絶死の森で絶滅寸前の人外お姉さんと自由な異世界繁殖生活 転移後は自分のために生きるよ~【R18版】

萩原繁殖

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認定官

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 僕がリッカリンデンのみんなのために、もう少しだけ兎狩りをしたいとベステルタに伝えると、

「もちろん。たくさん持って帰りましょ」

 と快く引き受けてくれた。ありがてえ。

 で、結局兎狩りしまくって二十羽ほど狩ることができた。これなら孤児院にも行き渡るだろう。子供たちがどれくらいいるかきちんと数えたことないけど確か十人くらいだったもんな。よかったよかった。ただ、途中で冒険者たちと出くわしてものすごく驚かれたんだけど何だったんだろう。よくわからん。

 ハイタッチしつつダンジョンを進んでいくと、何度か転移陣に乗った。これが層ごとの切れ目だろうな。冒険者たちもちらほらいた。順番に転移していたので僕たちも行儀よく列に並んで転移した。

 さらに進んでいくと突然ベステルタが「たくさんの人の気配がする。五層の終わりかも」と言った。あれ、早くね? え、一層に付き三日くらいかかるんじゃなかったっけ。とにかく前進した記憶しかない。いやでも、確かにそれくらい転移陣乗ったか。

 そのまま進むと、開けた場所に出た。
 冒険者たちがたくさんいて、相談やら武器の手入れをしている。雰囲気としてはダンジョン転移陣の感じに似ている。

「ボス倒してJランクともおさらばするぞ!」

「ああ! これで晴れて冒険者の仲間入りだ!」

「六層からたっぷり稼ぐわよ!」

 ある一組の冒険者が円陣を組んで気合を入れていた。少年少女って年齢じゃないな。二十代半ばくらいに見える。うーん、五層くらいまではすぐに到達すると思ったんだけど、意外とそんなことないのかも。ラーズさんも戦闘要員以外にポーターとマッパーが必要だって言っていたし。辺りを見渡しても、それっぽい恰好をした人たちがいる。大きい背負子背負った奴隷っぽい牛系獣人や、難しい顔で地図とにらめっこしているハーフリング、疲労困憊の冒険者たちに水を配ったり世話する狸顔の獣人。いろんな役割の人がいるんだなあ。

 よし、情報収集するか。

「ベステルタ、ちょっと情報収集してくるからいい子で留守番していてね」

「子ども扱いしないで欲しいわね。それくらいできるわよ」

 むっ、と少し頬を膨らませる彼女。指で押してぷしゅってやりたい。そのまま汗だくで繁りたい。

 ベステルタといったん別れ、適当な冒険者に話しかける。

「すみませんすみません、ちょっといいですか?」

「あ? 何だよ。これから作戦会議で忙しいんだよ」

 ギロリ、と睨まれる。

 やべ、強面な人に話しかけてしまった。仕方ないからそのまま押し切る。

「すみませんね。ちょっとボスについて知りたくて。初めてここまで来たんですよ。あ、これ地上で買った唐揚げです。良ければどうぞ」

 鞄から結構前に大量購入した唐揚げを取り出す。初めてデイライトに来た時、プテュエラが見つけた唐揚げ屋さんだ。あの屋台のおっちゃん元気かな。また行かないとね。

「唐揚げ? うおっ、お前。ここでその匂い漂わせるのは犯罪だぜ。不味い保存食しか食えねえからなぁ。仕方ねえ! 食ってやるよ」

 ひょいぱく、うんめぇー、と顔を綻ばせる強面さん。めっちゃ嬉しそう。ただの唐揚げなんだけどな。

「不味い保存食しかないんですか?」

「当たり前だろ。ここまで来るのにどれだけ時間がかかると思ってんだ。お前、出張屋台じゃねえのか? 料理人がここまでくるとか、冒険者に転向しろよ」

 そんな生業もあるのか。まあ、確かに何日も洞窟でゴブリン相手にしながら不味い保存食しか食べられないなんて気が滅入りそうだし需要あるんだろうな。気が向いたらやってもいいかもしれない。気晴らしにね。

