絶死の森で絶滅寸前の人外お姉さんと自由な異世界繁殖生活 転移後は自分のために生きるよ~【R18版】

萩原繁殖

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わからせの夜(一)

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※本パートより7話ほど、ややハードなWAKARASE回が続きます。苦手な方は読み飛ばすか、薄目で見るか、猫ちゃんの動画を見ながらお待ち下さい。長めなので毎日2話投稿予定です。





ーーーーーーーー

「紅だあああぁぁぁぁあ!!!」

「うるせーーーぞ!!!」

 バタン! と窓が次々と開け放たれる。

「うわぁっ、変態だぁ!」

「パンツ被った変態が叫んでるぞ!」

「えっ、あの下着赤い……うそ」

「やべえ、あれはきっと返り血だ……パンツを無理やり奪って逃げたんだ……」

「おい誰か! 衛兵を呼べ!」

 うわ、めっちゃ人呼ばれたわ。比較的高い建物で叫んだんだけどなあ。

 わらわらと地上に人が集まってくる。あ、これ思ったよりもやばいかも。

『プテュエラ! さっきの今でごめん、透明化の魔法かけてください!』

『心得た』

「な、なんだあっ!?」

「姿が消えたぞ!」

「探せぇーッ! デイライトを脅かす変態を逃がすなッ!」

 そしてすぐに応じてくれるプっさん……いやプネキ。しかも風で運んでくれてるから、教会までひとっ飛びだ。理由も聞かずに最速で対応してくれる彼女には感謝しか無い。

「ありがとう、助かったよ」

「構わんよ。む、その被ってる布はなんだ? 怪我したのか? 誰にやられた? 殺そうか?」

「違う違う。これは……僕が欲しいって言ったんだ。贈り物だよ」

「ふーむ。ニンゲンのオスを確保するための知恵か。他のメスに取られないように、と。なるほど。存外、ニンゲンのメスも動物らしいところがあるんだな。分かりやすくて良い」

