44 / 291
弟子
しおりを挟む
さて、今日も色々あったな。リッカリンデン孤児院に寄って子供達と遊んで疲れを癒やそう。その前に遠吠え亭に寄らなきゃな。
遠吠え亭に寄り、今日は孤児院に泊まることを伝える。
ブラガさんが例の料理の作り方についてあれこれ訊いてきた。僕も分かる範囲でレシピを伝える。匂いが出るかもしれないから慎重にとも伝えた。あの匂いがいいんだけどね。
シャロンさんはあくせくと働いていた。今更だけど彼女って成人してないよね。この世界では労基法とか無さそうだしな。家族も働いているのだろうか。大変だ。
リッカリンデン孤児院に着いた。なんか落ち着くな。何でだろう。ジオス神のお膝元だからか? ちょっと気に食わないけど。それにしても布教のフの字も意識してないんだけど大丈夫なのかな。うーん、ジオス神の狙いが分からん。僕はやりたいようにやるけどさ。
「使徒様、お帰りなさいませ」
うわ、カリンが跪いて頭を垂れてきた。油断してたよ。僕使徒だった。彼女の全身から迸る信者オーラはどうにかならないのだろうか。
「あーしとさまだー!」
「おかりなさいませ」
「ませー、ひん」
「ふふ、みんな。ケイも疲れているから飛びついちゃだめよ。ケイ、おかえり」
ベステルタが元気いっぱいの子供達をぶら下げたり引っつけたりしながら、出迎えてくれた。すっかり保母さんみたいになっている。ありだな……。
「あ、お姉様あああ」
背中に特徴的な小さい羽を生やした子供がプテュエラに突撃する。この子、初対面の時から随分プテュエラに懐いていたよな。
「わぷ、な、なんだ」
「その子はバルデよ。何か妙にプテュエラに会いたがっていたのよね」
「ば、バルデは、プテュエラ様をお慕いしておりますぅぅぅ!」
ふがふがとプテュエラの身体に顔を埋めて恍惚そうな顔を浮かべるバルデちゃん。
「こ、こら。バルデ、お止めなさい! 失礼でしょう!」
慌てるカリンと状況が分からないプテュエラ。通訳してバルデのことを伝える。
「あ、いや、別にいいんだ。ジオス教徒の子供に懐かれるのは嬉しい。ただ、何で私をこう慕うのか分からなくてな」
バルデが慕っていることを伝えると何となく理解したようだった。でも自分よりずっと小さな子供にモフられ困惑している。こんな感じのプテュエラは珍しいな。新鮮だ。
「バルデは蝙蝠族だから、プテュエラ様みたいにかっこよく飛べるのが羨ましいんだよ!」
とりわけ元気いっぱいの子が答える。あー、確かリーノウちゃんだっけな。
「バルデちゃんはまだうまく飛べないから……ひん」
この男の子はザルドくんだな。もじもじしているが美少年だ。これはお姉さんキラーになりそう。気をつけねば。
よく見ると二人とも身体に特徴があるな。種族は何だろう。
「二人は何族なの?」
「リーノウは誇り高き犀人族だ!」
「ひん、ザルドは気高き蜥蜴人族」
蝙蝠族、犀人族、蜥蜴人族。よりみどりだな。確かにリーノウちゃんの頭にはちっちゃな角が生えているし、ザルドくんの肌には鱗がある。なるほど、バルデちゃんの羽は蝙蝠か。
「お姉様! バルデに飛び方を教えて下さい! お姉様みたいに飛びたいので! かっこよくなりたいので!」
バルデちゃんが必死に頼み込んでいる。この子最初は結構大人しいように見えたんだけどな。
「はは。もちろんだ。飛び方を教えるのは初めてだが、楽しそうだ。よろしく、バルデ、と伝えてくれるか?」
いちいち僕の通訳挟むのはめんどいけど仕方ない。バルデに内容を伝える。
「やったぁ! お姉様好きぃ!」
もふもふもふ、と顔を埋めるバルデ。まるで僕がいないかのように振る舞い。うーん、そろそろ中に入りたい。
「バルデちゃん、モフるのはそれくらいにして、そろそろ部屋の中に入ってもいいかい?」
「え……? あ、はい。どうぞ使徒様」
うおっ、首だけぐるっとこっちを向いた。無表情だ。しかも声のトーンも変わっている。この落差。何もしてないのに凹むんだが。
「申し訳ございません、使徒様。後で言って聞かせますので」
カリンが申し訳なさそうに謝ってくる。
「ううん、気にしてないよ。それよりも子供達が僕やベステルタたちと話したいらしいね。あ、もしかしてカリンも?」
