2 / 13
2
しおりを挟む
王城から辞したあと、家令と執事に説明し用意を任せることにした。
私は、この家に生まれて魔術や魔道具の研究をしている父に基礎を教わった。
幸い父に良く似た気質なのかそれが楽しく生き甲斐になった。今も外と関わらずずっと研究していられたらと思っている。
母は穏やかで美しく生粋のお嬢様であった。
ただ少しだけ身体が弱かった。子供は私一人生まれただけでもありがたいのだと言っていた。
公爵家に女の子供が一人だけでは・・・などと陰口を聞いた私は父に第二夫人を迎えないのか?と尋ねたことがある。
「うちは別に公爵である必要はないんだ。先祖がいやいや爵位を貰ってしまってね、でもこの才能ってやつは必ず血縁に受け継がれるものでは無いのはわかるだろう?生まれた子供の中には魔力が弱い者や魔術式に疎い者もいた。だから親戚筋や全く関係なく無いそれこそ平民からも養子を取って後を繋いでる。この家に必要なのは血筋じゃなく国を護れる能力なんだよ」
父は私の頭を撫でながら
「君はうちを継ぎたければ継げばいいし継ぎたくなければ他を探せばいい。覚悟が無い者が継いだって国も家も護って行けないからね」
優しくも厳しい人だと思った。
ただ研究に没頭しているだけでだと思っていた父が覚悟を持って仕事をしているのだという事は理解した。
私はこの家を継ぐことを決意できるだろうか?それからはずっと自分に受け継がれた知識がどういうものなのか考えることになった。
プラムローズの跡取り娘。私の他に継ぐ者が居ない。そう思い込んでいた私にとって、他の生き方があるというのは不思議な気分だった。
茶会やパーティで一緒になる同じ年頃の子供たちは継ぐ側継がない側ではやはり行動が違う。もちろんただ横柄なだけ、愚かなだけ者もいるが。
ただ何となく参加していた頃に比べると令嬢たちは幼いながらも家格が上の嫡男に集まっていることに気がついた。親に言われるまま婚姻に良さそうな相手を選んでいるようだ。
家のために良い家に嫁ぐ、貴族としては普通なのだろうがつまらないと思った。
女として生きるのはなんてつまらないのだろう。
それなら私は家を継ぎ、研究を続けて行く方が向いている。
この頃から女らしく生きることをやめてしまった。めんどくさい。
私の元にも婿入り希望の次男以降の令息たちが寄っては来るものの、プラムローズに入るには魔法の基礎知識や自己防衛に多少は長けていなければ話にならないので笑顔で流しておく。
しばらくして父に後を継ぎたいと伝えたらちょっとだけ悲しい顔をされたが
「私に似てしまったかなぁ?」
と笑われて、抱きしめてもらえた。
家に任されている全て、国の魔法陣、結界陣など重要事項を学んでいくことになった。
父が個人的に持っている膨大な知識もプラムローズが保持している隠された歴史も古代魔法の研究書も。
何もかもが個人が抱えていい物ではないが表には出せない物だ。
消滅させると今使われている魔法陣や大型魔道具の修復、再現が不可能になるためプラムローズにだけ残されている。
ラインハルトに継がせなくてもいいと思ってしまう今は、あの時の父の気持ちが分かる。
任せていいなら赤の他人に任せて子供には普通に気楽な人生を歩んでもらう方がいい。
15歳になったとき、王家と父にプラムローズの婿になれる相手として、ガーデンリング侯爵家次男のエドワードを紹介された。
エドワードはハワード第一王子の幼馴染で側近の一人。
王太子であるハワードとは従兄弟なので小さな頃から付き合いがある。
エドワードも何度も会ったことがあるがいつも後ろに控え、柔らかに微笑んでいる印象しかなかった。
貴族として親の決めた相手なら受けるのが普通だし、王子の側近なら身元も出来も保証されている。申し分の無い相手だ。
恋愛などする気もなかったのでそのまま了承した。
婚姻後は、仕事以外の場所では良く話し朗らかな彼と、それなりに幸せな夫婦としてやっていけると思っていた。
私の臨月に仕事先で落馬してあっさり亡くなってしまうまでは。
生まれた子供はエドワード生写しのストロベリーブロンドの髪のタンザナイトのような瞳を持つ綺麗な男の子だった。
私は、この家に生まれて魔術や魔道具の研究をしている父に基礎を教わった。
幸い父に良く似た気質なのかそれが楽しく生き甲斐になった。今も外と関わらずずっと研究していられたらと思っている。
母は穏やかで美しく生粋のお嬢様であった。
ただ少しだけ身体が弱かった。子供は私一人生まれただけでもありがたいのだと言っていた。
公爵家に女の子供が一人だけでは・・・などと陰口を聞いた私は父に第二夫人を迎えないのか?と尋ねたことがある。
「うちは別に公爵である必要はないんだ。先祖がいやいや爵位を貰ってしまってね、でもこの才能ってやつは必ず血縁に受け継がれるものでは無いのはわかるだろう?生まれた子供の中には魔力が弱い者や魔術式に疎い者もいた。だから親戚筋や全く関係なく無いそれこそ平民からも養子を取って後を繋いでる。この家に必要なのは血筋じゃなく国を護れる能力なんだよ」
父は私の頭を撫でながら
「君はうちを継ぎたければ継げばいいし継ぎたくなければ他を探せばいい。覚悟が無い者が継いだって国も家も護って行けないからね」
優しくも厳しい人だと思った。
ただ研究に没頭しているだけでだと思っていた父が覚悟を持って仕事をしているのだという事は理解した。
私はこの家を継ぐことを決意できるだろうか?それからはずっと自分に受け継がれた知識がどういうものなのか考えることになった。
プラムローズの跡取り娘。私の他に継ぐ者が居ない。そう思い込んでいた私にとって、他の生き方があるというのは不思議な気分だった。
茶会やパーティで一緒になる同じ年頃の子供たちは継ぐ側継がない側ではやはり行動が違う。もちろんただ横柄なだけ、愚かなだけ者もいるが。
ただ何となく参加していた頃に比べると令嬢たちは幼いながらも家格が上の嫡男に集まっていることに気がついた。親に言われるまま婚姻に良さそうな相手を選んでいるようだ。
家のために良い家に嫁ぐ、貴族としては普通なのだろうがつまらないと思った。
女として生きるのはなんてつまらないのだろう。
それなら私は家を継ぎ、研究を続けて行く方が向いている。
この頃から女らしく生きることをやめてしまった。めんどくさい。
私の元にも婿入り希望の次男以降の令息たちが寄っては来るものの、プラムローズに入るには魔法の基礎知識や自己防衛に多少は長けていなければ話にならないので笑顔で流しておく。
しばらくして父に後を継ぎたいと伝えたらちょっとだけ悲しい顔をされたが
「私に似てしまったかなぁ?」
と笑われて、抱きしめてもらえた。
家に任されている全て、国の魔法陣、結界陣など重要事項を学んでいくことになった。
父が個人的に持っている膨大な知識もプラムローズが保持している隠された歴史も古代魔法の研究書も。
何もかもが個人が抱えていい物ではないが表には出せない物だ。
消滅させると今使われている魔法陣や大型魔道具の修復、再現が不可能になるためプラムローズにだけ残されている。
ラインハルトに継がせなくてもいいと思ってしまう今は、あの時の父の気持ちが分かる。
任せていいなら赤の他人に任せて子供には普通に気楽な人生を歩んでもらう方がいい。
15歳になったとき、王家と父にプラムローズの婿になれる相手として、ガーデンリング侯爵家次男のエドワードを紹介された。
エドワードはハワード第一王子の幼馴染で側近の一人。
王太子であるハワードとは従兄弟なので小さな頃から付き合いがある。
エドワードも何度も会ったことがあるがいつも後ろに控え、柔らかに微笑んでいる印象しかなかった。
貴族として親の決めた相手なら受けるのが普通だし、王子の側近なら身元も出来も保証されている。申し分の無い相手だ。
恋愛などする気もなかったのでそのまま了承した。
婚姻後は、仕事以外の場所では良く話し朗らかな彼と、それなりに幸せな夫婦としてやっていけると思っていた。
私の臨月に仕事先で落馬してあっさり亡くなってしまうまでは。
生まれた子供はエドワード生写しのストロベリーブロンドの髪のタンザナイトのような瞳を持つ綺麗な男の子だった。
30
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後
空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。
魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。
そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。
すると、キースの態度が豹変して……?
「美しい女性(ヒト)、貴女は一体、誰なのですか?」・・・って、オメエの嫁だよ
猫枕
恋愛
家の事情で12才でウェスペル家に嫁いだイリス。
当時20才だった旦那ラドヤードは子供のイリスをまったく相手にせず、田舎の領地に閉じ込めてしまった。
それから4年、イリスの実家ルーチェンス家はウェスペル家への借金を返済し、負い目のなくなったイリスは婚姻の無効を訴える準備を着々と整えていた。
そんなある日、領地に視察にやってきた形だけの夫ラドヤードとばったり出くわしてしまう。
美しく成長した妻を目にしたラドヤードは一目でイリスに恋をする。
「美しいひとよ、貴女は一体誰なのですか?」
『・・・・オメエの嫁だよ』
執着されたらかなわんと、逃げるイリスの運命は?
【完結】逃がすわけがないよね?
春風由実
恋愛
寝室の窓から逃げようとして捕まったシャーロット。
それは二人の結婚式の夜のことだった。
何故新妻であるシャーロットは窓から逃げようとしたのか。
理由を聞いたルーカスは決断する。
「もうあの家、いらないよね?」
※完結まで作成済み。短いです。
※ちょこっとホラー?いいえ恋愛話です。
※カクヨムにも掲載。
夫に捨てられた私は冷酷公爵と再婚しました
香木陽灯
恋愛
伯爵夫人のマリアーヌは「夜を共に過ごす気にならない」と突然夫に告げられ、わずか五ヶ月で離縁することとなる。
これまで女癖の悪い夫に何度も不倫されても、役立たずと貶されても、文句ひとつ言わず彼を支えてきた。だがその苦労は報われることはなかった。
実家に帰っても父から不当な扱いを受けるマリアーヌ。気分転換に繰り出した街で倒れていた貴族の男性と出会い、彼を助ける。
「離縁したばかり? それは相手の見る目がなかっただけだ。良かったじゃないか。君はもう自由だ」
「自由……」
もう自由なのだとマリアーヌが気づいた矢先、両親と元夫の策略によって再婚を強いられる。相手は婚約者が逃げ出すことで有名な冷酷公爵だった。
ところが冷酷公爵と会ってみると、以前助けた男性だったのだ。
再婚を受け入れたマリアーヌは、公爵と少しずつ仲良くなっていく。
ところが公爵は王命を受け内密に仕事をしているようで……。
一方の元夫は、財政難に陥っていた。
「頼む、助けてくれ! お前は俺に恩があるだろう?」
元夫の悲痛な叫びに、マリアーヌはにっこりと微笑んだ。
「なぜかしら? 貴方を助ける気になりませんの」
※ふんわり設定です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる