11 / 13
11
しおりを挟む
婚姻後半年経った頃、王家主催の建国記念式典に強制で参加させられた。通常の式典なら免除されているが建国2000年記念は流石に断れず。
王弟であるリカルドの健在をアピールせよと言われてしまえば仕方ない。
隣国の王女の事が頭に過ぎったが、国境は封鎖されているのだから気にしないでも良いと宰相たちも言う。
「着飾った妻を見られるのは良いね」
リカルドは例の如くあの笑顔でいる。
「お母様、女の人みたいです!」
レオンハルトが聞き捨てならない事を言った。
・・・普段が魔術師用のローブで着飾っていないので仕方ない。もう少しどうにかするべきだったか。
リカルドも家令達も苦笑している。
レオンハルトは留守番だがリカルドに色を揃えたフロックコートを着せてもらい嬉しそうにしている。
父親がいると言う日々はレオンハルトには喜ばしい事なのだろう。
二人で王城に行き、予測通り人の目が集中して寄せられる。
「まぁリカルドさまよ」
「プラムローズ公爵が公式の場に・・・」
姦しい事この上無いが、エドワードとの婚姻報告後、ほとんどの行事に顔を出して来なかった私と、10年と言う間を国から離れていたリカルドが一緒に現れたのだから仕方ない事だろう。
公向けの婚姻発表も簡易で済ましたので、真偽を疑っていた者もいるらしい。
王の寵愛深い弟君と、表に出てこない国の防衛の要の公爵家の当主を初めて見た貴族も多いだろう。
侍従長に案内され、王族の反対側に二人で並び、演説するハワードの声を聞く。
一通りの儀式が進み、建国の神話となっている《誓約》を再現する。
エーデンフィァとプラムローズの始まりの約束を。
『我は願う。貴女の眠りが永久に護られん事を」
『我は願う。貴女のこの肉体が悠久に朽ち果てる事勿れと』
『我は願う。私と貴女の魂が幾久しく離れず共にある事を』
『我は・・・』
ハワードの宝剣と私の持つ宝笏を重ね、古代神聖語で言葉を紡ぐ。
互いに魔力を通し、
『『我は願う。この地に永遠の安息を。我が愛しき妻の眠りが妨げられる事無きように』』
宝剣と宝笏が光り玉座の後ろにある壁画の宝珠へと魔力が移る。
最奥の間に私たち二人の魔力が届いただろう。
建国だの誓約だの言い換えているが愛した女の死を嘆き、その墓を守るためだけに作られた国と組織だ。
私たち以外は古代神聖語はわからないから内容はわからないだろうが、ただただ妻への思いが羅列されている。
「我が王家とプラムローズはこうして長きに渡り連理の枝の如く共にある」
「今見たように確かな絆がある。これから先もエーデンフィァはプラムローズと協力して国を護る」
この建国記念で宝剣と宝笏と宝珠を使う儀式は50年ずつ行なう。なぜプラムローズは特別なのかと疑問に思われるころに儀式をして払拭と言う事らしい。
「それからもう知っているものも多いと思うが、我が弟が帰還した。積年の想いを叶え、レティシア・プラムローズ公爵と婚姻し現在は、リカルド・プラムローズとなっている。よしなに頼む」
それからはダンスを楽しんだり歓談したり。食べ物を摘んだり。
バックでは古代音楽を流している。
各々ので自由に過ごすが、派閥同士のやり取りや睨み合いも見て取れる。
私たちの元にも重鎮達が次々挨拶に来た。
「レティ、みんな老けたな」
・・・記憶をなくして無くとも10年ぶりなら姿形が違っていても不思議では無いぞ。
「リカ、お前も私もだいぶ変わったぞ」
「そう?レティは今も昔も綺麗だよ」
エスコートされながら進んでいると、昔リカルドを追い回していた夫人(元令嬢)達が何とも言えない表情で見ている。
「今彼女達が独身であっても相手にしたく無い程度の低さを己で気がつけば良いのに」
ボソリと呟いたリカルドに少し笑ってしまう。
昔から身分の高さと見目の麗しさから熱意のあるご令嬢に追い回されてはビシリと断り、切り捨てていた。ハッキリしているのに彼女達は諦める事が無かった。
流石に年齢的に厳しくなった頃リカルドが海外に出てしまい、親達が縁談を無理に纏めたと言う話は当時たくさん噂されていた。
誰もがこれほど長く戻らず、まして隣国で結婚するなど想像もしていなかったし、離縁して戻り私と再婚するなどと言うことも予測できなかっただろう。
仮に予測出来たとして貴族の令嬢が10年嫁がず家に残る事や、夫を捨てて迫るなどは無理がある。
どう合ってもリカルドと縁付く可能性がないのに睨みつけたり悲しんだりするご婦人方に理解が出来ない。
真剣に恋をしたり愛したりすれば、私にもあの感情が解るようになるのだろうか?