「す、すみません」
恥ずかしそうに顔を伏せる。くっ、可愛い。線が細くて気弱な薄幸シスター。しかしその実、超がつく狂信者だからね。
質素な礼拝堂を通り過ぎ、孤児院の一角、たぶん普段みんなが過ごしている部屋、というか教室に案内される。小さな机が行儀よく並べられ、カリンが使っているであろう教壇がある。ここで勉強を教えているんだろうね。
「みんなのために使徒様が来て下さいました。ちゃんとお礼を言いましょう」
「「「しとさま、ありがとうございます」」」
子供達の元気な声。はー、癒やされる。使徒とか関係無ければもっとよかったんだけど。
「では使徒様。恐れながら子供達の質問に答えて頂いても宜しいでしょうか? もちろん、答えられる範囲で構いません」
「はーい」
教壇に立って椅子に座って目を光らせる子供達を見渡す。好奇心旺盛だ。いいことだね。
「しとさま、亜人様好きですか!」
リーノウちゃんだ。
「好きだよ」
当たり前だ。愚問やで。
『ふふ』
『はは』
二人とも笑ってる。別にいいでしょ。
「得意な武器は何ですか?」
冷静そうな男の子。うーん。
「ベステルタの爪だよ」
「爪?」
分からなそうだったから、実際に爪を見せてひゅんひゅん振ると「ふぉぉぉぉ」とちびっ子たちが大興奮してくれた。カリンもそれに混じって興奮……。
「なるほど! 状況に応じて何でも使えるようになれ、ということですね。勉強になりました」
何だか納得してくれたようだ。まあそれしかないから使ってた、というのは合ってる。今はフランチェスカもあるんだけど、ここで出したら驚かれちゃいそうだからやめておこう。
「今まで一番強かった敵はなんですかー?」
ぽわぽした女の子。何か戦闘系の質問多いな。意外だ。
「面倒くさかったのは群れたマスキュラス、厄介だったのは徒党を組んだダークエイプ、強いっていうか目標はフレイムベアだね」
「フレイムベアなんて倒せるのか!? でんせつの魔獣だろ!?」
生意気そうな男の子。立ち上がって目が爛々だ。伝説なのかあれは。
「僕はまだ無理だけど、亜人たちなら冗談抜きに一瞬だよ」
誇張無しなんだよなあ。
「すっげえええ! やっべえええ!」
大喜びだ。やっぱ男の子はこういうの好きだよなー。女の子たちも楽しそうにしているのがよく分からないけど。騎士でも目指しているのかな?
「お姉様とはどこまで?」
バルデちゃんが際どい質問を投げかける。うわ、教室が静まり返ってしまった。
「どうした?」
「何かあったの?」
(しとさまと亜人様、なんて言っているんだろうね)
僕がうまく言えないでいると、二人が訊いてくる。
(分からないね)
(きっとお姉様に命令しているのよ)
(ひん、そんなことないと思うよお)
何だかひそひそ声が聴こえてくるが。
「いや、プテュエラとはどこまでいったのかって……何て答えればいいか分からなくて。はは」
こういう繊細な質問、子供になんて答えればいいかなんて分からないよ。
二人は少し思案して、プテュエラが言った。
「ふむ、ならばこれでどうだ」
不意に顔が近づけられる。
ズギューーーン!
う、奪われた。公衆の面前で。
「うおおおおおおおお」
「ひいいいいいいいん」
「きいいいいいいいい!」
ざわめく子供達を見てニヤリ。
「これ以上だ」
キメ顔。
「やべえええええええ」
「大人すげえええええ」
「お、おねっ、おねえさまあああ!」
子供たちけっこうマセてるな。ガン見してくるじゃん。そしてバルデが血を吐くような叫び声を上げる。うっ、僕を見る視線に殺意が込もっている。子供がそんな目したら駄目だよ……。
「なら私も」
ベステルタが、あっ。
ズギュゥゥウウン!
ま、またしても。
「ふぁぁぁぁぁぁぁ」
ぱちぱちぱち。
手を叩いて興奮するカリン。完全に立場を忘れている。あーあ、これしばらく続きそうだ。
やっと落ち着いて質問タイムが再開した。今度は僕からだ。
「みんなは何歳?」
「「「11さ14い145525さい3421242さ82451さいさいさい!!!」」」
だめだ訊き方が悪かった。一人一人に訊かないと。
「リーノウは?」
「11歳だ!」
その割には大きいな。犀人だし種族的なものかな?