「僕は冒険者ですよ。Jランクですけど。五層のボスを知らないんで教えて欲しいんです。この唐揚げは情報料代わりですよ」

「お前、ここまで来たのにボスの情報持ってないのか? ったく馬鹿な奴だな。そんなんじゃせっかくJランク卒業して、稼げるランクに昇格できるのに死んじまうぞ。情報不足は死につながるんだぜ?」

 いやはや、仰る通りです。返す言葉もない。

「耳が痛いですねえ」

「他人事みたいに言いやがって。お前が死んだら仲間が泣くぞ。仕方ねえから教えてやるよ」

 お、言葉遣いは乱暴だけどけっこう熱くて優しい人だな。唐揚げもぐもぐしているけど。

「五層のボスはオークだぜ」

 ……オーク? え、もしかしてダイオーク?

「何オークですか?」

「何言ってんだお前。オークはオークだろうが。圧倒的なタフネスと腕力。装備整えて自信つけた初心者パーティーを、こん棒の一振りで粉砕しちまうオークだ。初めて挑むんだから気を付けろよ? 一度ボス部屋入ったら、倒すか一定時間経たないと出られないからな。いったん情報集めて作戦立てて出直しとけ。ポーションは持ってるか? 当たり前だが劣化してると使い物にならないから気を付けろよ。あ、唐揚げ、仲間の分の貰っていいか?」

「どうぞどうぞ」

 ほくほく顔の強面さん。すごい助言してくれるやん。

 いやー、マジか。ただのオークか。慢心は良くないけど、たぶんベステルカノンで一撃だな。強面さんめっちゃ忠告してくれたけど。うん、これなら早く済みそうだ。そうだ、もしボス部屋で亜人召喚できるなら、ラミアルカ呼ぼうかな。最近会えていないし。

「ちなみに五層突破したら稼げるようになるんですか?」

「そりゃなるわな。五層まででも一応稼げるんだが、六層以降の方が稼げる。ガンシープ、モリゲッコー、シャイバードが出現するからな。こいつらはゴブリンより強いが、それでも十分弱い。しかも素材は嵩張りにくくて高く売れる。五層でうろついている暇があったら、さっさとオーク倒して六層を主戦場にした方が金になるのさ。まあ、そこまでいくのが大変なんだけどな。初心者の大半が五層までに大抵心が折れる。単純に実力が足りないのもあるし、怪我や長期間ダンジョンに潜るから心病むやつもいる。あとはまぁ、ゴブリンとかコボルトに犯されたりとかな。あいつら男女関係ないから性質悪いんだよなぁ、ったく」

 強面さん、唐揚げで気分良くなったのかいろいろ教えてくれた。良い人だな。ラーズさんの言う通り、まずは仲良くなることから始めてよかった。ていうかやっぱりゴブリンはそういうやつらなのね。でもコボルトまで襲ってくるとか意外だな。まあ、確かに全然可愛くなくて醜悪な顔つきだったけど。

「ありがとうございます。助かりました」

「おう、こっちも気晴らしになったわ。ありがとうな。ちなみにこの唐揚げどこで売ってるんだ?」

 強面さんに唐揚げ屋を教えてあげると、とっても喜んでくれた。これが終わったら仲間と食べに行くらしい。完全に死亡フラグだが、まぁ大丈夫だと信じよう。

 ベステルタのところに戻って早速作戦会議(蹂躙会議)をする。

「ふーん、ボスはダイオークか。相変わらず弱いわね。こんなんじゃ他の冒険者たちもやってられないんじゃない? 楽しくないでしょ? ふわぁ」

 ベステルタが大きく伸びをして退屈そうに欠伸をする。おっぱいがばるんばるん跳ねて目の毒だ。

「ベステルタ、ボスはダイオークじゃない。オークなんだ」

「……ん? どういうこと? オークってダイオークの名前の一部よね?」

 メラ〇ーマではないメ〇だ、みたいなことを言うとベステルタが斜め上の回答をしてきた。そっかぁ。オークさんは生物として認知すらされていないのかぁ。プテュエラは知ってたっぽいんだけどな。普段の行動範囲の違いかな。

 かくかくしかじか説明する。

 しばしの沈黙。

「……つまり、ダイオークはオークより強くて、オークはダイオークより弱いってこと?」

「そういうことだね」

「そう……」

 するとベステルタは見るからに落胆してしまった。背中が煤けている。これに関しては何も言えない。

「早く終わらせて帰ろう?」

「ええ……」

 とぼとぼ歩く彼女のお尻をさわさわしようかと思ったけどさすがに最低なので止めた。

……

 ラーズさんから忠告されたように、階層突破認定官とやらを探す。ほどなくしてそれは見つかった。広間の隅に明らかに急ごしらえの掘立小屋があったからだ。ぼろい看板で「職員在中」と書いてある。幸い、並んでいる冒険者はいなかったので中に入った。

「こんにちは。認定希望ですか?」

 奥から書類整理していた、ちょっと疲れ気味の男性職員が出迎えてくれた。そりゃこんな薄暗い場所に詰めていたらそうなるよな。

「お疲れ様です。これから五層のボスに挑戦しようと思っているのですが、知人にこちらに寄れと言われまして」

「ああ、それは賢明ですね。新人冒険者の方はつい忘れがちなので。認定を受けないとギルドとしても正式な昇格を認定しづらいので。もちろん先の層には進めるんですけどね」

 やっとの思いでボスを倒した冒険者が後日「話が違う」と怒鳴り込んでくることが多いんですよ、とどんより話す職員さん。いやあ、これはマジでお疲れだな。クレーム対応までしなきゃいけないとか。どうにかならないのかね。

「それはお疲れ様です」

「いえいえ、仕事ですから。それで今回はどうされました?」

「あ、はい。さっき言った通りこれから挑戦するんですけど、認定の仕方を教えて欲しくて」

「ああ、なるほど。特に難しいことは無いですよ。向こうに二つの転移陣が見えますね? 右がボス、左が六層行きの転移陣です。私に六層に転移できるところを見せてもらえれば認定完了です。ボスを倒さないと左の転移陣に弾かれますから」

 なるほど、それは簡単だな。そのまま六層攻略しても良さそうだけど。

「そうですか、ちなみにそのまま六層の攻略に向かってもいいんですかね?」

 そう言うと認定官さんは顔を曇らした。

「もちろん可能ですが、私としてはお勧めしません。ボスを倒して浮かれて六層に行った冒険者がそのまま帰ってこない、なんてよくある話ですから」

 すると彼は奥の書棚から箱を取り出して中を見せてくれた。ちょっとぼろい賞状? みたいのががたくさん入っている。その全部が「Iランク冒険者に認定する」と書いてある。ああ、そういうことか。

「これは帰ってこなかった冒険者に渡すはずだった認定証です。これをギルドに持ち帰って提出すればスムーズにランクアップが認められます」

 彼は疲れた笑顔を向ける。

 ……うーん、ヘビーだな。ここは彼の精神のためにも忠告に従っておこう。なんかカリンたちに早く会いたくなってきた。

「ご忠告有難うございます。いったん戻ろうと思います」

「是非そうしてください。これは仕事ではありますが、すぐ戻る、と言った冒険者が戻らないのはやはり堪えますので」

 うわー、僕絶対この仕事無理だわ。精神やられるよ。後で差し入れしよう。

 その後オークを倒したらもう一度寄ることを告げて、その場を後にする。この世界の仕事も大変だな……。
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