王弟であるリカルドの健在をアピールせよと言われてしまえば仕方ない。
隣国の王女の事が頭に過ぎったが、国境は封鎖されているのだから気にしないでも良いと宰相たちも言う。
「着飾った妻を見られるのは良いね」
リカルドは例の如くあの笑顔でいる。
「お母様、女の人みたいです!」
レオンハルトが聞き捨てならない事を言った。
・・・普段が魔術師用のローブで着飾っていないので仕方ない。もう少しどうにかするべきだったか。
リカルドも家令達も苦笑している。
レオンハルトは留守番だがリカルドに色を揃えたフロックコートを着せてもらい嬉しそうにしている。
父親がいると言う日々はレオンハルトには喜ばしい事なのだろう。
二人で王城に行き、予測通り人の目が集中して寄せられる。
「まぁリカルドさまよ」
「プラムローズ公爵が公式の場に・・・」
姦しい事この上無いが、エドワードとの婚姻報告後、ほとんどの行事に顔を出して来なかった私と、10年と言う間を国から離れていたリカルドが一緒に現れたのだから仕方ない事だろう。
公向けの婚姻発表も簡易で済ましたので、真偽を疑っていた者もいるらしい。
王の寵愛深い弟君と、表に出てこない国の防衛の要の公爵家の当主を初めて見た貴族も多いだろう。
侍従長に案内され、王族の反対側に二人で並び、演説するハワードの声を聞く。
一通りの儀式が進み、建国の神話となっている《誓約》を再現する。
エーデンフィァとプラムローズの始まりの約束を。
『我は願う。貴女の眠りが永久に護られん事を」
『我は願う。貴女のこの肉体が悠久に朽ち果てる事勿れと』
『我は願う。私と貴女の魂が幾久しく離れず共にある事を』
『我は・・・』
ハワードの宝剣と私の持つ宝笏を重ね、古代神聖語で言葉を紡ぐ。
互いに魔力を通し、
『『我は願う。この地に永遠の安息を。我が愛しき妻の眠りが妨げられる事無きように』』
宝剣と宝笏が光り玉座の後ろにある壁画の宝珠へと魔力が移る。
最奥の間に私たち二人の魔力が届いただろう。
建国だの誓約だの言い換えているが愛した女の死を嘆き、その墓を守るためだけに作られた国と組織だ。
私たち以外は古代神聖語はわからないから内容はわからないだろうが、ただただ妻への思いが羅列されている。
「我が王家とプラムローズはこうして長きに渡り連理の枝の如く共にある」
「今見たように確かな絆がある。これから先もエーデンフィァはプラムローズと協力して国を護る」
この建国記念で宝剣と宝笏と宝珠を使う儀式は50年ずつ行なう。なぜプラムローズは特別なのかと疑問に思われるころに儀式をして払拭と言う事らしい。
「それからもう知っているものも多いと思うが、我が弟が帰還した。積年の想いを叶え、レティシア・プラムローズ公爵と婚姻し現在は、リカルド・プラムローズとなっている。よしなに頼む」
それからはダンスを楽しんだり歓談したり。食べ物を摘んだり。
バックでは古代音楽を流している。
各々ので自由に過ごすが、派閥同士のやり取りや睨み合いも見て取れる。
私たちの元にも重鎮達が次々挨拶に来た。
「レティ、みんな老けたな」
・・・記憶をなくして無くとも10年ぶりなら姿形が違っていても不思議では無いぞ。
「リカ、お前も私もだいぶ変わったぞ」
「そう?レティは今も昔も綺麗だよ」
エスコートされながら進んでいると、昔リカルドを追い回していた夫人(元令嬢)達が何とも言えない表情で見ている。
「今彼女達が独身であっても相手にしたく無い程度の低さを己で気がつけば良いのに」
ボソリと呟いたリカルドに少し笑ってしまう。
昔から身分の高さと見目の麗しさから熱意のあるご令嬢に追い回されてはビシリと断り、切り捨てていた。ハッキリしているのに彼女達は諦める事が無かった。