「バルデは?」
「12歳ですが?」
何か? と冷たい眼差し。これ完全によく思われていないなあ。
「ザルドは?」
「14ひん歳です」
ええ、どう考えても低学年にしか見えないのだが。ここら辺のバラツキはなんだろう。
「使徒様、獣人は種族によって心と身体の成長スピードが異なります。さらに人族よりもレベルに依存した成長をするので、違和感を感じるのかと」
カリン、ナイスフォロー。
はー、なるほどな。じゃあみんな見た目通りでないし、逆に見た目通りの年齢ってことか。ゴドーさんやブラガさんも実は結構若いってことかな。でも二人は獣の特徴が強く出ているし。うーん、よく分かんなくなってきた。見た目は低学年のザルドもレベル上げればぐんぐん成長するってことだよね?
「あ、そうだ。みんな僕のことはケイとかお兄さんって読んでね。カリンもね」
そうそう。正直、使徒って呼ばれていると課長、部長って言われているようで嫌だし。名前で読んで欲しいんだよね。
「そ、そんな。恐れ多いです……」
「いいからいいから」
「う、け、ケイ様……」
恐縮するカリンを何とか説得して、名前で呼ばせることには成功した。
「アニキ!」
「ケイ……さん」
「師匠!」
リーノウは素直で良い子供だね。バルデはなんで一瞬躊躇ったのかな。そして、ザルド。師匠ってどういうこと?
「ひ、ひん。ザルドは師匠の弟子になりたいです。お願いします」
ぺこり、と頭を下げる美少年。どういうことだ?
「話が見えないよ。どういうことかな?」
「ひ、ひん。ザルドはリザードマンです。雌とたくさん番って繁殖することが使命であり、男の証です。師匠はものすごく強い亜人様を三人も契約しています。亜人様と繁殖できる人は少ないのに、師匠はさらに三人も相手取っています。だ、だから、師匠に繁殖術を教えて欲しいです、ひん」
世のお姉さん方がきゅんってしそうなショタフェイスでとんでもない事を口走るザルド。あと、君結構喋るのね。
ていうか、繁殖術って……。
遠吠え亭に寄り、今日は孤児院に泊まることを伝える。
ブラガさんが例の料理の作り方についてあれこれ訊いてきた。僕も分かる範囲でレシピを伝える。匂いが出るかもしれないから慎重にとも伝えた。あの匂いがいいんだけどね。
シャロンさんはあくせくと働いていた。今更だけど彼女って成人してないよね。この世界では労基法とか無さそうだしな。家族も働いているのだろうか。大変だ。
リッカリンデン孤児院に着いた。なんか落ち着くな。何でだろう。ジオス神のお膝元だからか? ちょっと気に食わないけど。それにしても布教のフの字も意識してないんだけど大丈夫なのかな。うーん、ジオス神の狙いが分からん。僕はやりたいようにやるけどさ。
「使徒様、お帰りなさいませ」
うわ、カリンが跪いて頭を垂れてきた。油断してたよ。僕使徒だった。彼女の全身から迸る信者オーラはどうにかならないのだろうか。
「あーしとさまだー!」
「おかりなさいませ」
「ませー、ひん」
「ふふ、みんな。ケイも疲れているから飛びついちゃだめよ。ケイ、おかえり」
ベステルタが元気いっぱいの子供達をぶら下げたり引っつけたりしながら、出迎えてくれた。すっかり保母さんみたいになっている。ありだな……。
「あ、お姉様あああ」
背中に特徴的な小さい羽を生やした子供がプテュエラに突撃する。この子、初対面の時から随分プテュエラに懐いていたよな。
「わぷ、な、なんだ」
「その子はバルデよ。何か妙にプテュエラに会いたがっていたのよね」
「ば、バルデは、プテュエラ様をお慕いしておりますぅぅぅ!」
ふがふがとプテュエラの身体に顔を埋めて恍惚そうな顔を浮かべるバルデちゃん。
「こ、こら。バルデ、お止めなさい! 失礼でしょう!」
慌てるカリンと状況が分からないプテュエラ。通訳してバルデのことを伝える。
「あ、いや、別にいいんだ。ジオス教徒の子供に懐かれるのは嬉しい。ただ、何で私をこう慕うのか分からなくてな」
バルデが慕っていることを伝えると何となく理解したようだった。でも自分よりずっと小さな子供にモフられ困惑している。こんな感じのプテュエラは珍しいな。新鮮だ。