 ……ごめん、シャールちゃん。なんか勘違いされてるかも。

 とか話してる間に教会前に着いた。すると物音を察知したルーナがすぐに出迎えてくれた。

「おかえりなさいませ御主人様」

 片膝突いて挨拶する彼女の頭をさわさわして起こす。ケモ耳がぴくっと揺れる。

「なんかアルフィンがやらかしてるんだって?」

「はっ。さすが、御主人様。既にご存じでしたか。あの生意気な奴隷はカリン様やシルビア様に対し、大変無礼な態度を取りました」

「あれ、マイアやルーナは?」

「はっ。私共は奴隷ですので省きました」

「省かなくていいよ。君たちも嫌な思いをしたんだね」

「はっ」

「ちなみにどんなこと?」

「卑しい獣人風情が、と」

 ほほお。そいつぁ穏やかじゃないねえ。

 ちょっとケイくんピキッちゃったよ。ルーナもマイアも最高だろうが。

「僕の責任だ。アルフィンは最初に躾けておくべきだった」

「御主人様の責任ではございません。事実、私共は確かに卑しい獣人ですから」

「ルーナ、僕はそう思ってないよ。君たちはもふもふでかわいい大切な奴隷だ。君たちがいてくれることにいつも感謝しているよ」

「御主人様……ありがたきお言葉」

 再び跪こうとしたルーナを止める。努めて無表情をしているようだけど、尻尾がフリフリ揺れているのが可愛い。

「あの者は御主人様の威光を傘にして、屁理屈をこね皆を困らせました。御主人様、どうか彼女の躾をお任せ頂きたく。奴隷としての本分を思い出させたく存じます」

 おお、ルーナの目がギラギラしている。これはやる気だな。彼女にも加わってもらおう。

「ルーナ、大丈夫だ。今回は僕が直接、ヤる」

「……おお、御主人が直々に」

 なんだかルーナが嬉しそうだ。なんでだろ。長年の奴隷マインドによるものなのだろうか。

「まあ、僕といっても亜人たちの力を借りるんだけどね。ラミアルカとサンドリアだ。覚えてるよね?」

「もちろんでございます。なるほど、あの方々であれば安心です」

 あの二人は、特にラミアルカはその道のプロだからね。いやまあプロだと僕が勝手に思ってるだけなんだけど。

「よし。じゃあ行こうか。……ルーナ、ついてこい」

「……! はっ!」

 あっ、ルーナの耳がぴょこぴょこだ。もしかしてあれか、偉そうな態度取ると喜ぶのか? ふむ……一考の余地ありだな。

「ただいま」

「あっ、御主人様ぁ゛~!」

 すぐにマイアが駆け寄ってくる。うわっ、鼻水だらだらで涙ボロボロだ。

「あ、あ゛い゛づがぁ~……いたっ」

「マイア、その汚い顔を御主人様に近付けないように。顔を拭きなさい」

「う、うぅ~」

 ルーナにピシャリと頭をはたかれ、差し出されたハンカチで顔を拭いてチーンする。

「あ、あいつ、私のこと乳馬鹿だっでぇ言うんでずぅ゛~っ! 乳しか出さない無駄飯喰らいの穀潰しっでぇ~!」

「それはひどい」

 マイアは無駄飯喰らいではない。乳を出すのが仕事だ。

「あなたは少し食べる量を減らしなさい。日に日に増える一方ではないですか」

「で、でもぉ、ここのご飯美味しくて……つい食べちゃうんですよぉ」

「そんなことだから新入りに舐められるのです。節制しなさい」

「うぅ~ルーナちゃんのいじわる~」

 この二人はいつもこんなんだよなあ。でも、心なしかルーナのマイアに対する態度が優しい感じがする。この前のニステルの一件のおかげだろうか。

「そう言えばニステルとバステンは?」

「あの者たちは先に休ませました。バステンはオボロ傭兵団の訓練がありますし、ニステルは『旦那がどうにかするだろ。あたしは寝る』と言ってさっさと引っ込みました。まあ、彼女がいても何にもならないので問題ないのですが」

 ま、まあニステルは興味なさそうだしね。圧倒的格下の人間に何か言われても相手する気になれないんだろう。

 それでルーナが残って対処していたのか。まったく、僕には過ぎた奴隷だよ。

「それとバステンより言伝を預かっております。『明日、傭兵団のことで話しておきたいことがある』とのことです」

 傭兵団か……。ほとんど彼に訓練やら管理やらを丸投げしちゃってるから今どうなってるのか全然分からないんだよね。そのためにバステンを買ったから当然なんだけど。

「あ、……ケイ。おかえり」

「おかえりなさいませ、使徒様」

 僕の帰宅に気付いて、カリンとシルビアがやってきた。二人ともお疲れの様子だ。特にシルビアは疲労の色が濃い。

「ねえ、ケイ……」

「ごめん。シルビア。最初にアルフィンを躾けておくべきだった」

 彼女が何か言う前に、僕は深々と頭を下げた。シルビアの顔は見えないけど、たじろいでいるのが分かる。思えばこんなに深く謝ったの初めてかもしれない。

「僕は自分の仕事を怠って君たちに迷惑をかけてしまった。申し訳ありません」

「……うん。いいよ、顔を上げて」

 シルビアは落ち着いた様子で僕に声をかけた。

「ケイ、私の方こそごめんなさい」

 今度は僕が驚く番だった。

「なんでシルビアが謝るんだ?」

「アルフィンさん……いや、アルフィンをケイから任されたのに、好き放題させちゃったから。あの人、ルーナやマイアに酷いこと言ったし、カリンが丁寧に説明して改宗しようとしても小馬鹿にした笑みを浮かべるだけだった。本当なら私がガツンと言ってやらないといけないのに。……ごめんなさい」

 肩を震わせて俯くシルビア。あの気丈な彼女がこんなに落ち込むなんて。

「……アルフィンは今どこに?」

「私が普段使ってる執務室で仕事してるよ。コスモディアポーション製造計画の詳細を詰めてるみたい」
 
 追い出されとるやんけ。

「それは君の仕事だろう? 君がやりたかったことじゃないか」

「うん。でも……彼女と口論してるうちに、私じゃダメかもしれないって思ったの。

 あの人、計画書を流し読みしただけであっという間に内容を完璧に理解しちゃったんだよ? やっぱり、若くして商業ギルドのナンバーツーに上り詰めるだけあるよ。天才だよ。凡人の私とは何もかもが違うよ……。

 それからは私が気付かなかったリスクの指摘、将来発生しうる損失と利益の具体的な比較、見通しの甘さや人材管理の方法まで、片っ端から突っ込まれた。そして、私は明確な答えを持っていなかった……。経験値から能力まで、何もかも違うと分からされちゃった。

 あれからもう時間が経ってるから、向こうのほうが詳しくなってるかもね……」

 シルビアは自嘲気味に笑う。隣でカリンが痛ましげな眼差しを送っていた。

 こりゃ相当コテンパンに言い負かされたんだろうな。

 でも、だからなんだ。僕が一緒に仕事を始めたのはシルビアなんだ。

「おいおい、何言ってるんだよ。しっかりしろシルビア・ブラス。これは君の夢だぞ。君が始めたことなんだ。諦めるつもりかい?」

「うん……そうなんだけど、そうなんだけどさ……」

 彼女の目には怯えがあった。そして諦観も。圧倒的才能を眼の前にした時の、越えられない壁を認識してしまった人の目だ。

 なら、そのふざけた認識をぶち壊す。

「シルビア。確かにアルフィンはすごいかもしれない。天才なんだろう。でも、彼女だって人間さ。君と全く同じなんだ」

「……そんな訳ないよ。頭の作りが違うもん」

「いいや、同じだ。彼女も所詮は糞の詰まった肉袋だっていうところを見せてあげるよ……。そうだ、まだコスモディアポーションって残ってるよね?」

「え、うん。銅クラスのやつならまだ何個か……。ケ、ケイ? 何をするつもり?」

 僕はずかずかと執務室へ向かう。

 バァン! とドアを開けることはせず丁寧にカチャリと開けた。この教会はカリンの不動産だからね。僕は物事を暴力で解決するような野蛮人じゃない。紳士なんだ。

「お邪魔するよ」

「やあ、御主人様。ボクをほったらかしてのんきに夜遊びとは良いゴミ分だね」

 書類に囲まれ、片目だけこちらに向けて小馬鹿スマイルなアルフィン。相変わらずの中性的な顔立ちだが、今夜はマニッシュなウルフカットのおかげで美人でもあり美少年でもある。

 ……ていうか、なんかご身分の言い方おかしくなかったか? 
 
「シルビアに代わって仕事してるんだって?」

「ああ、そうさ。ギルマスが目をかけていた商人だからね。どんなものかと思ったら、大したことなかったよ。確かにその辺のゴミ商人に比べれば、多少はやり方を分かってるようだけど、天才のボクに言わせれば、ゴブリンとコボルトの取っ組み合いみたいなものさ。特に違いはないね。つまり等しく、お、ゴ、ミ。ほら、これとか見てご覧よ」

 としわくちゃになった紙を僕に見せてくる。シルビアが何度も何度も一生懸命計算し直したであろう計画書の一部だ。

「内容を見て爆笑しちゃったよ。ずいぶんとまあ杜撰な計画書だった。粗が多いし、無駄も多い。悪い見本として商業ギルドの壁に貼りたいくらいだね」

 そう言ってその紙をビリビリに破いて捨てた。

「ただまあ……この計画自体は認めてあげないこともない。
 コスモディアポーション製造計画か。もし本当にこれが安定生産できるなら、世界はひっくり返るだろう。アセンブラ教会のダボゴブリンたちの顔色伺うこともなくなるし、やつらの真っ青な顔を見れると今から楽しみだ。何よりも、きっと商人たちの時代が来るだろうな。資本と商才で殴り合い、世界を切り取る。貴族も王も教会も、ボクたちの資本の前に跪く。そんな時代がさ」

 アルフィンの瞳は子供のように無邪気で、残酷に輝いていた。

「ねえ、アルフィン。コスモディアポーションは商人たちの金儲けの道具じゃないよ」

「ハハハ。命を救うポーションが金儲けの道具じゃないって? じゃあ、研究費も製造費も全部ボランティアで賄うべきかな? 御主人様が住まわれる理想郷では、ポーションは空気みたいにタダで降ってくるんだろうねえ!」

 ケラケラと両手を広げ心底可笑しそうに笑う。

 なるほど、こんな風にシルビアたちは言い負かされてきたんだな。

「あー……おかしい。ここの人たちはみんな愉快な人たちばっかで飽きないよ。
 能力が無い癖に出しゃばる商人。
 硬直した価値観の神官。
 上位者の命令に従うことしか取り柄のない卑しい獣人と、穀潰しの乳馬鹿獣人。
 みんな、揃いも揃って愉快な連中さ。御主人様、僕はしがない奴隷だからね。彼らの仲良しごっこを邪魔しちゃ悪い。どっか個室を用意してくれないかな? そこで仕事するからさ。ああ、たまになら見抜きしてもいいよ。それくらいなら、奴隷としてのお勤めを果たしてあげるさ」

 お腹を抱えて笑うアルフィン。彼女が仕事に戻ろうと上げた顔に、僕の鉄拳がめり込んだ。

「あぶぇっ?」

 そのまま椅子ごと後ろに吹っ飛び、派手に倒れる。フン、紫と黒のストライプか。エロい下着履きやがって。

「あ、あぐっ。こ、このボクになんてことを……っ」

 ボタボタと鼻血がとめどなく流れ、手で押さえても止まることはない。

「おぼぅえっ」

 アルフィンは反吐をぶちまけて床に蹲る。

 骨をちゃんと避けて胃を突き刺すように決まったからね。

 彼女の整えられた髪の毛を無理やり引っ張り上げる。

「いぎぃっ」

「アルフィン、そう言えばまだ君には躾をしていなかったね。これから僕がやるよ。直々にね。そしたらきっとみんなとも仲良くなれるよ」
 
「こ、このっ」

 鼻血を出しながら抵抗してくる。こいつ、暴力に耐性があるようだ。そして護身術のようなものも使ってくる。ああ、そうか。アーサーさんの薫陶か。あの人、確かぶん殴ってたもんなあ。

 僕はそれをヒョイッと避け、馬乗りになる。そのまま右膝で左手を、左手で右腕を押さえ込む。つまり僕の右腕だけがフリーな状態だ。

 ハリ〇ーノフがシュル〇にやったやつだ。

 そのまま往復ビンタだ。

 バシッ、バシッ。

「ぐっ、あぐっ、やめっ」

 鈍い音が響き、血と唾液が飛び散る。

 鉄槌を落とすとこのあとが楽しめなくなるからね。それにビンタといっても、軽いものじゃない。痛みと衝撃を与えるという意味では有効な手段だ。

 徐々に彼女の手足はぐったりしてきて、抵抗力が失われていく。それでも瞳はキッと見開かれ、歯をむき出しにして僕を威嚇している。

「これは躾だよ、アルフィン。君は今、とても悪い子なんだ」

「何が躾だよ! 変態のサディストめ。殴って興奮しているじゃないか。ぺっ」

 彼女の血反吐が僕にかけられ、それを舐め取る。生意気奴隷の唾液と血の味はなんとも形容しがたいが、味わい深い。

 だが彼女の指摘の通り僕の股間は盛り上がっていた。 

「ほら、やってみろよ。ボクを温室育ちのなまっちょろい商人だと思ったら大違いだ。この歳で伏魔殿のような商業ギルドでナンバーツーだったんだぞ。義父さんのおかげで、文字通り叩き上げさ。いくらでも殴ってみればいいさ。ボクは負けない。痛みになんか屈しないよ」

 アルフィンのニヒルな笑みは凄絶で、生半可な冒険者なら恐れ慄いてしまうような迫力があった。なるほど、これは確かにシルビアでは荷が重いかもしれない。アーサー・オルスフィンの薫陶を受けているだけある。

「痛み……ね」

 じゃあ、これはどうかな。

 僕は鞄から取り出しておいたリモコンバイブ型魔道具に、魔力を流す。

 アルフィンのはだけた衣服から覗く淫紋がその役目を果たすために、輝いた。
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