絶死の森で絶滅寸前の人外お姉さんと自由な異世界繁殖生活 転移後は自分のために生きるよ~【R18版】

萩原繁殖

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冒険者ギルド

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 んー、外の空気が気持ち良いな。このまま散歩でもしたいけど。まずはギルドに行かなきゃな。商業ギルドと冒険者ギルドあるんだよね。どっちから行こうかな。

『ケイ、ここからだと冒険者ギルドが近いぞ』

 あ、そうなんだ。でもなんでプテュエラが知っているんだろう。

『昨日の夜、ケイが寝ている間に少し調べてきたんだ。商業ギルドも把握している』

 キリッとした口調で報告してくる。

 わお、プテュエラが有能すぎる。食欲の無いところではマジで優秀だ。有り難い。

『プテュエラは優秀だね。助かるよ』

『何てことはないさ』

 さらっと謙遜する辺りやっぱりクールだよなぁ。
 よし、じゃあ冒険者ギルドに行って登録しますか。

 プテュエラに案内され立派な建物が見えた。武器を持ったいかつい集団、さばさばしている女戦士、いぶし銀の禿頭おじさんとか、見るからに冒険者っぽい人たちが増えてきた。

 建物に入る。熱気がすごい。いろんな人種がごちゃ混ぜになって話して、笑って、怒鳴りあっている。なんだか少し笑ってしまった。僕もその一員になると思うとね。

 受付してもらおう。
 きょろきょろ見渡すと、どこのカウンターも人だかりができていて並びそうだ。あ、でも一ヶ所だけ空いているところがあるな。あそこにしてもらおう。

「すみません、冒険者に登録したいのですが」

「わ、わたしですか?」

 自信無さげな受付嬢だ。どんよりオーラが漂い、おどおどして下を向いている。

「はい。何か問題でも?」

「い、いえ。では手続きに入らせてもらいますね」

 でもこの子、どうも仕事に不慣れなようで手間取っていた。書類を落としたり、ペンを忘れたり。何かに記入している時に、慌てて別の何かを始めたり。

 あー、これで冒険者が並ばないのか。彼らせっかちそうだもんなあ。怖い顔で睨まれたり怒鳴られたら萎縮しそうだもん。でも、全員が全員うまくできるわけじゃないからね。僕は気長に待つよ。
 それにこの子タレ目で可愛いし。
 新卒一年目にして自信喪失中の若いのに休日は死んだように寝ている上京OLって感じだ。うーん、ご飯おごってめちゃくちゃ誉めて励ましてあげたい。

「お、おまたせしました。申し訳ありません」

 びくびくしているのが見てとれる。怒られると思っているんだろうな。

「気にしないで。それほど待っていません。丁寧に準備してくれてありがとう」

 にこり。
 なるべく、気を遣わせないように微笑んだ。つもり。

「ひっ、はい。ありがとうございます。ではいくつか質問していきますね」

 ひっ、とはなんだ。ひっ、とは。
 昨日もそうだったけど、僕は笑わない方がいいのだろうか。それとも気持ち悪いのか? だとしたら傷付くよ。

「はい、どうぞ」

「で、ではお名前と年齢、戦闘方法など教えて下さい」

 戦闘方法か……。うーん。

「名前は種巣啓、29歳、戦闘方法は数種の魔法を使いつつ、剣と戦斧を使った一撃離脱が得意です」

 表現に迷ったけど要約するとそんな感じだよね。練喚攻で身体能力上げて、殲風魔法で出方を見て隙があればベステルタソードでスッと行ってドン。相手が隙を見せなかったり群れなら賢樹魔法で撹乱する。フランチェスカならスッと行って、ドガァン! になるだけだ。試したことないけど。

「す、数種ですか?」

 マジかよという顔で僕を見る気弱受付嬢。

「何か問題がありますか?」

「問題という訳ではないんですが、後衛ではないんですよね?」

「後衛も何も、今まで組んで戦ったことがないので……」

「な、なるほど。それならば納得です。
 タネズさん、魔法使える人材は基本的にパーティーに属して後衛をやるんですよ。二種類使えたら引っ張りだこです!」

 食い気味に話す気弱受付嬢。唾が飛びそうだ。飛んでもいいけど。

「あーそうなんですね。確かに、考えてみればそうか」

「タネズさんは新人なので、本当ならどこかのパーティーに入って荷物持ちから始めた方がいいんですが。戦闘経験もあるご様子。……もしかして訳ありですか?」

 おっ、この子鋭いな。それに気弱な態度も無くなってきている。プロっぽいぞ。

「その通り、訳ありです。現時点ではソロで考えているのですが、一応パーティーメンバーもいます。その上でソロは認めてもらえませんか?」

 亜人だけどね。変装防具ができたら加入させたいんだよな。

「もちろんソロでも歓迎です。
 危険度が上がるのでギルドでは推奨はしていませんが、その分何かと身軽ですしメンバーの管理は必要無いです。報酬も独占できるメリットがあります」

 ほほう。推奨していないことなのにきちんと説明してくれるのはフェアだね。ギルドとしてはパーティー組むことが推奨されているんだね。まあ当然か。

「ただ、実績が評価されるとランクも上がります。すると、ダンジョン内外問わず助っ人として指名されることがあります。
 ……あまり目立ちたく無いなら、そういうところでは魔法は一種のみの使用に留めた方が良いかと、思います、すみません」
 
 我に返って再び気弱になる受付嬢。
 いやいや、すごいためになったよ。気が利くなあ。本当なら問答無用でパーティー組ませて、冒険者に実績積ませた方が自分の評価にも繋がるだろうに、こっちの事情考慮してくれるし。めっちゃいい子じゃん。

「いえ、ご丁寧にありがとうございます。大変ためになりました。ちなみにダンジョンで獲得した素材等はこちらで換金できますか?」

 気弱ちゃんは「お待ちください」と少し嬉しそうにして、書類をめくり出した。一生懸命しててほんわかする。

「あ、あった。はい、こちらで対応可能です。しかし、素材は商業ギルドで卸した方がやや高額になりますね。きっちり鑑定するので時間はかかりますが。冒険者ギルドでは手早く即金で渡せる代わりにやや安くなります。魔石に関しては差はありません」

 うおー、なんてユーザーライクなんだ。この子当たりだ。いや、景品みたいな言い方はするつもりはないけど。
 冒険者の利益を常に考えてくれるじゃないか。好印象だ。
 
 あれ? ていうか魔石ってなんだ?

「すみません、魔石って何ですか?」

 この子なら知ったかぶりしなくても、 馬鹿にしないできちんと教えてくれそうだ。素直になろう。この人は素直になってもきっと馬鹿にしてこないな、って思える人は貴重だよね。

