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エーデンフィァ王家から茶会の招待状来てしまったら行くしかない。
私は10年近くぶりに王城のプライベートエリアに押し込まれた。
謁見室でも貴賓室でもないガーデンテラス。人払いがされそうなお茶会なぞ、もう何か厄介な案件がある前提で拒否権はあるのだろうか?
「良く来てくれた。レティシア・プラムローズ公爵」
ハワード陛下が気軽い雰囲氣で声を掛けてくれる。幼馴染で母親同士が姉妹だったので従兄弟であるからそれなりに付き合いが長い。
「お呼びとのことで参じました」
一応礼に倣って軽いカーテシーで挨拶をして着席を促された。
すでに色とりどりの軽食やプチケーキが並べられている。
お茶が用意される前にすでにいくつか摘み甘いのに当たったらしいハワードは悶絶した。
「レティシアは隣国の情報を得ているか?」
紅茶で口を湿らす陛下が苦い顔でまたショコラを食べる。相変わらず甘いのものが好きなのか苦手なのかよくわからない行動だ。
「隣国は我がプラムローズ家にとって必要最低限以上の情報は必要がない国だ」
軍部や外交やら輸出入を担当する家門なら論外だが、プラムローズは魔道具開発を主にしている。魔術を軽んじ戦争ばかりしている国などに興味はない。国防には手を貸しているが我が家は表には出ない。
「まぁそうだろうね、でも我が国にとって一つ問題ができた。リカルドが返された」
リカルドは隣国に婿に行かれた王の異母弟だ。
確か隣国の王女に一目惚れされて最終的に国交安定のために受け入れたとかだったとか。
「それで?」
「冷たいな?リカルドも幼馴染だろう?」
陛下が首をすくめながら文書を差し出してくる。
リカルドが返された顛末を纏められていた。
隣国王女マリアンナが複数人と浮気をし、それを咎めも諌めもしない無関心な夫に腹を立てて階段から突き落としたらしい。
「今は体調は安定しているが一部の記憶がない、10年前くらいのレベルなら仕事がこなせる程度の記憶障害らしい」
公務をこなすには微妙なラインだな、としょうのないことを考える。
どちらにしても隣国は存外我が国をコケにしている。
「あちらの王女はまだリカルドを諦めていないらしいが、グリーンビアーの国王がリカルドの命を損なう損なう事になれば我が国と戦争になりかねないからと離縁させたらしい。慰謝料なんかはふんだくれたけど罰が甘過ぎるんだ」
人を殺しかけておいてまだ諦めない王女を野放しにしているのだろうか?
有名な親バカ王だが流石に無理があるだろう。
「前振りが長い。私に話す意味はなんだ?」
ハワードは苦笑して書簡を渡してきた。
「リカルドを守るためプラムローズに迎え入れてほしい」
書簡を開けば、リカルドと婚姻を結ぶようにと王命が書かれている。
夫を亡くしたが一人息子がいて公爵家当主として役割は果たしている。何故面倒ごとを押し付けられねばならない!?
「リカルドを望む家も令嬢もたくさんいたと記憶している。何故うちなんだ?」
「うーん、まず力だよ。公爵家の力。そして王国屈指の警備力を持っている事。マリアンヌ王女から守れるだけの能力を持っている。王家に残しておけば権力目当ての小蠅に集られるしね。リカルドは今心のガードが弱いんだ」
リカルドは若い頃から見た目の秀麗さから数多の女性に群がられていた。王子妃という名誉を欲する令嬢もいたが一度も浮いた話を聞いたことがなかった。
プラムローズ家は魔道の大家で王宮の魔物対応の結界を張る魔法陣と魔道具を管理している。
そして攻撃や防衛用の魔道具、魔術具を管理、開発をすることで公爵家として遇されている。
当然情報漏洩や盗難、強奪など出来ないよう土地家屋の強固な結界、家人、雇用している者を護る道具を装備させている。それなりに騎士も常駐している。王家より守備は固い。
「断るのは無しなんだな?」
怒りを籠めて睨んでも飄々と返される。
だからこの男は嫌いなんだ!
「いくら君でも王命には従ってほしいな?」
先程悶絶する羽目になっていたショコラをまた口に入れて戯けている。
「あともしリカルドの子供が生まれたとしてもプラムローズ家の長男で嫡男であるラインハルトの立場を脅かすことはないと約束する」
そこは心配していない。能力が有ってやりたければラインハルトでなくとも構わない。
「この話はエディの墓前で言えるんだな?」
「まぁあっちに逝ってから謝るよ」
夫エドワードが亡くなって7年、夫の親友との再婚を決められたレティシアは苛立ち紛れにショコラを3粒ほどハワードの口に押し込んだ。
私は10年近くぶりに王城のプライベートエリアに押し込まれた。
謁見室でも貴賓室でもないガーデンテラス。人払いがされそうなお茶会なぞ、もう何か厄介な案件がある前提で拒否権はあるのだろうか?
「良く来てくれた。レティシア・プラムローズ公爵」
ハワード陛下が気軽い雰囲氣で声を掛けてくれる。幼馴染で母親同士が姉妹だったので従兄弟であるからそれなりに付き合いが長い。
「お呼びとのことで参じました」
一応礼に倣って軽いカーテシーで挨拶をして着席を促された。
すでに色とりどりの軽食やプチケーキが並べられている。
お茶が用意される前にすでにいくつか摘み甘いのに当たったらしいハワードは悶絶した。
「レティシアは隣国の情報を得ているか?」
紅茶で口を湿らす陛下が苦い顔でまたショコラを食べる。相変わらず甘いのものが好きなのか苦手なのかよくわからない行動だ。
「隣国は我がプラムローズ家にとって必要最低限以上の情報は必要がない国だ」
軍部や外交やら輸出入を担当する家門なら論外だが、プラムローズは魔道具開発を主にしている。魔術を軽んじ戦争ばかりしている国などに興味はない。国防には手を貸しているが我が家は表には出ない。
「まぁそうだろうね、でも我が国にとって一つ問題ができた。リカルドが返された」
リカルドは隣国に婿に行かれた王の異母弟だ。
確か隣国の王女に一目惚れされて最終的に国交安定のために受け入れたとかだったとか。
「それで?」
「冷たいな?リカルドも幼馴染だろう?」
陛下が首をすくめながら文書を差し出してくる。
リカルドが返された顛末を纏められていた。
隣国王女マリアンナが複数人と浮気をし、それを咎めも諌めもしない無関心な夫に腹を立てて階段から突き落としたらしい。
「今は体調は安定しているが一部の記憶がない、10年前くらいのレベルなら仕事がこなせる程度の記憶障害らしい」
公務をこなすには微妙なラインだな、としょうのないことを考える。
どちらにしても隣国は存外我が国をコケにしている。
「あちらの王女はまだリカルドを諦めていないらしいが、グリーンビアーの国王がリカルドの命を損なう損なう事になれば我が国と戦争になりかねないからと離縁させたらしい。慰謝料なんかはふんだくれたけど罰が甘過ぎるんだ」
人を殺しかけておいてまだ諦めない王女を野放しにしているのだろうか?
有名な親バカ王だが流石に無理があるだろう。
「前振りが長い。私に話す意味はなんだ?」
ハワードは苦笑して書簡を渡してきた。
「リカルドを守るためプラムローズに迎え入れてほしい」
書簡を開けば、リカルドと婚姻を結ぶようにと王命が書かれている。
夫を亡くしたが一人息子がいて公爵家当主として役割は果たしている。何故面倒ごとを押し付けられねばならない!?
「リカルドを望む家も令嬢もたくさんいたと記憶している。何故うちなんだ?」
「うーん、まず力だよ。公爵家の力。そして王国屈指の警備力を持っている事。マリアンヌ王女から守れるだけの能力を持っている。王家に残しておけば権力目当ての小蠅に集られるしね。リカルドは今心のガードが弱いんだ」
リカルドは若い頃から見た目の秀麗さから数多の女性に群がられていた。王子妃という名誉を欲する令嬢もいたが一度も浮いた話を聞いたことがなかった。
プラムローズ家は魔道の大家で王宮の魔物対応の結界を張る魔法陣と魔道具を管理している。
そして攻撃や防衛用の魔道具、魔術具を管理、開発をすることで公爵家として遇されている。
当然情報漏洩や盗難、強奪など出来ないよう土地家屋の強固な結界、家人、雇用している者を護る道具を装備させている。それなりに騎士も常駐している。王家より守備は固い。
「断るのは無しなんだな?」
怒りを籠めて睨んでも飄々と返される。
だからこの男は嫌いなんだ!
「いくら君でも王命には従ってほしいな?」
先程悶絶する羽目になっていたショコラをまた口に入れて戯けている。
「あともしリカルドの子供が生まれたとしてもプラムローズ家の長男で嫡男であるラインハルトの立場を脅かすことはないと約束する」
そこは心配していない。能力が有ってやりたければラインハルトでなくとも構わない。
「この話はエディの墓前で言えるんだな?」
「まぁあっちに逝ってから謝るよ」
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