流石に年齢的に厳しくなった頃リカルドが海外に出てしまい、親達が縁談を無理に纏めたと言う話は当時たくさん噂されていた。
誰もがこれほど長く戻らず、まして隣国で結婚するなど想像もしていなかったし、離縁して戻り私と再婚するなどと言うことも予測できなかっただろう。
仮に予測出来たとして貴族の令嬢が10年嫁がず家に残る事や、夫を捨てて迫るなどは無理がある。
どう合ってもリカルドと縁付く可能性がないのに睨みつけたり悲しんだりするご婦人方に理解が出来ない。
真剣に恋をしたり愛したりすれば、私にもあの感情が解るようになるのだろうか?
31
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後
空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。
魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。
そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。
すると、キースの態度が豹変して……?
「美しい女性(ヒト)、貴女は一体、誰なのですか?」・・・って、オメエの嫁だよ
猫枕
恋愛
家の事情で12才でウェスペル家に嫁いだイリス。
当時20才だった旦那ラドヤードは子供のイリスをまったく相手にせず、田舎の領地に閉じ込めてしまった。
それから4年、イリスの実家ルーチェンス家はウェスペル家への借金を返済し、負い目のなくなったイリスは婚姻の無効を訴える準備を着々と整えていた。
そんなある日、領地に視察にやってきた形だけの夫ラドヤードとばったり出くわしてしまう。
美しく成長した妻を目にしたラドヤードは一目でイリスに恋をする。
「美しいひとよ、貴女は一体誰なのですか?」
『・・・・オメエの嫁だよ』
執着されたらかなわんと、逃げるイリスの運命は?
【完結】逃がすわけがないよね?
春風由実
恋愛
寝室の窓から逃げようとして捕まったシャーロット。
それは二人の結婚式の夜のことだった。
何故新妻であるシャーロットは窓から逃げようとしたのか。
理由を聞いたルーカスは決断する。
「もうあの家、いらないよね?」
※完結まで作成済み。短いです。
※ちょこっとホラー?いいえ恋愛話です。
※カクヨムにも掲載。
夫に捨てられた私は冷酷公爵と再婚しました
香木陽灯
恋愛
伯爵夫人のマリアーヌは「夜を共に過ごす気にならない」と突然夫に告げられ、わずか五ヶ月で離縁することとなる。
これまで女癖の悪い夫に何度も不倫されても、役立たずと貶されても、文句ひとつ言わず彼を支えてきた。だがその苦労は報われることはなかった。
実家に帰っても父から不当な扱いを受けるマリアーヌ。気分転換に繰り出した街で倒れていた貴族の男性と出会い、彼を助ける。
「離縁したばかり? それは相手の見る目がなかっただけだ。良かったじゃないか。君はもう自由だ」
「自由……」
もう自由なのだとマリアーヌが気づいた矢先、両親と元夫の策略によって再婚を強いられる。相手は婚約者が逃げ出すことで有名な冷酷公爵だった。
ところが冷酷公爵と会ってみると、以前助けた男性だったのだ。
再婚を受け入れたマリアーヌは、公爵と少しずつ仲良くなっていく。
ところが公爵は王命を受け内密に仕事をしているようで……。
一方の元夫は、財政難に陥っていた。
「頼む、助けてくれ! お前は俺に恩があるだろう?」
元夫の悲痛な叫びに、マリアーヌはにっこりと微笑んだ。
「なぜかしら? 貴方を助ける気になりませんの」
※ふんわり設定です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる