おにぎり屋 イキラク

 夢を諦め、都会の仕事にも心が擦り切れかけていた向井明彦は、祖母の訃報を受けて久しぶりに故郷へ戻ってきた。

 遺されたのは、小さな古びたおにぎり屋『イキラク』。

 そして祖母が大切にしていたレシピノート。

 思わず手を伸ばしたそのとき、一人の女性――塩沢が訪ねてくる。

 彼女はかつて、祖母に救われた一人だったという。

 語られるのは、あたたかなおにぎりの記憶と、知らなかった祖母の姿。

 笑顔で話す塩沢の隣で、明彦は不意に涙をこぼす。
 祖母が最期まで、自分の笑顔を願っていたことを、レシピノートが静かに教えてくれたから。

 亡き祖母の味を、もう一度誰かに届けたい――。

 味を覚えていた客たちが、ぽつりぽつりと店を訪れる中、明彦はゼロから店を再建することを決意する。

 誰かの「おいしい」が、自分の明日を照らしていく。

 これは、おにぎり屋を継いだ青年と、それを支える一人の女性が紡ぐ、あたたかくて大きな“想い”の物語。
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