「バルデは蝙蝠族だから、プテュエラ様みたいにかっこよく飛べるのが羨ましいんだよ!」
とりわけ元気いっぱいの子が答える。あー、確かリーノウちゃんだっけな。
「バルデちゃんはまだうまく飛べないから……ひん」
この男の子はザルドくんだな。もじもじしているが美少年だ。これはお姉さんキラーになりそう。気をつけねば。
よく見ると二人とも身体に特徴があるな。種族は何だろう。
「二人は何族なの?」
「リーノウは誇り高き犀人族だ!」
「ひん、ザルドは気高き蜥蜴人族」
蝙蝠族、犀人族、蜥蜴人族。よりみどりだな。確かにリーノウちゃんの頭にはちっちゃな角が生えているし、ザルドくんの肌には鱗がある。なるほど、バルデちゃんの羽は蝙蝠か。
「お姉様! バルデに飛び方を教えて下さい! お姉様みたいに飛びたいので! かっこよくなりたいので!」
バルデちゃんが必死に頼み込んでいる。この子最初は結構大人しいように見えたんだけどな。
「はは。もちろんだ。飛び方を教えるのは初めてだが、楽しそうだ。よろしく、バルデ、と伝えてくれるか?」
いちいち僕の通訳挟むのはめんどいけど仕方ない。バルデに内容を伝える。
「やったぁ! お姉様好きぃ!」
もふもふもふ、と顔を埋めるバルデ。まるで僕がいないかのように振る舞い。うーん、そろそろ中に入りたい。
「バルデちゃん、モフるのはそれくらいにして、そろそろ部屋の中に入ってもいいかい?」
「え……? あ、はい。どうぞ使徒様」
うおっ、首だけぐるっとこっちを向いた。無表情だ。しかも声のトーンも変わっている。この落差。何もしてないのに凹むんだが。
「申し訳ございません、使徒様。後で言って聞かせますので」
カリンが申し訳なさそうに謝ってくる。
「ううん、気にしてないよ。それよりも子供達が僕やベステルタたちと話したいらしいね。あ、もしかしてカリンも?」
「す、すみません」
恥ずかしそうに顔を伏せる。くっ、可愛い。線が細くて気弱な薄幸シスター。しかしその実、超がつく狂信者だからね。
質素な礼拝堂を通り過ぎ、孤児院の一角、たぶん普段みんなが過ごしている部屋、というか教室に案内される。小さな机が行儀よく並べられ、カリンが使っているであろう教壇がある。ここで勉強を教えているんだろうね。
「みんなのために使徒様が来て下さいました。ちゃんとお礼を言いましょう」
「「「しとさま、ありがとうございます」」」
子供達の元気な声。はー、癒やされる。使徒とか関係無ければもっとよかったんだけど。
「では使徒様。恐れながら子供達の質問に答えて頂いても宜しいでしょうか? もちろん、答えられる範囲で構いません」
「はーい」
教壇に立って椅子に座って目を光らせる子供達を見渡す。好奇心旺盛だ。いいことだね。
「しとさま、亜人様好きですか!」
リーノウちゃんだ。
「好きだよ」
当たり前だ。愚問やで。
『ふふ』
『はは』
二人とも笑ってる。別にいいでしょ。
「得意な武器は何ですか?」
冷静そうな男の子。うーん。
「ベステルタの爪だよ」
「爪?」
分からなそうだったから、実際に爪を見せてひゅんひゅん振ると「ふぉぉぉぉ」とちびっ子たちが大興奮してくれた。カリンもそれに混じって興奮……。
「なるほど! 状況に応じて何でも使えるようになれ、ということですね。勉強になりました」
何だか納得してくれたようだ。まあそれしかないから使ってた、というのは合ってる。今はフランチェスカもあるんだけど、ここで出したら驚かれちゃいそうだからやめておこう。
「今まで一番強かった敵はなんですかー?」
ぽわぽした女の子。何か戦闘系の質問多いな。意外だ。
「面倒くさかったのは群れたマスキュラス、厄介だったのは徒党を組んだダークエイプ、強いっていうか目標はフレイムベアだね」
「フレイムベアなんて倒せるのか!? でんせつの魔獣だろ!?」
生意気そうな男の子。立ち上がって目が爛々だ。伝説なのかあれは。
「僕はまだ無理だけど、亜人たちなら冗談抜きに一瞬だよ」
誇張無しなんだよなあ。
「すっげえええ! やっべえええ!」
大喜びだ。やっぱ男の子はこういうの好きだよなー。女の子たちも楽しそうにしているのがよく分からないけど。騎士でも目指しているのかな?