「魔石はダンジョンの魔獣からとれる魔力の結晶のことですね。魔素結晶とも言うようです。あらゆる用途に使えて需要も大きいんですよ」

 おお、魔素って久しぶりに聞いたな。魔石ってつまりは石油みたいなものかな?
 それにしても、書類を都度都度めくって、丁寧に教えてくれる。ありがてえ。

「ですので、魔石は冒険者ギルドで、素材は時間あるなら商業ギルドに卸すと良いです」

 晴れ晴れとした表情で結論付ける気弱ちゃん。よかったなあ。これで少しでも自分に自信が持てたらいいね。

 よし、僕も自信を持とう。
 
「でも、ここで卸したら、あなたの評価や給料も上がりますよね?」

 きょとん、とした顔の気弱ちゃん。

「そ、それは上がりますけど。でも、ご自分の利益を優先して考えてください」

 こんな時でもユーザーライク。よし、絶対いつかご飯に誘うぞ。今までそんなことしたことないけど。

「分かりました。あとランクについても教えて下さい」

「は、はい。ランクはA~Jの十段階と、別枠のSランクで構成されています。タネズさんは申し訳ないんですがJランクからの出発です」

 十段階ってけっこう細分化されてるんだね。そして、最下位か……。まあ仕方ないよね。

「そうですか……」

 ちょっとだけしょんぼりする。

「あ、あの。こんなわたしで良ければ力になりますので。い、一緒に頑張りましょう?」

 おどおどしながら精一杯励ましてくれる気弱ちゃん。

 きゅん。
 やばい、ときめいてしまった。
 この子のために頑張ろう。

 ……アイドルオタクってこんな感じなのだろうか。

「ええ。是非お願いします。一緒に成り上がりましょう。お名前を聞いても?」

「な、成り上がりですか。あはは。わたしには難しそうですか、タネズさんならできる気がします。わたしはシャールと言います。今後は宜しくお願いします」

「うん、よろしくお願いします」

 その後は簡単な登録の手続きとダンジョンの潜り方、依頼の受け方を教えてもらった。そして最後にJランクのギルドカードを渡してもらった。

「こちらがカードになります。冒険者ギルドはあなたを歓迎します」

「ありがとうございます」

 カードを受けとる。ちょっとじーんと来た。これで僕も冒険者か。頑張ろう。

 そのあともまだ教えてもらいたかったんだけど、

「シャール! この、ノロマ! いつまで貧弱そうな新人相手に話してんだい!」

「す、すみません」

 シャールちゃんが何やらケバい受付嬢に呼ばれたので解散することになった。あのケバい受付嬢、印象良くないなー。
 僕のこと貧弱とか言ってたし。そういうの人前でいうのどうかと思うよ。ほら、他の冒険者も僕を嘲笑してるし。

『バラバラにするか?』

 空気を読んで黙ってたプテュエラが昼飯どうすんの、みたいな軽い口調で訊いてきた。こえーよ。君ら優しい種族なんじゃないのかよ。

『む、繁殖の話は人間にも理があるからな。だが理不尽な侮辱には理不尽さで対応するのが一番だ』

 うーん、そうなのかな。日本じゃちょっと考えられないけどね。異世界だし、思った以上に力が物を言うのかもな。

 僕が何も言い返せないと踏んだのか、一部の冒険者が囃し立ててきた。

「かーっ、あいつ言い返せてねーぜ! 情けねえーっ!」
「タマついてんのか、ぼうや?」
「一晩いくらだ?」
「てめーにゃ冒険者は無理だぜ。オークママのお腹に還りな!」

 すんごい罵倒が飛んできた。やばいな。特に最後の異世界のスラング。サノバビッチ的なやつかな。久しぶりに言語理解スキルを実感したよ。

『ケイ』

『分かってる』

 プテュエラの目が据わり始めた。こりゃ僕が対応しないと全員の首が肉部の釣り餌になりそうだ。

 仕方ないなー。みんながフランチェスカみたいらしいからなー。見せちゃおうかなー。イキりたくはないんだけどなー。

 ずぉン。

「ちょっとよく聞こえなかったな」

 魔法の鞄から戦斧フランチェスカがよく見えるように、片手で高々と掲げた。ああフラン可愛いよフラン今日も綺麗だ。

「「「…………」」」

 一斉に押し黙る。お、あのケバい受付嬢も呆気に取られている。き、きもちいい!

『いいぞ、そのままスパァンと』

『それはだめ』

 さすがにお縄にかかりたくはないからね。自重しないと。

 何か変な空気になった冒険者ギルドを出る。ふー、シャールちゃんに会えたのは僥倖だったな。帰る前に一、二回依頼受けてみようかな。

 さて、次は何しようかな。買い物でも行こうか。調理道具とか家具買わないと。まだお金あるし、ベッドも欲しいな。それとも先に商業ギルドに行こうかな。あー、楽しい。
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