絶死の森で絶滅寸前の人外お姉さんと自由な異世界繁殖生活 転移後は自分のために生きるよ~【R18版】

萩原繁殖

文字の大きさ
18 / 287

戦闘訓練・近距離(対ダイオーク)

しおりを挟む
「……ではシュレアを探しに行ってくる」

「……ええ、気を付けて」

 次の日。
 爽やかな朝の気温と澄んだ空気。朝光が絶死の森を照らす。

 朝から暗い顔の亜人たち。ちなみに二日酔いはあったけど、浄化で治せた。流石すぎる。だから二人が気落ちしているのは別の理由だ。

「はあ……昨日はしゃぎすぎたわね……」

 頭を抑えため息を吐くベステルタ。

「記憶あるの?」

「ばっちりあるわよ。はぁー、油断してたわ。あんなに美味しくて、酔っぱらうなんて」

「めっちゃ笑ってしげ「それ以上は言わないで」むごっ!」

 ベステルタの岩をも砕く手が優しく僕の口を覆った。意外と柔らかい。しっとりしているけど、ちょっとバチバチいってない? 肌がピリピリするんだけど。いずれにしろ、このまま力入れたらプチトマトだからね。逆らわないぞ。

「ふん、まあいいわ。そんな冗談言える余裕があるならケイには張り切ってもらいましょうか」

「ほ、ほどほどでお願いします」

「ふふふ……楽しみにしてなさい」

 そんなこんなで、ベステルタに連れられ家からしばらく進む。途中からは進むのが遅いということで、ベステルタにおぶられて移動した。ちょっと情けないけど仕方ないよね。レベルが上がればもうちょい速くあるけるのだろうか。

 二十分くらい経ったかな? 安心感ありすぎてうとうとしちゃったよ。電気自動車並みの静かさだ。景色は凄まじいスピードで後ろに流れてるけど。

 やがて森の少し開けた場所で亜人タクシーベステルタ号は停まって僕を降ろした。
 なんか変な臭いがする。鉄っぽいというか。……血生臭い? もしかしてベステルタの日か? そんなこと言ったらぶち転がされるな。

 ……あれ、気のせいかな。木が動かなかった? いや、木じゃないな。黒い……豚?

「ここがダイオークの巣ね。向こうに見えてるのがやつらよ。血生臭いわね」

 嫌そうな顔をして鼻をつまむ。

 いやいや、まてまてまて。百歩譲ってダイオーク? は良いとしよう。物騒な名前だとは思う。木ぐらい大きいのは見間違えだと思い込もう。

「いきなり巣なの!? 集団相手とか無理だよ?」

 もしそうだとしたらスパルタ過ぎる。

「そんなわけないでしょ。釣り出すのよ」

 ベステルタは苦笑する。
 あっぶねえ……。本気で逃げようかと思ったよ。だってこういうのって普通もう少し弱いのと戦うでしょ。スケルトンとかさ。

「じゃあ一匹釣ってくるわ。爪出しときなさい」

 爪ってベステルタソードのことね。

「え、ちょま」

 あぁぁぁ……。行っちゃったよ。

 しぶしぶ鞄からベステルタソードを取り出す。握り手の部分をフレイムベアの毛皮でぐるぐる巻いた簡素なものだ。鍔も無いからつばぜり合いも出来ない。五右衛門スタイルだね。オークとそんなことしたら潰されるだろうけど。

 えっ、なし崩しに始まったけどどうすんの? 何も策とか無いよ。打ち合わせも無かったし。おぶられてる時に相談しておけばよかった。この鋭利すぎる爪剣振ってどうにかなるものなの? これ、振ると風鳴りが半端じゃないんだよね。自分まで切れそうでおっかない。

 どすんどすん……。

 ドシンドシン……。

 森野奥からこちらに向かってくる大きな音。
 もう来たの!? あぁぁぁ! やばい! どうしよう! どうすればいいんだ!

「ブビイイイイィィィ!」

「ひええええ」

 思わず尻餅をついてしまったけど許してほしい。怖すぎる。

 全身が真っ黒で、肩に赤い模様が入った三メートルくらいの豚。地獄の豚だ。顔が凶悪過ぎる。牙が生えて、目まで真っ黒だ。恐ろしい。手にそこら辺で引っこ抜いてきた木を持っている。けっこう速い。

「ブビャッビャッビャッ!」

 黒豚が僕を見て嘲笑う。屈辱だけど、腰に力が入らない。圧倒的だ。フレイムベアよりも相対している時間が長いから余計怖い。手も歯も、全身がカタカタ震えてる。これ、人間が勝てるの?

