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昼過ぎに起きて一人でいた事に少しホッとする。
エドワードとの短い婚姻期間は夫婦と言うよりは友人の延長で、お互い王家や家の都合を鑑みて収まるべく収まっていると認識だった。彼は自分の役割を理解して果たすべく覚悟を持って婚姻を結んだのだと決して自分を表に出すことがなかった。
王宮でよくみた穏やかな笑顔が実は仮面だと知っていたのはハワードと私くらいだったろう。
家の中なら誰もみていない場なら自由にしたら良いのにと言ったら、張り付いたものを剥がすのは無理だと返された。
彼の生家ガーデンリンク侯爵家は旧家ではあるがさほど力はない。武力に長けてはいるが政治力がないので何代もの間燻っている印象の家だ。
エドワードがハワードの側近候補になったのは、ハワードの目に偶然止まった事で他の者から見ればたまたまのことだった。
この事でガーデンリンク侯爵家は多少発言力がましたが上手い立ち回りは出来ないでいた。エドワードの兄ジェンドは騎士として腕は達つがあまり頭のいい方ではなかった。
ハワードの側近となりますます気を悪くしていたところにプラムローズへの婿入りで、公爵家に入り王家にも懇意にされる弟に強い憎しみを抱くようになっていった。
実際はそんなに羨むほどでは無いと思うのだが、外から見れば良いものに見えるらしい。
エドワードは早くから家を離れてハワードに仕えていたため、父や兄と会う時は家のために口利きをせよなど、そんなことばかりで面会が嫌だったと語っていた。
彼は聡く賢かったが学園では王子付きとして仕事をしながら高順位を確保し、武術も騎士団に混ざり訓練をこなしてかなりの努力をして側近筆頭に据えられたのに、コネを期待する親族が多く辟易としていた。
その間に身に付けたのがあのただただ穏やかで柔らかな微笑で感情的には絶対に見えない、読めない表情だった。
結局彼が私の前で表情を変えたのは妊娠を伝えた時だけ。
もしラインハルトが生まれた時にその顔を見れたならきっと幸せそうに破顔してくれただろうと思う。
彼は冷めているようで実際は温かな普通の家族を求めていたのだと思う。
その記憶を思い出して、やはりリカルドのあの笑顔を思うと何故か不安になる。
昨夜の唐突な告白とあの笑顔の意味が結びつかない。
とは言え、私は人の心の機微には疎い。
あれこれ考えてみたところで結論など出ないだろう。
とりあえずプラムローズの当主として新たな家人に防衛用の魔道具を登録し直したりゲートの認証に追加しなくてはいけない。これは婚姻後にしか許されないので早急に処理しないとリカルドは家の中の思わぬところで弾け飛ぶ可能性がある。勝手に動きまわらければ良いのだが、彼は基本的に興味本位で動いているから危ない。
リビングに向かう途中の中庭で、リカルドがラインハルトと戯れていた。子供の頃のような楽しげで嬉しそうな顔をしている。
では何故あんな表情をするようになったのか?やはりこの十年に原因があるのだろうか?
「リカルド、魔道具の登録がしたいんだが」
声をかけるとラインハルトとリカルドが笑顔で寄ってくる。
「母さま!私にも魔道具触らせて」
無邪気に私の腰元に戯れつくラインハルトの肩にそっと手を置く。
「ラインハルト、今日は少し難しい事をするから。サーシェのところで見せてもらってくれ」
共に本邸横の魔術棟に向かう事にして一等魔法具師のサーシェにラインハルトを預けて、リカルドを地下に招いた。
地下一階は見習いや五等から三等の者たちが研究をしながら一般向けの魔法具の開発修理などしている。地下二階は二等と一等で国、王家、軍事、神殿に使われるものの管理維持を軸に大型の魔法具の研究をしている。
プラムローズのお抱えの魔法具師が入れるのはこの地下二階までだ。
地下三階には、このプラムローズの敷地と王都の結界用魔法具がある。
そして継承の間と転移門もここにある。
後継者には血縁が就くとは限らないため、当主が後継者を決めなければ、次代は継承の間に入ることが出来ない。
未確定の間に当主が亡くなれば、継承が途切れるため保険として王と当主の伴侶に継承の間のゲートを開く権限が与えられる。
王は中に入れるが、伴侶に与えられるのは開く権限だけ。
その権限を持たせるべく、ゲート登録とこのプラムローズの敷地内の魔法具や魔法陣の干渉を受けないように設定する。
ゲートは最深部の意志と繋がっている。
最深部に嫌われると若干電気が走るのだが、ハワードに認められているので多分大丈夫だろう。
最深部には私もハワードも滅多に入らないが、アレを何かの宝だとか思って欲する者たちは実に愚かだ。
リカルドは最初は興味深そうに着いてきたが地下二階からどんどん顔が白くなってきていた。