「お姉様とはどこまで?」
バルデちゃんが際どい質問を投げかける。うわ、教室が静まり返ってしまった。
「どうした?」
「何かあったの?」
(しとさまと亜人様、なんて言っているんだろうね)
僕がうまく言えないでいると、二人が訊いてくる。
(分からないね)
(きっとお姉様に命令しているのよ)
(ひん、そんなことないと思うよお)
何だかひそひそ声が聴こえてくるが。
「いや、プテュエラとはどこまでいったのかって……何て答えればいいか分からなくて。はは」
こういう繊細な質問、子供になんて答えればいいかなんて分からないよ。
二人は少し思案して、プテュエラが言った。
「ふむ、ならばこれでどうだ」
不意に顔が近づけられる。
ズギューーーン!
う、奪われた。公衆の面前で。
「うおおおおおおおお」
「ひいいいいいいいん」
「きいいいいいいいい!」
ざわめく子供達を見てニヤリ。
「これ以上だ」
キメ顔。
「やべえええええええ」
「大人すげえええええ」
「お、おねっ、おねえさまあああ!」
子供たちけっこうマセてるな。ガン見してくるじゃん。そしてバルデが血を吐くような叫び声を上げる。うっ、僕を見る視線に殺意が込もっている。子供がそんな目したら駄目だよ……。
「なら私も」
ベステルタが、あっ。
ズギュゥゥウウン!
ま、またしても。
「ふぁぁぁぁぁぁぁ」
ぱちぱちぱち。
手を叩いて興奮するカリン。完全に立場を忘れている。あーあ、これしばらく続きそうだ。
やっと落ち着いて質問タイムが再開した。今度は僕からだ。
「みんなは何歳?」
「「「11さ14い145525さい3421242さ82451さいさいさい!!!」」」
だめだ訊き方が悪かった。一人一人に訊かないと。
「リーノウは?」
「11歳だ!」
その割には大きいな。犀人だし種族的なものかな?
「バルデは?」
「12歳ですが?」
何か? と冷たい眼差し。これ完全によく思われていないなあ。
「ザルドは?」
「14ひん歳です」
ええ、どう考えても低学年にしか見えないのだが。ここら辺のバラツキはなんだろう。
「使徒様、獣人は種族によって心と身体の成長スピードが異なります。さらに人族よりもレベルに依存した成長をするので、違和感を感じるのかと」
カリン、ナイスフォロー。
はー、なるほどな。じゃあみんな見た目通りでないし、逆に見た目通りの年齢ってことか。ゴドーさんやブラガさんも実は結構若いってことかな。でも二人は獣の特徴が強く出ているし。うーん、よく分かんなくなってきた。見た目は低学年のザルドもレベル上げればぐんぐん成長するってことだよね?
「あ、そうだ。みんな僕のことはケイとかお兄さんって読んでね。カリンもね」
そうそう。正直、使徒って呼ばれていると課長、部長って言われているようで嫌だし。名前で読んで欲しいんだよね。
「そ、そんな。恐れ多いです……」
「いいからいいから」
「う、け、ケイ様……」
恐縮するカリンを何とか説得して、名前で呼ばせることには成功した。
「アニキ!」
「ケイ……さん」
「師匠!」
リーノウは素直で良い子供だね。バルデはなんで一瞬躊躇ったのかな。そして、ザルド。師匠ってどういうこと?
「ひ、ひん。ザルドは師匠の弟子になりたいです。お願いします」
ぺこり、と頭を下げる美少年。どういうことだ?
「話が見えないよ。どういうことかな?」
「ひ、ひん。ザルドはリザードマンです。雌とたくさん番って繁殖することが使命であり、男の証です。師匠はものすごく強い亜人様を三人も契約しています。亜人様と繁殖できる人は少ないのに、師匠はさらに三人も相手取っています。だ、だから、師匠に繁殖術を教えて欲しいです、ひん」
世のお姉さん方がきゅんってしそうなショタフェイスでとんでもない事を口走るザルド。あと、君結構喋るのね。
ていうか、繁殖術って……。
35
あなたにおすすめの小説
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる