傷であちこち腫らして鼻血まで。髪には白っぽい粘液……ああ、あれは殿方の子胤かしら。虚な目で「どうして、どうして」と呟いている。
いい気味だわ。
そう思うと同時に腹が立つ。ねえ?なんであんたが被害者みたいに泣いてるの?全部全部、あんたがやったことでしょう?私は婚約者の目の前で暴行を受け、集団で犯された。当然、婚約は白紙になった。優しい人だった。だから心が壊れた。私の顔を見るたびに、名前を聞くたびに泣いて嘔吐し、壁に向かって詫びる。私もあの人の顔を見るたびに思ってしまう。「どうして助けてくれなかったの?」って…。
あんたに洗脳されてた男達が「謝罪したい」なんて手紙を寄越したけれど、なんて悍ましいとお母様が焼き捨てた。お父様はこの国を捨てて隣国へ行こうと言ってくださった。
私は明日、この国を出ていく。
せいぜい苦しんでちょうだい。私はあんたを忘れて、絶対幸せになってやる。
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