エドワードとの短い婚姻期間は夫婦と言うよりは友人の延長で、お互い王家や家の都合を鑑みて収まるべく収まっていると認識だった。彼は自分の役割を理解して果たすべく覚悟を持って婚姻を結んだのだと決して自分を表に出すことがなかった。
王宮でよくみた穏やかな笑顔が実は仮面だと知っていたのはハワードと私くらいだったろう。
家の中なら誰もみていない場なら自由にしたら良いのにと言ったら、張り付いたものを剥がすのは無理だと返された。
彼の生家ガーデンリンク侯爵家は旧家ではあるがさほど力はない。武力に長けてはいるが政治力がないので何代もの間燻っている印象の家だ。
エドワードがハワードの側近候補になったのは、ハワードの目に偶然止まった事で他の者から見ればたまたまのことだった。
この事でガーデンリンク侯爵家は多少発言力がましたが上手い立ち回りは出来ないでいた。エドワードの兄ジェンドは騎士として腕は達つがあまり頭のいい方ではなかった。
ハワードの側近となりますます気を悪くしていたところにプラムローズへの婿入りで、公爵家に入り王家にも懇意にされる弟に強い憎しみを抱くようになっていった。
実際はそんなに羨むほどでは無いと思うのだが、外から見れば良いものに見えるらしい。
エドワードは早くから家を離れてハワードに仕えていたため、父や兄と会う時は家のために口利きをせよなど、そんなことばかりで面会が嫌だったと語っていた。
彼は聡く賢かったが学園では王子付きとして仕事をしながら高順位を確保し、武術も騎士団に混ざり訓練をこなしてかなりの努力をして側近筆頭に据えられたのに、コネを期待する親族が多く辟易としていた。
その間に身に付けたのがあのただただ穏やかで柔らかな微笑で感情的には絶対に見えない、読めない表情だった。
結局彼が私の前で表情を変えたのは妊娠を伝えた時だけ。
もしラインハルトが生まれた時にその顔を見れたならきっと幸せそうに破顔してくれただろうと思う。
彼は冷めているようで実際は温かな普通の家族を求めていたのだと思う。
その記憶を思い出して、やはりリカルドのあの笑顔を思うと何故か不安になる。
昨夜の唐突な告白とあの笑顔の意味が結びつかない。
とは言え、私は人の心の機微には疎い。
あれこれ考えてみたところで結論など出ないだろう。
とりあえずプラムローズの当主として新たな家人に防衛用の魔道具を登録し直したりゲートの認証に追加しなくてはいけない。これは婚姻後にしか許されないので早急に処理しないとリカルドは家の中の思わぬところで弾け飛ぶ可能性がある。勝手に動きまわらければ良いのだが、彼は基本的に興味本位で動いているから危ない。
リビングに向かう途中の中庭で、リカルドがラインハルトと戯れていた。子供の頃のような楽しげで嬉しそうな顔をしている。
では何故あんな表情をするようになったのか?やはりこの十年に原因があるのだろうか?
「リカルド、魔道具の登録がしたいんだが」
声をかけるとラインハルトとリカルドが笑顔で寄ってくる。
「母さま!私にも魔道具触らせて」
無邪気に私の腰元に戯れつくラインハルトの肩にそっと手を置く。
「ラインハルト、今日は少し難しい事をするから。サーシェのところで見せてもらってくれ」
共に本邸横の魔術棟に向かう事にして一等魔法具師のサーシェにラインハルトを預けて、リカルドを地下に招いた。
地下一階は見習いや五等から三等の者たちが研究をしながら一般向けの魔法具の開発修理などしている。地下二階は二等と一等で国、王家、軍事、神殿に使われるものの管理維持を軸に大型の魔法具の研究をしている。
プラムローズのお抱えの魔法具師が入れるのはこの地下二階までだ。
地下三階には、このプラムローズの敷地と王都の結界用魔法具がある。
そして継承の間と転移門もここにある。
後継者には血縁が就くとは限らないため、当主が後継者を決めなければ、次代は継承の間に入ることが出来ない。
未確定の間に当主が亡くなれば、継承が途切れるため保険として王と当主の伴侶に継承の間のゲートを開く権限が与えられる。
王は中に入れるが、伴侶に与えられるのは開く権限だけ。
その権限を持たせるべく、ゲート登録とこのプラムローズの敷地内の魔法具や魔法陣の干渉を受けないように設定する。
ゲートは最深部の意志と繋がっている。
最深部に嫌われると若干電気が走るのだが、ハワードに認められているので多分大丈夫だろう。
最深部には私もハワードも滅多に入らないが、アレを何かの宝だとか思って欲する者たちは実に愚かだ。
リカルドは最初は興味深そうに着いてきたが地下二階からどんどん顔が白くなってきていた。
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