「何を笑っているのかしら、雑魚豚」

「ブビッ?」

 すく側にベステルタが立っていた。彼女の小指から爪が伸びている。

 シュピッ。

 紙を切るような軽い音がした。

「プッ、プギャアアアア!」

 どすんどすん。

 ドチャッ。

 直後にダイオークの両手が肩から落下し地面に落ちた。慌てて体勢を立て直そうとするも膝から下も寸断されており、胴体も脚から転げ落ちる。

「うっ、うっわ」

 黒い大きな肉の塊がのたうち回っている。グロすぎるよ。

「フン。豚ごときが、嘲笑うなんて不快だわ」

  不機嫌そうにダイオークを睥睨する。

「さっ、ケイ。この豚やっちゃいましょうか」

 晴れやかな笑顔で言った。爪がまだ血濡れなんだけど?

「もうほとんどやっちゃってない?」

「まだ生きてるでしょ? まずは止め刺すところからよ。スッと行って、ドンよ」

「プギィィッ! プギィィンンンッ!」

 ひたすら叫びまくるダイオーク。さすがに憐れに見えてきた。これに止め刺すのか……。

「一応言っておくけど、こいつら放っておいたら際限なく増えていくし、人間にしたらそれなりに脅威らしいわよ? 女子供さらっていくしね」

 僕に踏ん切りが付くように後押ししてくれた。それなら、しかたない、やるか。単純だけど自分以外のところに理由を見出だせると、躊躇いは無くなるものだ。

 えいっ。

 その後、ベステルタが釣ってきたダイオークに止めを刺し続けた。二、三匹ほどやったこところで、腕を一本残すことになった。

 一本腕のダイオーク。さてどんなものか。

 ブォン!

「うわっ」

 腕一本だけの死に体のダイオーク。それでも僕にとっては脅威だった。丸太が勝手に僕をぶっ飛ばそうとしてくる訳だからね。

「プビウッ!」

 僕に狙いを定めていたダイオークが顔をのけ反らせ苦しむ。な、なんだ?

「ケイ、大丈夫よ。相手の動きをよく見なさい。攻撃は全部防いであげるから」

 ベステルタは手に小石を握りしめ、それを親指で弾いた。再びダイオークに当たって悲鳴が上がる。

 うわ、片目が潰れてる……。
 これ指弾ってやつだよね。器用というか何というか。

 でも、ベステルタの言う通り相手の動きをよく見るようにしたら攻撃が避けられるようになり、すると怖くもなくなった。うーん、調教されてるな。

「次は二本残しでいくわよー」

 少し楽しそうな彼女の声とダイオークの苦悶の声が対照的だった。自然界って残酷だ。

 その後も訓練を積み、二本腕のダイオークとも問題なく戦えるようになった。これで度胸とどこを攻撃すれば良いか、が少しは分かったかな。

「いい感じね。次は脚あり腕無しでいくわよ」

 成す術無く狩られ続ける黒豚たち。

 なんか、意外といけてしまうもんだね。こんなグロ状況も受け入れてるし。こっちにきてグロ耐性をいじられたのだろうか。いや、いかんいかん。考えるのはやめておこう。

 フレイムベア先輩に続いてダイオークにも、なんかこう少し哀れみを感じてきた。

 うーん、でもこいつらは人に相当迷惑かけてるみたいだし、ここは心を鬼にしよう。僕の善悪を判断するキャパシティは少ないんだ。

「クワッ」

「何で目に力入れてるの? おかしいわよ?」

「ちょっと目にゴミが入ったんだ。気にしないで」

 さて、次は脚ありダイオークだ。どうなるかな?

「プギィィッ!」

 うわっ!

 けっこうはやい!

 一歩が大きい!

 バシュッ!

「ブギャアァ!」

 汚い悲鳴を上げて足を抑えている。かなりの出血だ。振り向くとベステルタの指から煙が出ている。いや、どんな速度で飛ばしたんだよ。ほとんど銃弾じゃん。

「でも、戦いやすくなったな」

 まずは相手の動きに慣れよう。絶望の表情を浮かべるダイオークにベステルタソードを振りかざす。
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

勇者のハーレムパーティー抜けさせてもらいます!〜やけになってワンナイトしたら溺愛されました〜

犬の下僕
恋愛
勇者に裏切られた主人公がワンナイトしたら溺愛される話です。

新人メイド桃ちゃんのお仕事

さわみりん
恋愛
黒髪ボブのメイドの桃ちゃんが、働き先のお屋敷で、旦那様とその息子との親子丼。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

処理中です...